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待人岬AM0:24  作者: 片上尚
4/6

3

俺はだんだん腹が立ってきた。


「冗談言ってる場合かよ」

「いやホントなんだって!触っただけでほら」


なんか俺の尻ぺろっと撫でてきた。


「なんだよ気持ち悪い!」

「ご臨終です。」

「はあ!?」

「だからあんたも会ったら危ないんだって」



そんな言い合いをしていると、遠くからは救急車のサイレンが聞こえてきた。

あたりを見回すと、山の方からはひょこひょこ歩いてくる老人がいる。

半そでジーパン、ビーサン。

ああ、よかった、これがうわさのじいさんか。


「じいちゃん!」

「おお、太郎」

「じいちゃん、どこ行ってたんだよ!探したんだぞ!」


感動の再会じゃんか。よかったよかった。


「もう飯か」

「いや、さっき食べたばっかりだろ!ホント何してたんだよ!」

「アレ、アレじゃよアレ」


じいさんはなんかいやらしいハンドジェスチャーしてやがる。

ぼけてんのかぼけてないのか…よくわからん。


「あー…」

「まあでも見つかって良かったじゃないか!」


これで俺も安心して死ねるってもんだ。


「太郎、この子は?」



じいさんが俺に興味を持ったようだ。



「あ、こいつはいいの!気にしないで!」

「友達か?」

「いやそういうわけじゃないけど」


とりあえず説明したほうが良いのか?


「一緒にあなたを探しに行こうとしてたんです」

「どれ。こっちさ来い」

「じーちゃん!だからこいつ違うんだって!」


え、なんか黒いやつ慌ててる?


「は?」

「ああ、飯だったかい?」

「ちげーよ!じいちゃん、いったい今までどこ行ってたんだよ!!!」

「老人ホーム。」

「あー…まぁ…ぎりぎり…」


黒いやつは頭を抱えている。


「老人ホーム?」


こんな夜中に?


「ほれ、こっちさ、来いって」


黒いやつは、とにかくじいさんを連れて帰ろうとしている。

強硬手段なのか、背中を押し始めた。


「じいちゃん、いいから家に帰ろうよ、母さん心配してるし」

「おお、この子やったらな」


やったら?ああ、送って帰ろうとしてるのか?


「いや、車で来てるので大丈夫です」

「じいちゃん、こいつはホントにいいから。」

「んなこと言ったって」

「じいちゃん、じいちゃんはもう引退したから誰もお送りしなくていいんだよ?」


タクシーの運転手とかだったのか?


「んだか」

「そうだよ」

「じゃ、太郎、お前送れ」

「だから…、あ、でもあんたこれから死ぬんだっけ?」








「え?」


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