Ep.4
「スキルの練習ですか」
「そう、スキルの練習。この世界はスキル無しでは生きていけない。なにより特定のスキルを持つ技能保持者と持たない無技能者では雲泥の差が生まれるからなの。」
マニュはそれからスキルを持つ者と持たない者の違いを説明してくれた。
曰く、スキルを持つものにはそのスキルをどう使えば良いのかが分かるのだそうだ。戦闘系のスキルであればその武器をどのように扱えばいいのかや、そのスキルの持つ『技』が使える等、スキルを持たない者には出来ないことが多いのだそうだ。それにスキルのレベルが上がるにつれてより高度な技術が使えるのだそう。僕はまだスキルを使った事がないからスキルの使い方が分かるという感覚はまだ無いが、それは初めて使った瞬間に分かるそうだ。
そしてスキルは大体12歳前後で自然的に目覚める。それによりステータスなんかも見れるようになる。もし15歳を過ぎても目覚めない場合はスキルを鑑定するスキルを持つ人に鑑定してもらい、強制的に目覚めさせされる。だが極稀にそれでも目覚めない人もいるらしい。そんな人は無能力者と呼ばれ蔑みの対象になるそうだ。
「と、こんな感じでスキルの重要性を知ったので早速やってみようか」
パチンと指を鳴らすと木造の家だったのが石造りの工房に変わった。さっきもお菓子を出していたし、もしかするとこれも何らかのスキルなのだろうかはたまた権能なのか。どちらにせよすごい。
「練習とは言ったももの、やり方は全てスキルが教えてくれる。鉱石も沢山あるから気が済むまでやるといい。それとこの鉱石を鑑定してみようか。鑑定は生産職の基本だからね」
マニュはテーブルの上に直径15cm程度の大きめの石を置く。原石の様だが所々光が反射し銀色に輝いている。
それで鑑定...鑑定...。
数秒鉱石を見つめながら念じると目の前に字が浮かび上がった。
「字が浮かび上がりました」
「お、成功したね。読んでいて」
・真銀
銀とは違い、錆びず、高い優先度を誇る。
えらく短文だ。Lv.1だから仕方の無いことだろうけど。
「真銀、銀とは違い、錆びず、高い優先度を誇ると書いてあります」
マニュはフムフムと頷く。そんな中ハイテンション気味にハムスターさんが話しかけてくる。
「キュー!(ましろさんましろさん!ミスリルでふよミスリル!初めて見ました!)」
ハムスターさんはミスリルの前でぴょんぴょん飛び跳ねている。説明は短文だがったが、それでも珍しいものであることはわかる。
「あっはっはっは。大福君の反応は可愛くて面白いね。鑑定は仕方の無いことだけど短文だね。他のも鑑定しようか」
また更に同じサイズの石を三つ置いた。そしてさり気なくハムスターさんのことを大福と呼びましたね。僕もそれを採用しましょう。
「宜しくお願いします大福さん」
「キュ!(大福、それがミーの名前でふか!美味しそうな名前でふね!)」
あ、良いんだそれで。とりあえず次々鑑定する。
・金剛鉄
優先度が優れている分重量もある。
・神鉄
金属の中で最も優先度が高い。
〈鑑定Lv.1→鑑定Lv.2。鑑定派生『金属鑑定Lv.1』習得〉
「ん?」
鑑定の表示の他にも文字が浮かんできた。Lv.1だったのが2になり、派生というのも出てきた。
「その様子だとレベルが上がったかな?やっぱり良いものを使うとレベルが上がるのも速いね」
「なんだか実感が湧きませんね。僕としてはただ見ただけなので」
「まぁまぁ実感が湧かないならもう一度鑑定してごらん」
マニュに進められるまま最後に鑑定したオリハルコンをもう一度鑑定する。
・神銅(最高級)
金属の中で最も優先度が高い。それ故、加工も難しい。
説明文が変わっていた。そして名前の隣に品質の表示が加わっていた。レベルが一つ違うだけで追加されるものがかなり違う。もしかすると先ほどの鑑定派生の『金属鑑定』というスキルの補正も加わっているのか。
「説明が長くなって、さらに品質の表示も出てきました」
するとマニュは少し驚いた表情になった。
「ん?品質も?もしかして派生に目覚めちゃった?。マシロちゃんは運がいいね派生に目覚めるのは何十年と積み重ねないといけないレアスキルなんだけど。おかしいな、普通はこんなことないのだけれど…。あ、もしかして勝手に付けちゃったけど私以外で加護って付いてる?」
「加護とはちょっと違う気もするのですが女神の祝福っていうのがあります」
それを聞いた途端マニュは頭を抱え込む。
「あちゃー、よりにもよって加護より上の祝福貰っちゃったかぁ。ちょっとその女神の祝福ってスキルを鑑定してみて」
・女神の祝福
スキル習熟率上昇、スキル習得率上昇、強運、身体異常軽減、自然治癒力上昇、呪い無効
「スキル習熟率上昇、スキル習得率上昇、強運、身体異常軽減、自然治癒力上昇、呪い無効の計7つです」
マニュは効果を一つ聞く度に顔が渋くなり、今にも胃がキリキリする音が聞こえてきそうである。ましろは察した。神様がここまで渋い顔をしているということはそれほど大問題なのだと。
「よし、決めた。そのスキル上げたヤツに文句言ってタコ殴りにする」
「キュー(そんなことよりさっさと剣打ちまふよ)」
ハムスターは淡く光ったと思えば机の上に鈍い金属音を立てながら槌の形になっていた。そして神の1柱であるマニュの言うことなど知らぬとばかりに話を進てるハムスター。語尾がおかしい事も自覚してないようだし、能天気で神経はかなり図太いようだ。…殺されても知りませんよ。
「ごほん。話が逸れちゃったねごめんごめん。」
咳払いを一度。マニュもマニュで怒らず、寧ろ謝る姿勢は神としての寛大さ故、もしくはマニュ自身の人格が良いのか。
「それでは大本命『魔剣鍛冶』スキルについてといこうか。
名前の通り、魔剣を作るスキルなのだけれどまず魔剣について話さないとね。この世界において剣を魔剣と呼ぶ定義は大きく2つある。
一つ目は魔力を通すことによって剣が何らかの現象を引き起こすこと。例えると剣が火を纏ったり、剣そのものの形状が変化したりする。
二つ目は使用者を呪うこと。別名『呪いの剣』とも呼ばれているね。これが厄介でね、魔剣の力が強ければ強いほど呪いの力も強くなるんだ。最悪死ぬ事だって有り得る。まぁ、マシロちゃんは祝福で呪い無効だから無意味だよねははは…」
「呪いが無ければただの強い剣になるわけですね。」
マニュは溜息混じりに「そういうこと」と言った。そこから、「でも折角貰ったんだし有効に使わないとね」と付け加えた。
「と、言う訳で早速ここにある金属をふんだんに使って魔剣を作っていきましょう!」
再び謎の力によって無造作に金属達が大量に転がる。少なくとも大きいサイズだけでも50はある勢いであった。そして鑑定して見るに先程鑑定したものが殆どで『真』や『金剛』、『神』といった貴重さが薄れている。
「さっきも言った通り、スキルに大体委ねておけば良いから。無理に自分で動こうとするとむしろ失敗してしまうからね。まずは練習用に『魔鉄』で打ってみようか」
ましろは火炉の前に立つと、マニュからその魔鉄を受け取り、静かに念じた。初めて鑑定した時もこのように念じて成功したのだから同じ要領ですれば良いだろうと思ったからだ。
そして少し経つと、ましろは自分ではない誰かに勝手に体を動かされる妙な感覚に陥った。スキルが発動したのだ。
熱されていた火炉に魔鉄を焚べ、熱されるのを待つ。魔鉄は徐々に赤くなってゆく。それをハサミで取り出し、金床の上で大福こと『黒水晶の大槌(今は片手サイズ)』で叩く。恐らく今作っている形状は魔鉄のサイズからしてショートソードくらいのものだろう。そして叩かれた魔鉄を折り、また叩く。これによって成分の均一化を図っているのだろう。それを計二回行った。
結果的に金属の塊は全長70~80cmのサイズまで伸び、ましろの叩く手が止まった。魔鉄はまだ少々赤く、触ったら大火傷するであろう。だが、ましろの手はそれに近づき、ギリギリのところで止まった。そして手から何かが抜ける感覚とともに口から言葉を発した。
「…は……を…む」
そして目の前が暗転した。
皆様2ヶ月ぶりでございます睡蓮です。
学生として生きる身として避けては通れぬ道、テストを無事乗り切り、生還いたしました。やったね。
2ヶ月の間パソコン、スマホ、PS4といった電子機器全てを没収され、家に帰ったら勉強orバイトという苦行を乗り越えた私に隙はありません(ガバガバ)。というかBF1なんか追加のやつ来とるしDDONもVer2.3になってるしでてんやわんやでございます。DDONとPSO2で白髪幼女の軽装備なのは多分私です。ついでにBF1でキル数全く稼げてない偵察兵も私です。