表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/91

道行き 4

 川を遡った先には、小さな池があった。

 林の中にぽっかりと開けたそこは、湧き水が池となり、川へと流れていた。水面には、張り出した木々の枝が濃い影を落としている。時折聞こえる鳥の鳴き声と水のせせらぎ以外には、ほとんど音も聞こえない。池の向こうには、林の中を抜ける道がある。どこかから水を汲みに来る人があるのだろうと思われた。

 静かな水面を眺めていたララサララが、ぽつりと呟いた。

「水浴びがしたい」

「え?」

「見張っていてくれ」そう言うと、ララサララはドレスを脱ぎ始めた。

 当然のようにマーリーは慌てた。

「ちょ、ちょっと待ってください。陛下」

「なんだ」

「こんなところで水浴びなんて、不用心です」

「だから見張っていてくれと言っただろ。心配するな、そなたが水浴びをするときは私が見張っている」

「そういう心配はしていません」

「じゃあ、何なのだ」

 言っているうちにもドレスは脱ぎ捨てられてしまい、ララサララは下着に手をかけている。

「僕は男ですよ?」

「それがどうした」

「いえ、その……」

 しばらく考えていたララサララは、ようやく何かに思い当たったようだ。

「そなた、何か無礼なことを考えているのか?」

「え? ……いや、考えていませんけど」

「では問題ない。見張っていてくれるな?」

「……はい」

 マーリーが答えるのも待たず、ララサララは上の下着を脱ぎ捨てた。

 真っ白な肌が目に入り、マーリーは慌てて顔を背けると、その場を離れた。

「あまり遠くに行くでない」

 マーリーは池の反対側の道を見渡せる場所に腰を下ろすと、深くため息をついた。王族というのは一般人と感覚が違うらしい。自分の裸を見られることが恥ずかしくないのだろうか?

 背後からは水浴びの音が聞こえてくる。

 ララサララの真っ白な肌が脳裏に浮かび、マーリーは慌てて頭を振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>異 世界FTシリアス部門>「ララサララ物語 〜女王と歌と常闇と〜」に投票
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ