79.グロウスvsハウロス・ローグベルト
「はぁ……はぁ、僕もしたことが…少し感情的になってしまった。」
グロウスは少し落ち着きを取り戻し、頭を抑えながら2人を睨みつける。
「は、はは…こんな2人に我を忘れることなんてないんだ。冷静に行こう！」
グロウスは膝を曲げ姿勢を低くすると、一気にハウロスとローグベルトに向かって距離を詰める。
「任せい！」
グロウスの素早い矛をローグベルトは盾で防ぐ。
「そのまま動くなよ！」
ハウロスは手元の魔鋼と地面に落ちている多数の魔鋼を針の様にに伸ばし、ローグベルトを避ける様にグロウスを攻撃する。
「ちぃ、本当に目障りだね！君は！」
体を捻りグロウスはなんとかハウロスの攻撃を避けている。
……
「俺が盾だけだと思っているのか？」
ローグベルトは盾の裏で手斧を振り上げている。
「地動斧！！」
ローグベルトが大振りに手斧を振り下ろすと、グロウスは矛で受け止めるが、その威力に大きく後方は飛ばされ、地面に打ち付けられながら倒れ、転がっていく。
「今だ！小僧！」
ローグベルトとハウロスはここが攻め時と、一気にグロウスを追い詰めていく。
そして倒れ込むグロウスへ、ローグベルトは手斧を振り下ろし、ハウロスは魔鋼で作った剣を振る。
ふたりが攻撃をする瞬間、倒れ込んでグロウスは素早く起き上がり、目の前から消えるかのように2人の上空を回転しながら飛び越え着地する。
「あんまり舐めないでよね？」
「！！？」
「ガハッ」
ハウロスとローグベルトは気付かぬうちに体を多数切り裂かれ、その場にへたり込む。
「くそ……」
「なんだ。見えなかった…。」
「さぁ、もう終わりかい？僕はまだ君たちを切り裂かないと気が済まないよ？」
「くそ…早すぎるぞ、お前の魔鋼でどうにか足止めできんのか。」
「魔鋼は手元にあるのはほぼ使っちまって、落ちている物を拾いながら戦ってるんだ。足止めできるほど量はない。」
「さっき落ちている魔鋼も変形させてただろう？」
「あれは、近くに落ちているやつじゃないと操れない。それに一度あいつに見せてしまったから不用意に近づいてこないんだよ。」
「なるほどな……」
「なんだ？作戦会議か？いまさら君たちにできることはないよ。
そっちの君は盾は厄介だけど攻撃自体は鈍重なパワータイプ。そして君は近づかなければ怖くない能力重視のテクニカルタイプ……もう見切ったよ。」
「ふ…どうかな。」
ローグベルトは盾を前面に構え、2人はそれに身を隠す様に下がる。ハウロスは周囲の魔鋼を棘のように変化させ、迎撃の体制を取る。
「守ってばかりじゃ、僕には勝てないよ！」
グロウスは真っ向から矛を構え突き進む、大きく薙ぎ払うように矛を振り、盾に打ち付ける。
「盾は切れなくても、体制を崩してしまえばあとは斬るだけさ！」
盾はグロウスの力強い攻撃に横に流されるようにこじ開けられる。
「不用意に近づいたな……？」
「……！！」
こじ開けた盾の裏から出てきたのはローグベルトではなく、ハウロスだった。
ハウロスはすぐに地面に多数配置していた魔鋼を変化させ、足を固定する。
「今だぁ！」
ハウロスの背後からローグベルトが飛び出し、身動きの取れないグロウスに向かって斧を振り下ろす。
「地動斧！！」
「ぐあぁぁ！」
グロウスは矛で防御するが、大きな魔力を帯びたローグベルトの一撃は矛ごとグロウスを地面に打ち付ける。
グロウスは口から血を吹き、グロウスが叩きつけられた地面はひび割れし、グロウスを中心にクレーター状のへこみを作る。
