表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/24

ストレスが消える薬【打ち消しストレッサー】

遅い時間に投稿しているように見えますが、

予約投稿です、

この作品が投稿される時間には私はもう寝ています

職場(しょくば)でイライラ、人間関係(にんげんかんけい)にイライラ……

そんなあなたに!ストレスが消えるこの

【打ち消しストレッサー】

有効成分(ゆうこうせいぶん)直接(ちょくせつ)効くから、

ストレスなんか安全に!そして完全に

消え去ります!

いつでもハッピーになれるます!

お近くの薬局(やっきょく)にてお買い求めください!》


4月の初め。

ため息をつきながらテレビを消す俺。


このCMを見た最初の(ころ)こそ、

最新の技術(ぎじゅつ)に感動し、これを飲んで

ストレスなんて完全に消し去ってやろうと

思っていた。

ストレスがなくなる時代が来たんだと、

興奮(こうふん)すらしていた。


しかし、実際に(ふた)を開けてみるとどうだろう。


無駄(むだ)にテンションの高いナレーション、

少々鼻につくサウンドロゴ……。

それでもこのCMの初見時(しょけんじ)ならまだ(ゆる)せる。

だが、残念な事に、どの番組も途中(とちゅう)

このCMを九割方(きゅうわりがた)入れてくるのであった。


こんなのを何度も見せられてはもう

うんざりだ。はっきり言う。

このCMは害悪(がいあく)である。


そして、このCMを見続けていくと、

徐々(じょじょ)に、(のど)(おく)をかきむしりたくなるくらいの不快感(ふかいかん)とストレスに押しつぶされ、

耐えきれなくなっていく。


だから(つい)に、CMが流れたと同時に反射(はんしゃ)

テレビを消してしまったのだった。

テレビを消したからといって、

ストレスが消えるわけじゃないけれども。



…………ふと、よくよく思い返せば、

このCMが放送される前の方がストレスは少なかったように思えた。


……そして、ストレスが()まるのを加速させたのはCMだけではない。薬がどこにも売っていなかった事に対してもだ。


せっかく苦労(くろう)して、わざわざ近くの薬局を(めぐ)りに(めぐ)ったというのに、売っていなかった。

家に帰る途中(とちゅう)の道は、家に近づいていくたびにストレスがたまったものだ。


時間を無駄にしてしまったということに苛立(いらだ)ちを覚え、

さらに追い()ちをかけるかのように不快なCM。


俺のストレスはもう極限状態(きょくげんじょうたい)だった。


ストレスを消す薬を手に入れる過程で、

ストレスに(なや)まされるなんて皮肉(ひにく)なものだ。



一日後………



……そんな俺が友達から聞いている話なのだが、

どうやら【打ち消しストレッサー】のCMは

企業側が本格的(ほんかくてき)に仕込んだ、

エイプリル・フールの(うそ)だったらしい。


よくよく考えてみれば4月1日にしか

そのCMはやっていなかったし、

ストレスに押しつぶされそうになっていたのもその日だ。


友人からそのことを聞いた時、

俺は「うわ! やられたー」ってなるはずも

なく、ただただ茫然(ぼうぜん)と立ち()くしていた。


そして俺の体は、喪失感(そうしつかん)と怒りでプルプルと

(ふる)えている。


周りの友人達は「ユーモアがあって面白い

CMだった」なんて言ってるけど、俺は(ゆる)せない。


友達との話の後、

俺はすぐに家に帰り、布団を引っ張りだして

ぎゅっとくるまった。

攻撃前の威嚇(いかく)している猫のように

息をふーふーっと(あら)だてながら、ひたすら

布団にくるまり続ける。


布団の中で、この怒りのまま、

俺はCMを企画した企業をぶっ(つぶ)してやろう

と思った。

そうすればストレスは消えてくれるだろう。


しかし、実際どうやって潰そうか?


本部にミサイルを()ち込んでやろうか。

いやいや、本部もろとも爆発か。

あるいは上から大きな岩を落とすか……。

他にもっと(ひど)い方法は……。


そんな感じで、企業を潰す方法を

考えている俺の頭は、自慢できるくらい

さえているような気がする。



……そんな中、はっと我に返って気づいた。


この瞬間が一番ストレス発散になっているという事に。

起こりそうで起こらなそうなことが起こるのが

ショートショート。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ