衝撃
二か月が経った
私はこの二か月で読み、書きが完璧になった
若いって素晴らしい
カイリもまさか私はこんなに吸収がいいと思っていなかったらしく本当に驚いていた
まぁ、カイリの教え方がよかったのもある
最初にマジかよと思った絵本も私の大好きな王子とお姫様の恋愛ものが多かった
一つはロミオとジュリエットのような悲しいお話
もう一つは眠れる森の美女に似ていた
大好きな恋愛ものの絵本に夢中になり気が付けば習得といった感じだ
そして驚くことにこの世界には魔法的なものが存在していた
驚いて大興奮でカイリに話すと知らなかったんかマジか引くわーみたいな顔をされた
「お前、夜に明かりがついたりこんなところでも不自由なく水があるのなんでだろうってならなかったわけ?」
私の世界では電力会社や水道会社があったからと言いたかったがやめた
この国では電気や水や火は全て魔法で賄っているのだとか
ちなみに魔法を使えるのは100人に一人いるかいないからしい
使える人は貴族に多くいて、その血を濃く絶やさなくするために身分差結婚が禁じられているのだとか
ちなみに魔法は相性があり
優勢→劣勢として
水属性→火属性→風属性→土属性
そして土属性が水属性に強いとそれぞれ円を描くように優劣が存在する
またこのサイクルとは別に
光属性⇔闇属性
とお互いに効果抜群同士の二つの属性が存在する
伯爵家の私ももちろん魔力を持っているはずだが確実ではないらしい
さらに13歳まで魔法の使用は禁止で使い方も習えないそうだ
子供が銃を持っちゃいけないみたいな感じだと理解した
ちなみに属性は生まれた時に決まっているらしくそれは変えられない
一人一つの属性を持っており複数属性は持つことが出来ないらしい
学園入学の際ハリーポッ〇ーで出てきた某帽子のように無色のステッキの色が変われば魔法学院に色が変わらなければ一般的な勉学の学校に行くそうだ
このステッキを持つ儀式は毎年大変盛り上がる
というのも光属性は1000人に一人しか現れない
つまり100人に一人の魔術が使える人がいる中でさらに1000人に1人と10万人に1人の逸材なのだ
闇属性はもっと希少で1000万人に1人らしい
ここまでくると逆に不吉の現れだのなんだの言われ闇属性は嫌われているらしい
貴族の中でしか魔術使いは現れないというのが常識らしいがカイリはそれに疑問を持っていた
私もそれはおかしいと思う
ここからはカイリの推測だが、一般人から魔術もちが出た場合貴族が買い取っているのではないかと言っていた。
この国では人身売買は合法ではないが行われているらしい
口には出していなかったがカイリは自分もそうなのではないかと思っているようだ
確かにカイリの髪はグレーっぽい色をしており
赤髪の母と黒髪の父には似ていない
私は赤紫とまあ納得の髪色だが
瞳の色も薄く正直似ていない
腹違いだからかと思っていたが父親の面影らしきものもない為疑問に思っていたようだ
母があんなに気にしているし父も言えばいいのにと思ったがもしかしたら平民の子を買ったというのは貴族としてあまり言うべきことではないのかもしれない
母が落ち込んでいるのは愛する夫が自分のせいで他の女と関係を持ったということにフォーカスされているため言ってあげたらいいのにと思う
まぁカイリの予想で真実かどうかは定かではないのだが
ただカイリはこの仮説に自信を持っていた
なんでそんなにと問い詰めようとすると少し鼻が膨らみ教えないといわれた
思うに使えたんだろう魔法が
教えられないが得意げという感じだった
何属性なのかしら
ただ、この仮説が正しいのであれば私からしたら好都合だ
身内だがカイリルートが開けるかもしれないのだ
さすがに血がつながっていては手が出しにくいがそうでないとわかれば同棲中の彼氏ができたみたいなことになるのかもしれない
夜のお勉強にディープな内容が追加されてもおかしくないのだ
こうなったら真相を知るは父上のみ
少し鎌をかけてみようと思う
鼻歌交じりに廊下を歩いていると侍女が慌てて私のところに来た
「フィリップ様がお見えになっております」
「・・・ぇ?」
----------------------
フィリップ様は朗らかな表情で私の手を握っていた
か・・・顔が近い!!
息がかかりそうなその距離に私の顔が耳まですべて真っ赤になったその時
「チッなんだ、つまんねーの」
天使のようなお顔からは想像付かない言葉が飛び出した
----
-10分前-
侍女の言葉で慌ててフィリップ様がいる部屋に入った
中では優雅にお茶を口に運ぶフィリップ様
私が彼と最後に顔を合わせたのはあの散々たるパーティー以来だ
「突然訪問してしまい申し訳ございませんでした」
「いえ・・・どういったご用件でしょうか」
一切の無駄のないきれいな動きで私に頭を下げるフィリップ王子に気圧されながらも私も何とかお辞儀を返した
「遅くなってしまい申し訳ございません、こちらをお返ししようと思いまして」
そういって差し出されたのはきれいに修復されたブローチ
そう、キーシャに踏みつけられたものだった
あの日私は気が付かなかったが馬車はすれ違っていたらしい
キーシャの悪行を見抜いたフィリップが回収し直してくれたそうだ
なんてお優しいの!!
それにしても私がもともと作ったものよりずっときれいにできている
「これって・・・」
「はい、僭越ながら私がお直しさせていただきました」
マジか、フィリップ様のおててが作ったバラ・・・
フィリップ様のかけらが入っているかもしれん
今夜たっぷり味わおうと思う
「あの時はアイリス様の誕生日にもかかわらず申し訳ございませんでした
あの時気丈に振舞っておりましたアイリス様に対し私は何もできないどころかその後に続く悪評を止める事さえ叶いませんでした」
「いえ、フィリップ様のせいではございません。それにもう二か月も前のことです」
こういうのははっきりと言ったほうがいいと思いピシャリと言ったが少し冷たい言い方になってしまった
慌てて言葉をつむごうとしたが
フィリップ様はそっと私の手を握ってそれを止めた
ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ
おーじしゃまだぁぁぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁl
私の全細胞が歓喜した
鼻息が荒くなり顔が紅潮する
顔の筋肉がだらしなく緩みよだれがたれそうになる
まさしくメス豚顔
ふわりと香フィリップ様の香りを全身で味わおうと鼻息が荒くなった
その瞬間
「チッなんだ、つまんねーの」
振りほどくように手を離されフィリップ様は汚いものを見るような目で私を見たのだ