表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

飴矢名義

魔法少女☆プリンセスキューティーの転職

作者: 飴矢

「魔法少女☆プリセスキューティー、今日も可憐に推参ッ!」

 決めポーズで、魔法のステッキは頬の横。うん、今日もわたしは可愛くて最強ッ。絶対に負けないんだからね!

 何てやってる場合じゃなかった。


「ドーーーーンッッッ!!!」


「え?」


 ド派手な爆発音で敵は……一瞬で消し炭と化した。

「ダメよーう、子供は22時以降は働いちゃダメなのよ?もう、貴女の上司は何をしているのかしら……」

 憂いを帯びた顔で、妖艶なお姉様がやれやれとばかりに言っている。箒に横座りで、スリットからチラ見えお御足が素晴らしいですね。


「そして貴女、魔法少女なの?でもプリンセスって言ってたからお姫様よねぇ……どっちなの?」

 

 話し掛けてきた!!

 

「え?え???プリンセスキューティーはぁ、その……可愛くて最強の魔法少女ですっ」

 って、横のウサ耳マスコットキャラ的なのが言ってました。はい。こいつが私の上司です。

 今、めっちゃぬいぐるみのフリをしているけど浮いているからムダです。


「うんうん、頑張っているのねぇ。でも……もう良い子は寝る時間よ?子どもがこんな時間まで働くなんて……コンプラ違反だわ」

「…………んですか……」

 話していると恥ずかしくて、いたたまれない。

「ん?どうしたの?お家はどこかしら……送っていくわよぉ」

 

 優しく、あくまで優しく話し掛けてきているけど……

「何なんですか!さっきからあなたは……あとさっきの爆発は何なんですかぁ!!!」

 感情が高まると、涙が出るのは私の悪いクセだ。

 

「あぁ、泣かないでー?怖いのは……この魔女様がサクッと魔法で片付けてあげたからねぇー」

 お姉様は素敵な笑みを浮かべてらっしゃる。黒いローブに包まれた身体はそれでも分かるけしからん体型。

 これは脱いだらさらにすごいタイプ……。

 じゃなくて……


「何で、何でそんな事したんですかぁ!!」

 私が倒さないとお給料、出ないんですよ……。せっかくの夜間手当ぇ。

 えぐえぐと泣く私に魔女のお姉様は戸惑っている。

 

「えぇーとぉ、あのね?こういうのを子どもにさせるの、本当によくないと思うのよね?そこは大人が頑張れよって話じゃない?」

 児童相談所にも連絡はいるのかしら、などと呟くお姉様。



「私ッ、成人してますッ!!!」



 だから……ホント、もうやめてください。仕事なんですぅー!!


「……ん?うん、でも魔法()()なのよね?」

「魔法少女(27)ですぅー!!!」


 え……これは、思ったより……と呟くお姉様の声は聞こえた。

「分かってるんですよ!魔法少女(27)とか痛いってことはッ!でもっ……お給料がいいんです!!あと、こいつが契約時は魔法少女になるなんてそんなこと一ッ言もいわなかったんです」

 

 若い君ならやれると言われた。お給料、めっちゃよく見えたのは夜勤のみで入った場合の金額で……お肌もボロボロだよ!アラサーなめんな、このクソマスコット!!

 泣きながら不満をぶつける私。お姉様は「あらあらあら……」と困ったように相槌を打っている。


「それは契約違反ねぇ……困ったわぁ、労基にでも行く?」

「行くぅー!!!」

「待ってよ、キューティー!そんな魔女の言葉に騙されないでっ」

 こいつが、こうやって毎回阻むんだけど今日こそは!


「黙れ、お前が合法ロリって私の際どいアングルの写真を売り捌いてんのは知ってんだよ!クソが……」

 どっから出したんだってくらい低い声が己の口から出た。いっけなぁーい!

 

「あらあら、セクハラも追加ねぇー、ついでに訴えとく?」

「訴えるぅー!!」

 お姉様がいたら、私頑張れそう。このクソ上司とブラック企業と別れる勇気が出てきた!

 どさくさで抱き着いたら、いい匂いがするぅー……。


 しぶといクソ上司は何かほざいていたが、お姉様の使い魔のコウモリさんに捕まった。

 私は今、お姉様を堪能するのに忙しいので無視だ、無視。

 ――……法の下で裁かれる日を震えて待つがいい。

 絶対にお前のことは許さないからな。

 


 そして私は――……

「見習い魔女の、姫野花恋でっす☆」

「あらあら、まだ前職の名残があるわよー?」

 お姉様のところに弟子入りした。


「でも、かわいいわぁー」

 お姉様は褒めて伸ばすスタイルなのか、撫で回してくるのでそれを享受する。魔法少女時代より、確実にパワーアップしている。

 

 そして……後で分かったことなんだけどね?

 お姉様、私より年下だった。

 でもいい……こう、年下のお姉様に愛でられるのもまた趣があるというか……すごくいい。


 目下の目的はこのキューティーステッキではなくシンプルな杖で魔法を使うこと。

 ピンクのキラキラ、そして謎のリボンで飾られたステッキはあまりにも派手すぎる。


「安定するならこのままでもいいのよぉ?」

 お姉様は私に甘すぎる。

「いいえッ、この杖を使いこなして……他にもいるあのクソマスコット集団を撲滅します……」

 目からハイライトが消えた私を見て

「すっかり闇堕ちしたわねぇ、キューティー」

 お姉様はいつも楽しげに微笑んでいます。


「キューティーと呼ぶのはもうやめてくださいって言ったじゃないですかぁー!」

 

 やっと見つけたホワイト職場、見習い魔女として姫野花恋は今後も精進するので……これからも皆ぁ!応援よろしくお願いしまっす!!


魔女集会企画って楽しそうだなぁと思って、ノリで書いたらなぜ異物が出来たのでそっとこちらで供養させてもらいます……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ