表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

凍てつく夜

夜更けの帰り道とは酷く静かで寂しいもの。

仲間と集まった後などは尚更。

特に、寒い時期はきっと何かが起こるのではないかという予感がしてしまいます。

夜、私は歩いていた。

風が酷く冷たい。

きっと一人だからではないだろう。

夜風が凍てつく季節だからだ。

あの刺すような日差しを忘れ去った太陽。それでもなお、昼間は温もりをくれるが、いまはもう落ちた。

一人、夜空に語る。

「さむい、、、」

家路、仲間と別れた後に訪れるそれは静かすぎて自分の足音が一歩一歩確実に響いて聞こえる。

「カッ、カッ…」

夜風が酔いを醒ます。

そして感じる寂しさ、切なさ。

夜が明けるまでの付き合いは少し長すぎる様に思う。

目の前に現れたのは扉、長い年月そこに佇んでいたであろう風格

「ただいま…」

虚空にそう呼びかける。

「…………。」

もちろん返事はない。

癖だ。もう長いことこの空白の箱に向かって出発や帰宅のあいさつをしている。

誰も答えなくて良い。ただ、言いたいだけなのだから。手探りで薄い灯りを灯し、服を着替える。

そこで気付く、ある()()()違和感。

酩酊のため気が付かなかった重要な()()()()

灯りがやけに薄い、、、

私は今一度虚空に呟いた。

「何故、、、、、?」

やはり返事はない

「………。」

薄暗い部屋に沈黙が流れる。

私の頬を涙が伝った。


【テレビ放送】

「今日未明、斎球県粕壁市のアパートで女性の遺体が発見されました。女性はアパートに住む24歳の会社員の坂本真琴さんのものと見られており…………_____…第一発見者は友人の一人で、遺体に損傷は無く、死因は毒物によるものとの見方で捜査が行われており………___」


僕はニュースを見て朝食の目玉焼きをつい焦がしてしまった。いや、無理もないだろう。友人が、ニュースに出るなど一生のうちに一度あるかどうか。

それも訃報ともなればできれば一度も経験したくないものだ。

「今日は早く帰ろう。」

そう呟いて、僕は焦げた目玉焼きを頬張り、友人に連絡を取った。勿論ニュースの件だ。


僕は気がつけなかった、あの凍てつく程に寒い日の夜の違和感に、、、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ