19ピッチャー快斗
だいぶ、投稿が開き開きになってしまってすいません。
※ガトーの台詞にあった、快斗の呼び名を兄ちゃんに変更しました。
「はぁ、はぁ、はぁ」
皆、息を切らしながら走っている。
どれくらい走っただろうか。
実は、俺達はまだ下水道の中を走っていた。
「キャッ」
ズサァ。
体力の限界からか、イリヤさんの足がもつれ転んだ。
『ヂュー、ヂュー』
その転んだイリヤさんを、キリングマウス2匹が背後から襲いかかろうとする。
「おらぁ」
ガキンッ!
「ガトー」
しかし、やられそうになったイリヤさんを守るため、ガトーさんは、イリヤさんとキリングマウスの間に滑り込んで入り、盾でキリングマウスの攻撃をガードした。
「イリヤ早く逃げろ!」
「恩に着るわ」
イリヤは疲れた体に鞭を打ち、態勢を立て直すとまた逃げ始めた。
「よし、おりゃあ!」
『『ヂュー』』
ガトーさんも、盾で2匹のキリングマウスを、全力で吹き飛ばし隙を作り逃げる。
「くそっ、出口はどこだ!」
俺は、見つけられない出口を探すために、悪態を吐きながら走った。
何でこんな事になったかと言うと、時は少し遡る。
◇
「もうすぐで出口だ、頑張って走れ」
ラックさんが、大声で叫ぶ。
「イリヤ、兄ちゃんは相方を抱っこしているから、石蓋を退かせないだろう、だからお前が退かしてやれ。そしたら、次はお2人さんが外に出ろ」
ガトーさんが、優しい言葉をかけてくれる。
「ありがとうございます」
「今度、酒でも奢れよ?」
「必ず」
そんなやり取りをしながら走っていると、やがて地上へ出れるハシゴを見つける。
「あった、あれよ!相方ちゃんを落とさないようにね」
「はい、ありがとうございました」
俺はハシゴを登り石蓋に手をかけるイリヤさんを見ていた。
しかし、
「あ、あれ?この石蓋開かないわよ!」
いくら、イリヤさんが力を入れて石蓋を退かせようとしても出来ない。
「何やってんだ。どけ、俺がやる」
痺れを切らしたガトーさんが、イリヤさんと代わり石蓋を退かせようとする。
だが、
「あ、開かないぞ。何でだ!」
ガトーさんでも、開かなかった。
「おい、キリングマウスが来たぞ。そこからの脱出は諦めろ」
見張っていたラックさんが、焦りながら言った。
「仕方ねぇ、別の出口がどこかにあるはずだ。逃げながら探すぞ!」
「はい」
俺達は、来た場所の出口を諦め走り出した。
そして、今に至り走っている。
そんな時、シーラは俺の服を掴んできた。
「か、いと、さん。わた、しを」
「却下」
「へっ、?」
「どうせ、私を置いて逃げろ、だろ?だから却下だ。」
「でも、わた、しは、じゃ、ま」
「じゃない。てか何、自己犠牲?いらねー、マジいらねー。俺の中では流行らないから」
いつの時代でも、やっぱり1番の流行はハッピーエンドでしょ!
「えっ、はや、りと、かでは」
「あ、そうだ。そう言えば、俺試してみたいことあるんだよね。シーラ、ちょっと誰かに抱っこしてもらって?」
そう言うと、俺は近くを走るガトーさんに話しかけた。
「ガトーさん」
「はぁ、はぁ、何だ?」
「すいません。ある事が閃いたんで、シーラを頼んでいいですか?」
「分かった。しかし、あんま無茶はするなよ!」
「はい」
俺は、シーラをガトーさんに頼み、フリーになった両手のうち右手をポケットに入れ石を掴む。
「見よ、渾身のストレートを!」
近い距離まで縦に連なって走って来ていた、キリングマウスのうちの1匹に狙いをつけ、あのでかい頭目掛けて俺は思いっきり石を投げた。
ビュン!
パスン、パスン
『ヂュッヴ』
『ヂューウ』
ドスンッ、ドスンッ!
俺が投げた石は、キリングマウス2匹の頭を貫通した後も、少しだけ飛んでから地面に落ち、頭を貫かれたキリングマウスは倒れ、肉の塊となった。
「やったー!」
「「「「えっ?」」」」
俺はガッツポーズをし、皆は固まった。