4.依頼受注
「まずは一つ依頼を受けましょう」
セイカはカヨを連れ、たくさんの紙が貼られている壁の前へ行った。
「これは?」
「これが依頼書。さっきは依頼には大きく分けて二つあると言っていたでしょう? でも、さらに分けることができるの」
壁には線を引かれ、三つに分かれている。
「ここは通常依頼。主に魔物の討伐など、常に依頼が出されているものよ」
「この数字は何を表しているの?」
魔物らしき名前の下に数字が振られている。
「これは討伐報酬よ。魔物を討伐して、討伐確認部位を持ってくるとここに書かれている分の報酬を得られるの」
「……換金表?」
「なかなかいい表現をするわね。でも、その通りよ」
「ここにない魔物を狩ってきたら交換してくれないの?」
「そんなことはないわ。でも、だいたいは付近に生息している魔物が網羅されているわ」
セイカは通常依頼の隣を指差した。
「それで、こっちが特別依頼」
「こっちは期限がある」
左右を見比べていたカヨがポツリとこぼした。
「ええ、特別依頼は期限付きの通常依頼といったところね」
「あと、魔物の討伐依頼が少ない?」
「そうね。特別依頼は主にギルド以外からの依頼が多いわ。それと通常依頼は先に討伐してから依頼を受注することができるけど、特別依頼は受注を先にしないといけないの」
「そうなんだ。じゃあ、最後のこれは?」
「これは指名依頼よ」
「わかった! 特定の冒険者に依頼できるんでしょ?」
「正解よ。人物じゃなくて、ランクで指名することもできるのよ」
カヨはキョロキョロといくつかの依頼を見る。
「いっぱい種類があるんだね」
「今日はおつかい系よ」
「さっきも言っていたけど、そのおつかい系って何なの?」
「例えば、これとかこれとか、あとこれもね」
セイカが指差したのは特別依頼と指名依頼の欄に貼られているものだ。それらは、荷物の運搬を手伝ってほしい、畑の収穫を手伝ってほしい、薬草を採ってきてほしい、など人手を求めているものだ。
「何か気になるものはあるかしら?」
カヨはしばらくおつかい系と言われた依頼を見ていたが、決まったらしく指差した。
「これは?」
依頼内容は荷物の運搬を手伝ってほしいというもので、依頼者はマラザス商会。
「良いチョイスね。マラザス商会の会長とは顔なじみだから、安心して受けられるわよ」
安心して、ということは、
「もしかして、受けちゃダメな依頼もあるの?」
「ええ、もちろんあるわ。依頼を受けて行方不明、実は人身売買されていました、なんてこともあるからしっかりと見極めることが大事なのよ」
ギルドが信用できると判断した依頼者の依頼しか掲示しないから、そんな事態になるのは低いが皆無というわけではない。やつらも悪知恵を働かせる。
「気をつけないと」
カヨはぎゅっと両手を握りしめてつぶやいている。
「ふふっ。これを受注しに行こうか」
受注、と看板がかけられたカウンターへと向かう。
「受注ですね。依頼書とギルドカードの提示をお願いします」
壁から剥がした依頼書とギルドカードを受付係に渡す。
受付係はテキパキと作業する。四角い水晶の板にギルドカードをかざし、依頼書もかざした。水晶が輝いたが、すぐに収まった。
「これで受注は完了です。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
返却されたギルドカードを受け取る。
「で、セイカさん! あたしは今聞きたいことだらけなんですけど!」
受付係は、彼女たちの後ろに冒険者がいないことを確認して言った。
「落ち着いて、紹介するから。この子はカヨ、私のパーティメンバーで弟子のような子よ」
その言葉に大きな目をさらに大きく見開いた。
「弟子?! パーティ?! 今までソロだったセイカさんが?!」
頭を抱えてしまった。
「セイカ、この人誰?」
カヨがセイカに問いかけた。
「呼び捨て?!」
「この受付係はアリス、受付係よ」
「テキトー! もっと大事なところがあるのに! このブロンドピンクの髪とエメラルドグリーンの瞳がかわいい受付嬢ですよ!」
「仲いいんだね。知り合って長いの?」
「そうかしら? 私がルミーノ王国に来てからだから、半年ぐらいよ」
「うん。アリスさんと話しているときのセイカ、とっても楽しそうだよ!」
「彼女のこともアリス、と呼び捨てでいいわよ」
「勝手に話が進んでるー!」
この間アリスはセイカのカヨの二人に完璧にスルーされていた。憐れなアリスだ。とうとうカウンターから出てきた。
「無視しないでくださーい!」
「無視なんてしていないわよ。カヨは冒険者なりたてだから、色々と説明をしているのよ」
「そうことですかー。じゃあ、この受注の仕組みも説明しましょうか?!」
カヨがアリスの方をぱっと見た。
「知りたいです! 教えてください!」
アリスは腰に手をやり、胸を張って答える。
「ギルドカードと依頼書は情報を記録する魔法具なのです。そして、この水晶はその記録された情報を書き換える魔法具なのです!」
つまり、
「水晶を通して、ギルドカードは依頼受注に情報が、依頼書は受注済みに情報が書き換えられたのです!」
「すごい仕組みなんだね」
目を輝かせてその三つを見つめている。
「ふふーん。このルミーノ王国王都ラントル支部の受付嬢アリスに答えられないものなどないのです!」
そのとき、ゴーンゴーンと鐘の音が鳴った。
「間が悪い……」
ブイと突き出したピースサインがガクリと落ちた。
「これより、冒険者ギルドラントル支部は昼休憩に入ります。冒険者の方々は速やかに出ていってください」
別の受付係の退出を促す声が響き渡った。
「また依頼を達成したら来るわ。アリス、貴女もサボらないで真面目に働きなさいよ」
「あたしはいつだって真面目です!」
じゃあまた明日、と言ってセイカとカヨはギルドを出た。
おつかい系は、おそらく私のオリジナルになるのですかね? あまりこれがおつかい系、という具体的な枠組みはありません。戦闘以外が主に該当




