八話
皆さん、お待たせしてしまい申し訳ございません。
八話になります。よろしくお願いします。
午前、四時三十二分に僕はふと目を覚ました。
当然、周りは静かだし、春美もまだ寝ている。
喉が渇いていたので、冷蔵庫に入れてあったコーラを飲んだ。
寝起きのコーラはけっこう効いた。さすが炭酸だ。
テレビを見ようかと思ったが、春美を起こさせてしまったら悪いのでやめておいた。
春美は寝息を立てて寝ている。
「ねぇ、広人君」
布団の中に入ったままぼーっとしていたら、突然寝ている筈の春美が声を出した。
驚いて振り向くが、目を閉じて寝ている。どうやら寝言らしい。
(びっくりした)
「もし、私が死んだら悲しんでくれる?」
その言葉に僕は雷をその身に受けたかのような衝撃を受けた。
当然、今のも寝言だ。
むしろ寝言であってほしい。
今の言葉を真剣な表情で言われたら、僕はどう答えたらいいかわからないから。
僕は布団を出て、ベランダに出た。
風を浴びて、落ち着こうと思ったが、現実はそう甘くなく、中々落ち着かない。
深呼吸しても、その場しのぎだけですぐに胸の中にざわつきが出る。
僕はベランダに座り込んで、春美が起きるのを待った。
それまで僕はずっと座り込んで景色を眺めていた。
「広人君、おはよう」
窓が開いて、春美が顔を出す。
起きたみたいだ。
「おはよう。よく寝れた?」
「うん。ベッド超柔らかいからぐっすり寝れたよ。広人君は、早く起きたみたいだね」
「うん。たまたまね」
「じゃあ、ご飯食べに行こうか」
僕達はエレベーターで下の階のレストランへ向かう。
朝はモーニングバイキングだ。
「ねぇ。春美」
「ん?」
「寝ている時夢見た?」
「見たよ」
「どんな夢?」
「ごめん、それは今は言いづらい」
二人きりのエレベーターの中、気まずい空気が流れる。
「ごめん、いらない事聞いてしまったね」
「大丈夫だよ。気にしていないから。ご飯でも食べて昨日みたいな明るい雰囲気を挽回しよう」
春美は明るく笑ってそう言った。
バイキングは様々な料理があって、美味しかった。
春美も僕も箸が止まらず、料理のおいしさに舌鼓を打った。
「あー美味しかった」
「だね。ここのホテルに泊まって正解だったね」
「次もここのホテルに泊まるのもありかもね」
部屋に戻ると、春美が「朝シャンをしたい」と言ったので、テレビを見て待つ事にした。
テレビでは特に見たい物はなかったので、ニュースを見る事にした。
ニュースでは、今日の天気、芸能人が結婚した事、占い、その他にも色々と報道されていた。
占いでは、僕は一番に運がいいそうだ。
(朝から春美のあの寝言を聞いて、運が良いとは思えない)
「広人君、お待たせ」
シャワーを終えた春美が浴室から出てきた。
「朝シャン、気持ちいいよ。時間もあるし、広人君もしてみたら?」
「いいね。じゃあそうしよう」
せっかくなので、風呂にも入る事にした。
お湯に浸かり、気分をほぐしたかった。
しかし。お風呂に入っても、気持ちは楽にはならなかった。
頭の端で、さっきの春美の寝言がまだ残っていた。
僕はしばらくお湯の中から動けずにいた。
「広人君、のぼせてないー?大丈夫ー?」
かなり入っていたのだろうか、春美が心配の声をかけてくれた。
「ごめん、お風呂が気持ちよくて時間を忘れていたよ。もうちょいしたら出るよ」
「そっか。はーい」
僕は頬を三回叩いて、浴槽から立ち上がった。
体はすっかりほぐれているが、気持ちはほぐれていない。
体をタオルでしっかり拭いて、服を着て、部屋に戻った。
「ごめん。お待たせ」
「大丈夫。そろそろチャックアウトしようか」
「了解」
僕達は荷物を持って、部屋を出た。
昼の新幹線に乗るまで、この街でぶらりとする事になった。
これからも不定期になりますが、投稿していきます。
よろしくお願いします。