1.出会い
セリフの前に改行を入れる更新をしました。本文は変わっていないので、そのまま読み進めてもらって大丈夫です
一人の少女が森を歩いている。
彼女を見た者はみな、美しいと思うだろう。
長い銀髪。紅い、理知的だがその奥から溢れる好奇心と活発さできらきらと輝く瞳。しなやかさを備えつつも、ほどよく筋肉が付いた肢体。
腰には剣を帯びているが、それも繊細だ。
しかし次の瞬間、その美しい顔が驚愕に染められた。
少し先の木の陰に隠れるように人が倒れている。近づくとその人が彼女と同じ少女で、魔物か自身のかはわからないが、血がべっとりと付いているのがわかった。
少女がわずかに身じろいだ。
「っ大丈夫?! しっかりして!」
彼女は迷わず、手持ちで最高級のポーションを少女に飲ませた。
辺りを見渡しても少女の荷物らしきものはなく、少女自身も何も持っていない。
「ちょっと我慢してね」
彼女は少女を抱き上げると走っていった。
「……っ」
小さなうめき声が聞こえた。
「目、覚めた? これ飲める?」
彼女は少女を覗き込み、液体の入った容器を渡した。
「……」
得体の知れない少女と、薄い青色の液体。
最初は警戒したようだが、すぐにそれは消えたようで飲み干した。
「やっぱり、大きな怪我はしていないようね」
「あなたは?」
「私はセイカ、Bランク冒険者よ。あなたの名前を聞いてもいいかしら?」
「わたしは、ぁ…かぉ……。わたしの名前はカヨです」
「カヨ、ここがどこだかわかる?」
「……宿屋?」
カヨは迷いながら答えた。
「ええ、そうよ。ここはルミーノ王国王都ラントルにある宿屋よ」
セイカは少女の様子を見ながら、質問を続ける。
「まず聞きたいことがあるの。あの森で倒れる前、何があったのかしら?」
セイカが発見したとき、カヨは大量の血を浴びていて荷物もなかったが、外傷もなかった。
もし魔物と戦っていたのだとしたら。他の場所では怪我もなく戦うことも可能かもしれないが、あの森は違う。普通、一人で入るようなところではない。
もっとも、その森に一人でいたセイカは何者だと言われればそうなのだが。
「倒れる、前……」
「ええ。覚えてない?」
「ごめんないさい。何も」
「謝らないで。じゃあ、その前は?」
しかし、カヨは首を横に振った。
「何も覚えていません。それに、自分が誰なのかも覚えていないです、名前ぐらいしか」
「そう……」
セイカの紅い瞳が伏せられた。
「ごめんなさい、セイカさん」
「謝らなくていいわ。きっとショックで記憶が飛んだのね。それと、私のことはセイカ、でいいわよ。楽にしてちょうだい」
彼女の言葉や仕草、雰囲気は相手の緊張や警戒心をほぐす。
「はい……。うん」
二人の間に沈黙に降りた。セイカは何か考えていいるようだ。ちらりと見ると目が合った。まさかね、とセイカが小さく呟いた。
「あの、さっき冒険者って言ってたけどそれって?」
「冒険者は魔物を狩ったりするの。まあ、何でも屋みたいなものかな。興味あるの?」
「うん。でも、わたしじゃなれないよね」
「そんなことないわ。だって、冒険者は誰でもなれるもの」
その言葉にカヨが俯いてた顔を上げた。その拍子に白銀の髪がさらりと肩から落ちた。
「それは、わたしでも?」
「ええ、もちろん」
セイカとカヨの、紅と碧の瞳が合うと、どちらからともなく笑い声が上がった。
「そんな顔されたら、絶対に断れないじゃない」
いよいよ少女2人の登場です!
明日も20時更新です




