Ep.1
2016年5月25日7時00分。普段と変わらない起床。
2016年5月25日7時05分。普段と変わらない朝食。
2016年5月25日7時25分。普段と変わらない制服を着る。
2016年5月25日7時30分。普段と変わらない家を出る。
2016年5月25日7時45分。普段と変わらない登校。
2016年5月25日8時00分。普段と変わらない学校。
2016年4月25日9時00分。普段と変わらない授業が始まる。
2016年4月25日12時30分。普段と変わらない購買のパンを齧る。
2016年4月25日17時00分。普段と変わらない下校。また、普段と変わらない誰も居ない家へと帰る。
商店街の電気屋をふと見ると、テレビでこんなことを言っていた。「今の生活が楽しいか」と。答えた人々は、「今が人生の絶頂期」。「今は辛いけど楽しい人生を送るために頑張っている」。等、答えた人々は顔も声も輝いていた。そして、「今の生活が楽しいか」という質問何故かは自分に言われているような気がした。もし、自分が答えるのであれば回答はこうだ。「窮屈で退屈で生きているのか死んでいるのかも分からない」と。まるで生きる世界を間違えたかのように、と。
そんなことを思うと再び足を動かし、家へと帰る。しかし
2016年4月25日17時10分。下校道に一台の車が走る。
2016年4月25日17時10分。訂正、下校道で一台の車が猛スピードでこちらに向かってきた。衝突。
グシャリ。肉や骨が潰れる音がする。体が宙を舞い、そしてコンクリートに体を打ち付けられる。体が急激に冷える。
記憶がフラッシュバックする。
10年前、7歳の時の記憶。親が離婚した時の記憶。母は毎日酒に入り浸り、ずっと泣いていた。だから静かにしていた。泣かなかった、強請ることもしなかった。笑うこともしなかった。置物のように隅にいた。だが、母は言った。「お前の考えていることが分からない」と言った。その時の言葉は今でも覚えている。幼い自分は思った、自分は良い子にしていたはずなのに、どうして。次の日、母はロープで首を吊って死んでいた。
あぁ、本当に窮屈で退屈で短い人生だった。もし、生き返ることが出来るのなら、僕はもっと...。
****
気がついたら普段とは違う場所にいた。
「おはようございます、結月ましろさん。私のことが見えますか?」
白い空間に特異的な紫の髪に紫のドレスを着た女の人。
「みえっ...見えます」
久しぶりに発声したせいか吃る。
「フフフ...リンクは正常ですね。初めまして、私は女神ルミナといいます」
リンク...?女神...?そもそもここは...。
「混乱するのは分かります。ですがこれから言う事を落ち着いて聞いてください。
まず、貴方は先程車と衝突し、死んでしまいました。車に乗っていた人物ですが、見覚えがあるでしょう」
白い壁がスクリーンのようになり、写真が浮かび上がる。車に乗っていたのは10年前とは違い、窶れていたが間違いなく自分の父親だった。
「本来であれば貴方は幸せに暮らすはずだった。ですが16年前に起こった事件のせいで貴方を不幸にさせてしまいました 、特に貴方は。全てお話しましょう。」
未だ状況が余り理解できないがまずは聞いてみよう。
「まず神には代替わりというものがあります。神は器が無ければ活動出来ません。なので神は全員が器を持っています。そして何らかの原因で器が壊れてしまった時に限り、新しい器に自分の魂を入れ替えることが出来るのです。今回の事件はその代替わりが原因でした。
16年前、最高神の代替わりが起こりました。原因は知識のオーバーヒート。最高神は全知全能であるのと同時にその時の最古の神でもあります。器が壊れた瞬間膨大すぎる情報が欠けた部分から漏れだしてしまったのです。その漏れた情報の中に貴方もいました。漏れてしまった反動で本来生まれるはずではない世界に転げ落ち、そのまま生まれてしまいました。
そして今日、予定されてなかったって死が訪れたという訳です」
ということはつまり両親は
「本当の親じゃないということですか」
ルミナは悲しげに下を向く。
「貴方の本当の御両親はこの世界とは時間軸が違うのでもう他界しております。」
どうせなら会ってみたかった。
「それでですね結月ましろさん。最高神様から提案がございます」
提案?
「今、〈フォルトナ〉という世界の枠が空いておりまして、そこに転生しないか。という提案です。」
転...生...。
「もちろんただ転生する訳ではありません。その世界に合わせて体を作り直し、その世界に存在する〈技能〉というものを一つ、それな合わせた装備もお付けします」
幸...福...。
「悪くない話だと思います。それに貴方は死ぬ間際こう願ったはずです」
―――もっと、愛されたかった。
「もう、自分を抑え、苦しまないで良いのですよ」
ふと、涙が出る。
「その涙は悲しい涙ですか?」
「違う...」
「ではその涙はどんな涙なのですか?」
「分からない...」
16年間涙なんて流したことがないのになんで今だけ...。
「ならその意味を新しい人生で見つけましょう。貴方にならそれを見つけられるはずです」
真っ白な壁に扉が浮かび上がる。
「貴方は十分に苦しみました。なら後は幸せになるだけです」
もし、この人の言う通りなら。
「僕は幸せになりたいです」
ルミナは微笑む
「では扉を開きましょう。その先にある筈です」
ましろは扉を開く。
「いってらっしゃい。貴方に幸福の加護があらんことを」
ましろを眩い光が包み込んだ。
****
目を開いたそこは木漏れ日の指す、幻想的な森だった。
お久しぶりです、ゆらりんです。マシロニウム補充お待たせしました。
ましろたん地球では寂しい思いをしていました。みんなの愛で暖めてあげて!
改行多過ぎて文字数少ないです申し訳ありません。
この作品はリアルの都合上不定期になってしまいます。ご了承ください。その分頑張って文字数を増やしたいと思います。これからよろしくお願いします。