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Ep.7


「すみませんでした!!」


人外が土下座した。

それはもう美しさすら覚える動きだった。


そしてロゼはというと土下座の意味を全く理解してなかった。人外から見たら幼げのある女の子の唇を奪ってしまった。ロゼから見たらただ接吻しただけでなぜこの方は土下座している。という双方の見解の違いが場所や状況も相まって混沌と化した。


そもそもロゼ、いやましろは感情が鈍いのだ。故にましろには恥ずかしさが欠けていたりする。


「なにか謝ることをしたのですか?」


ファーストキスと奪われてもこの通りである。


「え、あの、その。不束な事をお聞きしますがき、き、キスをしたのは初めてであったでしょうか…?」


「?初めてだと思いますよ」


「……。!?」


即答したロゼに人外は言葉の意味を理解出来ずに止まってしまったが、言葉を理解した瞬間驚愕してしまった。まさか、こんな不慮の事故によって幼気な少女の唇を奪ってしまった、しかも初めてを。そして人外は腹を見せて寝た。降伏の構えである。


「私達竜人族は他を尊重する種族です。私はあなたの体を、心を、私の軽率な行動で貶してしまいました。竜人族ではこれは重罪です。どうか人思いに腰にある剣で殺してください」


おっと、どうしてこうなってしまった。やはり人と話すのは難しい。愛想良く、慎重に言葉を選ばなければ。


「えっと、僕は全然気にしてないのでどうか死なないでください」


そういうと竜人は唖然した。そして


「貴方は天使…いや女神様?」


一筋の涙と共に崇拝の言葉が零れ出た。違います。


「僕は天使でも女神でもありませんよ」


「ではお姉様と!」


はい?お姉様?どう見ても貴方の方が年上でしょうに。


「お姉様?」


「はいお姉様です!あ、どう見ても年上だろって思いましたよね?安心してください。私今5歳なので!」


「5歳!?」


思わず大きな声を出してしまった。しかしこれが5歳?信じられない。身長や体付きからどう見ても20代前半にしか見えない。この世界の人は早熟なのだろうか。


「この世界の人ってみんなそうなの?」


「この世界?」


しまった、失言してしまった。隠した方がいいかはわからないが転移してきたと言わないでおこうと思っていたら失敗してしまった。


「いや、えっと今のは…」


不味い言い訳が思いつかない。いっそのこと全部話す?怪しまれる確率の方が高いだろう。なにか策は「もしかして転移者の方ですか?」あぁ、怪しまれることはないらしい。



――――――――――



マニュの言ってることは半分間違っているじゃないか。転生、転移者は100年ぶり、というのは神々が関与しているもので人間自身が関与している転生、転移は頻繁に行われているらしい。つまり、神々が関与していないだけで、転生や転移は日常茶飯事になっているようだった。


「ちなみに私の住んでいた村にも転生者が2人、転移者が1人います」


村という規模で計3人も居るとなると街や、それこそ首都なんかでは多くの異世界人がいることになる。そんなに同じ境遇の人がいるならバレないように焦っていた自分が恥ずかしい。全く、誰が隠そうなんて提案したのか。


それはそうと、当初の目的として彼女に道案内をしてもらいたかったのだった。先程の恥ずかしさのあまり忘れてしまっていた。


「マリーさんが良かったらなんだけど街まで案内してくれないかな」


そうそう、この人?いや歳的にこの子か。この子の名前はマリーという。理由は詳しく聞いてないが村を出て旅というか放浪しているらしい。通りでさっき倒れた訳だ。


「えぇもちろん!もちろん案内しますお姉様!!」


なんだろう。出会って早々、転移して早々テンションが高い人しか会っていない。実は『女神の祝福』の幸運ってただ女神が僕の運命を弄っているだけなのでは?と思ってきた。女神に会えることはもう無いだろうから突き詰めようがないが。


しかし、こうして道案内をしてくれる人と会えるようにしてくれているのであれば感謝しないといけない。ただ起こしただけで命の恩人扱いされ、しかもお姉様呼ばわりされているけど。


「それでは近くの街までよろしくお願いします」


まずはこんな所にいるよりも街に行ってこの世界の常識を身につけないと。


「はい!少し待っててくださいね。『竜体化』しますから」


マリーの体がみるみるうちに甲殻な体へと変質していく。体はそのまま肥大化していき、全長は10m弱にもなり、翼の生えた爬虫類となった。正しく神話やおとぎ話に出てくるドラゴンそのものだった。


『竜体化』。竜人族が生まれた時から所持しているスキル。体を変質させ、金色の竜の姿になる。


他にも獣人なら『獣体化』、魚人族から『魚体化』等があるらしい。


「さぁ、乗ってください」


先程の女の子らしい声ではなく少しノイズのかかったような声が聞こえる。人の時とは声帯が違うようだ。


ロゼはマリーのゴツゴツとした背中に乗る。座り心地はそれほど悪くはなかった。金色の鱗は硬いグミのようで、しかも鱗の真下にある肉が緩和剤代わりになっていた。出来れば鱗を一枚引っぺがして剣の素材にでも出来ないかと思ったがこれでは使えそうにないな。


マリーはロゼが乗ったことを確認すると翼を広げて飛翔した。それはどこまでも昇っていき、森を抜け、地上が見渡せるようになった。


「不思議ですねここまで昇るのに全然風圧が感じませんでした。しかも途中垂直にもなったのに落ちませんでしたね」


「それは風魔法による庇護を受けているからですよ。確かに私は旅先で倒れるようなことはしましたけどそれはお金がなかっただけであってちゃんと気遣いしているんですよ?乱暴なドラゴンなら風魔法なんてかけてません。ついでに言うとお姉様には一番良い風魔法の防御膜を使ってます。振り落とすこともなく、空気中にある細かい塵などにも細心の注意を払ってお姉様に傷一つ付けずに送迎して見せます」


「う、うん。頑張ってね」


「はい!」


元気よくマリーが羽ばたき、街のある方角まで進む。


ちょっとした質問だったのだが熱弁されてしまった。そう思っているうちにもマリーは猛スピードで空を飛ぶ。黄金の竜と白銀の少女。それはまるで御伽噺のように。


「む、ちょっと飛ばしすぎてもう着いちゃいましたね」


「もう?」


風魔法で風を一切受けない状態だったのでスピードと距離感覚が掴めなかったせいでまだ少ししか移動していないかと思った。しかし、後ろを見るや否や森の姿はどこにも無く、草原とむき出しの土の道だけがあった。それほどの道程だったのか、それともあの森はマニュの一部だったのかはわからない。


マリーは少しづつ高度を落とし、着地する。竜体化を解き、人の姿に戻る。


「着きました。ここが『自由貿易都市 リベルタ』です」


自由貿易都市リベルタ。幾多の人々が職業や種族関係なく、商業が盛んな街。

おはこんばんにちは睡蓮です。

ダクソやってたらいつの間にか忘れてました。フロム恐るべし。皆さんダークソウルTRPGの存在知ってます?ダクソやってる人なら、TRPGやってる人なら買いますよね?私は予約しました。布教用に10冊。実卓用に2冊。聞くところによるとGMの「殺意」ロールがあるとか。これは殺る気満々ですね。さらに公式シナリオは100ページもあるとか無いとか。楽しみです。

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