特別編7話「夜泣き対策会議!パパママ眠れぬ日々編」
▶︎1. 「うぉぉぉん!!!」深夜2:13
「うぉぉぉん!! ふぎゃぁあぁああん!!」
「……またかぁ~~~~~」
舞子がうめいた。時計を見る。午前2時13分。
今日ですでに4回目。
寝たと思ったら、30分後にまた泣く。
そのたびに授乳→オムツ→寝かしつけ→振り出しに戻る。
「ゆ、悠真……あんた、時空のループに入ってるん……?」
隣の誠は、顔にタオルを乗せて横たわっていた。
「誠ぉ~~~~~!!!起きて~~~~~!!!」
「……ん……なにか……燃えてますか……?」
「ちがう!!!赤ちゃんや!!!悠真が!!!MAXで泣いとる!!!」
「……そうですか……泣いてますね……(←寝言)」
「寝言ちゃうわ!!起きろ!!!」
舞子のフライパン並のツッコミで、誠はようやく体を起こした。
「……対応します……!今すぐ、ミルクを……いや、ミルクはさっきあげた……?オムツ……?」
「たぶん……構ってほしいやつや」
「出た、“構って泣き”……最強のやつ……」
▶︎2. 「眠い」「でも可愛い」「でも眠い」
誠が、ゆらゆらと悠真を抱っこする。
「お~よしよし……わかったよ……お父さん、寝たふりしてごめんな……」
舞子はソファに沈み込みながらボヤく。
「この生活、いつまで続くんやろ……寝ても覚めても泣いてるな、うちの人生……」
誠:「でも、かわいいですよね……?」
舞子:「……かわいいよ。見てこれ……眉毛と鼻の間のしわ……まるで漫画の“キレそうな小動物”や」
誠:「見えてきました……チンチラ系の表情……」
悠真:「うぎゃっ(※バリトン調)」
ふたり:「「今の声、低ッ!!」」
▶︎3. 夜泣き対策会議、始動
翌朝。ふたりはカフェインに頼りながら、
テーブルにメモ帳を広げていた。
「……というわけで、本日開催。夜泣き対策会議、第1回!」
「拍手ー(ぱちぱち)」
議題①:「夜泣きに効く“静音テクニック”とは」
議題②:「夫婦交代制、見直しのタイミング」
議題③:「いっそ、起きてNetflix見るのはアリか」
舞子:「①は、“ホワイトノイズ”とかええって聞いたけど、どう?」
誠:「それ、試したけど、うちの子はホワイトノイズよりも掃除機で泣き止みました」
舞子:「クセつよいな」
誠:「②については、交代制でやるとして、問題は“どこまでをワンターンとするか”ですね。授乳・ゲップ・寝かしつけまでが1ユニットなのか……」
舞子:「なんやそのRPG風の言い方」
誠:「あと③ですが、眠れないならむしろ諦めてエンタメに逃げるのもひとつの手では?」
舞子:「“夜泣き×Netflix”コラボはたぶん泣けるドラマ見て泣く流れやな」
▶︎4. 深夜3:27、「一緒に起きる」をやめてみた
その日の夜、さっそくふたりは“交代制”を試すことに。
誠:就寝22時~2時 → 起きて対応
舞子:2時~6時まで対応 → 6時から1時間寝かせタイム
午前3時。
舞子がミルクを温めていると、ふと誠がそっとブランケットをかけてくれた。
「ありがとう。あんた、さっき寝たばっかりやろ……起きてくるとか優しすぎん?」
「ちょっと……寂しくて」
「なにそれ、かわいい」
誠:「……でも、同じ夜を共有してる気がして、ちょっと安心するんですよ。
今この瞬間も、君と一緒に“育ててる”って実感があって」
舞子:「…………そういうこと言うから、寝不足でも惚れてまうんやで」
誠:「計画通りです」
舞子:「計画すな」
▶︎5. 小さな朝と、大きな幸福
午前5時40分。
悠真はようやくすやすや眠り、
カーテンの隙間から、うっすらと朝日が差し込んでくる。
舞子はソファで眠っている誠に、毛布をかけながら、ふと悠真を見た。
(あんたなぁ……めちゃくちゃ泣くし、寝へんし、暴れるし……
でもな、こんなに“愛される存在”ってあるんやなって、思うよ)
誠が目を開ける。
「……おはよう。もう朝?」
「うん。でも……この朝は、なんか好きやな」
誠は寝ぼけた顔のまま、微笑んだ。
「……“君と寝不足になる人生”も、悪くないね」
「……せやな。うちも、そう思うわ」




