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マーリー 7

 そんなアプ・ファル・サル王国に異変が起こったのは、三ヶ月ほど前のことだった。

 第八代アプ・ファル・サル王パパマスカ・バラオが、突然王位を退いたのである。

 パパマスカ王は四十三歳と若く、体調を崩しているとの話もなく、その突然の退位は国民を驚かせた。詩や歌を作ることを好み、また、その才能にも恵まれていたパパマスカ王は、国民に慕われていた。

 かてて加えて、王位を継承したのが十五歳の王女ララサララ・バラオだったことが、国民の驚愕と混乱に拍車をかけた。ララサララは第一王女ではあるが、王位継承権は第二位。継承権第一位は、二歳年上の兄、第一王子カカパラス・バラオが持っていたのである。このときカカパラス王子は、アニシャ連邦のデル・マタル王国に留学中であった。

 ララサララ王女の王位継承は、パパマスカ王の勅命だと発表された。勅命といえども、それは例外中の例外で、国民に大きな不安を抱かせた。

 ララ姫の愛称で国民に慕われているララサララは聡明な王女で、王としての資質に疑問を挟む者はいなかったが、それとこれとは話が別である。〈豪胆〉の通り名で評されることの多いカカパラスもまた、王たる器の王子であった。ゆくゆくは彼が王位を継ぐことで、王国は永く安泰だろうと、そういう気運が高かったのである。

 国民の疑念と憶測が渦巻く中、戴冠式はつつがなく執り行われた。鉱山候サリュル、平原候マーテチス、港湾候アプセンの三諸侯(しょこう)は、カカパラス王子のことはおくびにも出さず、新女王に忠誠を誓った。そして、女王が十五歳と若いことから、三諸侯揃って後見に立つと請け合った。

 王都ファル・バラオの精霊大聖堂にて、大司教から言祝ことほぎと精霊の秘儀を受け、王冠への誓いをたてたララサララ・バラオは、晴れて第九代アプ・ファル・サル王となったのである。

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