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世界をめぐる誓いー紅碧の邂逅ー  作者: Nodoka
1.ルミーノ王国編
4/7

3.冒険者登録

 ギルドの中に入ると奥にカウンター、手前にテーブルがいくつかあり冒険者たちが雑談をしている。


 「ふむ、ここでは話しにくいでしょう。奥に行きましょうか」


 実に細やかな気遣いができる御仁だ。

 カウンターより奥に応接室がある。高位冒険者や特殊な事情のあるものがここに通されることが多い。あとはギルドと冒険者間の密談など。


「あなたが推薦など初めてですな。どういった事情があるので?」

「カヨ、全部話すけどいいかしら?」

「うん、全部任せるよ」

「先程も言いましたが、彼女の名前はカヨで、冒険者志望です。私が推薦します」


 ここで止めると大きく息を吸った。


「――彼女は記憶喪失です」

「それはまた、想像の斜め上をいきましたな」

「ですが、冒険者に過去は必要ないですよね? それに私が連帯保証人になります」

「あなたがそこまでいうなら問題はなさそうですな。確かに冒険者に過去は必要ないですしな」


 ちらりと意味ありげにセイカを見た。


「さて、カヨ殿。冒険者という職業を理解しておりますかな?」

「魔物を狩ったりする何でも屋、ってセイカが言っていました」

「はっはっはっ、何でも屋とは。良い例えですな」


 その通りですがな、と続けるギルマスをカヨはじっと見つめる。


「冒険者ギルドはあなたを歓迎します、冒険者カヨ」


 大輪の花が咲いたような笑顔になった。

 思わずといった様子でセイカがカヨに抱きついた。苦しい、と腕を叩かれてようやく離した。


「では、こちらの用紙に記入を」


 名前、年齢、職業、属性など複数事項ある。


「セイカ。わたし名前以外わからないけど、どうしたらいい?」

「ああ、それは名前だけでいいわよ」


 ギルマスは何も言わないからそれでいいのだろう。


「Bランクの推薦となるとEランクからにできますがどうされますかな?」

「それでお願いします」

「あなたたち二人はパーティを組むのかね?」

「ぱーてぃ?」


 カヨはその言葉を知らないようだ。


「複数人で一つのグループを組むことよ。組むか組まないかは貴女が決めていいわ」

「組む、組まない……」


 迷っている。それはそうだろう。急に選べと言われても選べるわけがない。


「カヨ殿。迷うのならば、組んだ方がいい。セイカ殿はある程度冒険者歴があるし、今のあなた一人では危険だろう」

「わたしとパーティを組んでくださいっ!」


 彼女は淡く笑って答える。


「もちろんよ」


 セイカが自身のギルドカードを取り出した。


「お願いします」

「では、少々お待ちを」


 そう言うとギルマスは応接室を出て行った。


「カヨ、勝手にEランクからにしたけれど、良かったかしら?」

「うん、いいよ。全部セイカに任せるって言ったしね」


 暫くしてから、ギルマスが戻って来た。その手にはカードが載ったトレーがある。


「こちらがギルドカードです」


 カヨはきれいなカードを手に取った。


「もう少し、冒険者について説明をしておきましょうか」


 カヨはカードを見つめていた顔を上げ、真剣な表情でギルマスを見た。


「冒険者というのは……」


 要約すると以下のようになる。

 冒険者は依頼を受けてそれを達成すると報酬を貰える。

 依頼には大きく分けてギルドからのと、一般からのと二種類あるがその二つにあまり差はない。強いて言えば、一般からの方がバリエーションが豊かだ。

 また、依頼はランク毎に受けられるものが分けられている。

 さらに、冒険者は世界共通の職業である。ランクはGランクからSランクまで。現在の最高はAランクとなっている。

 個人で活動も可能だが、ほとんどの人はパーティを組んでいる。パーティでもランクがある。


「……ざっと、こんなものだが何か質問はあるかね?」

「いえ、特には」

「細かいことは私が後々教えていくわ」

「これで、手続きは終了です」

「はい、ありがとうございます」

「これから、依頼を受けるのかね?」

「まずは指導からですね。修練場に行ってきます」


 これはセイカが答えた。


「修練場は今修理中でね、暫く使えないんだ」

「そうですか。では、おつかい系から始めてみます」


 ギルマスがカヨの方を見た。


「さて、カヨ殿あなたは今日から冒険者です。あなたに戦乙女アルテナの加護があらんことを」


 祝福を受け、応接室を出た。

冒険者についての説明は、常識のように感じてしまうかもしれませんが、設定としてはっきりとさせたく、またカヨが知らないので、丁寧に書かせていただきました。

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