Ep.6
マニュと別れ、ましろ…いやロゼは暗闇に満ちた洞窟の中を走り続けた。マニュは洞窟を抜ければ街に繋がる道へと出ると言ったが距離までは話していなかった。ロゼはもっと詳しく聞いておけばよかったと後悔した。
しかし、後悔しても既に遅い。後方にはマニュを倒すための兵隊が居り、マニュが自分を逃がすために時間を稼いでいる。
が、ロゼはマニュが兵士達を一瞬にして存在ごと消したことに気付くことはない。
そして、洞窟内を走ること大体10分位のことだろうか、体力は殆ど無く、気力だけで走っていた。するとコートの中に蹲っていた大福が顔を出した。
「キュッキュッキュー!(もう少し先から草の匂いがしまふ!)」
おぉ、流石ハムスター。嗅覚は人の40倍はあると言われる動物だ。草の匂いがするということはもう少しで外に出られるということだ。
「ありがとうございます、大福」
大福に感謝を伝えるとロゼは僅かな体力を振り絞り、走る。走っていくにつれ、奥からどんどん光が漏れ始める。それを見たロゼは走る速度を速め、光の先へと向かう。
「はぁ…はぁ…ようやく出られた…」
洞窟の先は木々に囲まれ、最初に居た場所の様な雰囲気だったが、正面に木々の隙間があり遠目に土が露出した道が見える。
ふと、マニュの言っていた兵士が後ろから付いて来ていないか確認しようと後ろを向く。だが、後ろを向いても先程出てきた洞窟は無く、木々や草が生い茂っていた。
しかし、驚くのも束の間、横から何かが落ちる鈍い音がする。ロゼは直様振り向くと人が倒れていた、角と翼、尻尾を生やした。遭遇したロゼの顔はとても面倒くさそうだった。
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数十分は過ぎただろうか、ロゼは洞窟が無くなったことにより、追跡は無いだろうと予測し、取り敢えず目の前で倒れている人外らしき女の人はロゼが揺さぶろうともピクリともせず、沈黙したままであった。もしかすると死んでいるのではないかというぐらい息は静かで顔を近づけてもしているか息をしているか疑わしいほど。別に死んでいるのであれば死んでいるで困ったことではないがこの世界で1日めが邪神認定されている神と突然死んだ人外というのは正直どうかと思う。
ついでに、起きた時に命の恩人として情報とか入手出来ればいいし、どうせなら背中についている翼を移動手段に使いたい。無駄に長い洞窟を走らされたから足がパンパンだし足裏にタコもできている。こうしてみるとどれだけこの体は貧弱なのだろう。
「…………ハッ!?」
そんなことを考えていたら突然、人外の女性が起き上がった。
「っ!?」
が、起き上がった先にはロゼの顔があり、人外の顔が衝突した。
と思いきや、衝突寸前で人外の顔が止まり、唇と唇が重なっただけで収まった。いや収まってしまった。
「「……」」
双方共に沈黙した。片や突然起き出したと思えばキスされた。片や何故自分は目の前の白髪の女の子とキスをしているのだろう。
「「……」」
すぅっと唇が離れていった。そして人外は少し距離を取り、土下座した。
遅くなった挙句クソ短いです。申し訳ございません。柊睡蓮です。
春休みも終わり、新しいクラスでの生活が始まったと思いきや早速テストが来週に迫り、春休み中バイトかゲームで明け暮れており、勉強など微塵もしていない私には無理ゲーだったので急いで勉強していたらいつの間にか小説の事がすっぽり抜けていました。申し訳ございません。
短いからって読むのやめないでください!何でもしますから!