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第十七幕〜やはりって、何が?!

ついにこのときが近づいて来ました。




(探し人……、神の託宣……?)

 あたしは、正直いって信仰心というのがかなり薄い。先の世の人格を持ったまま生まれたのだから、仕方ないと思うのよ。神さま、何でこのように生まれつかせてくれたのかって。存在は信じるけれど――だって、生まれ変わりって神さまの奇跡とかじゃないと納得できないし――、そこから先はあまり信仰心がないのよ、こんな生まれだと。……何でエリザのまま生まれたのかとは今も思うわ。

(神官長、神の託宣……嫌な予感しかしないわ)

 手が、汗ばんできた。額も脂汗? というのをかいちゃってるのよ。

 ねぇ、あたしはどうなるの。あたしは今の人生を楽しみたいのよ。おバカさんで可愛い弟だっているし、友達だってもっと作りたいわ。

―――そりゃ、先の世のことは引きずってるわよ。夢に見るくらいに、ね? やけにリアルな、ロランの夢。ロランが、生まれ変わってもあたしを求めてくれた夢。

 ねぇ、神官長。何かいってよ。

「………」

「すごく、警戒してしまいましたか?」

―――そりゃ、するわよ!「でもわたくしは確かめたかったんですよ。あなたが本当に、」

と、そこで神官長は身を乗り出して、緊張と警戒から固まって動けないあたしの右手首を掴んだ。

「やはり、ですね」

 神官長が、あたしの袖口を捲ってそう呟いた。そこには――あたしの手首には、何かで縛ったような不自然な痣があるのよ。生まれつき、のね。幅広の布か何かで縛ったような赤みを帯びた痣が。

 この痣は――――ロランの左手首と結んだ場所よ。エリザだったあたしの手首と、ロランの手首を赤い布で結んだ跡。何の因果か痣は年々色濃くなってきてる。まるで、結んだ赤いハンカチみたいな色に近づいているように。

 でも、何で神官長がこれを見て「やはり」というのよ?

「………っ」

 さらに警戒心が強くなったあたしは、腕を引っ込めようとしたけど、神官長の力に負けてしまった。びくともしないのよ。この人、すごく力が強いんですけどっ?!

「あなたが、魂駆けして姿を戻した子だわ、やはり」

と、確信してるようなとこ悪いんだけど。さっきから、何が「やはり」なのよ?!

「やはり、あなたが――エリザなのね」

「え、あ……はいぃっ?!」

 今、何ていいましたかこの人ぉおおおっっ!!

「ようやく、見つけました」

 だから、何を! 何を、誰を?! あたしがすっごく混乱しても、仕方ないわよね。ないわよねっっ!!



―――だから、あたしは気づかなかったのよ。言い訳じゃあないけどね、気づかなかったのよ、気づけなかったの!

「……………」

 あたしたちが入ってきた扉とは別の扉が神官長の後ろの壁にあって、その扉がいつの間にか開いてて――そこに、二人の人影があったなんて。二人の人影のうちの片割れが、あたしを穴が開くくらい見つめていたことを。


次回、ついに!

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