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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
三章 戦士団ヘリオサマナ編

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3-4「クレア砂漠の脅威②」



 話を聞くと、盗賊達はレルフ共和国のとある人物から依頼を受け、この魔車を襲ったらしい。


 その依頼人は“戦士X”を名乗っていたという。


「ガルム・プラウドとの会談が漏れていたのか? あるいは……」


「戦士Xというのも偽名でしょうね。」


「まぁ、そうだろうね。」


「とりあえず、危機は去りました。

 アーレルド様に、情報が漏れている可能性があることを伝えておいてください。」


「はい。」


 ――その時だった。


 地面が大きく揺れ始める。


「何だ!?」


 地響きのような低い音が響き、周囲一帯の大地が震えていた。


 そして、目の前の砂地が大きく陥没し始める。


「これは……」


「皆さん! 離れてください! クレアワームです!!」


 グラールが叫ぶと同時に、陥没した地面の中から巨大なミミズのような生物が飛び出した。


「ギイィィィ!!」


 金属を擦り合わせたような耳障りな咆哮。


 その全身には、目玉のような赤い球体が無数についており、ぎょろぎょろと周囲を見回している。


 悍ましい姿と耳をつんざく異音に、その場の戦士達は一瞬身体を硬直させた。


「なぜ夜でもないのに……」


「ひぃぃ……!」


「中級魔術 火炎爆発(ラルスパーク)


 カルマはクレアワームへ向かって炎球を放つ。


 炎球は着弾と同時に大きな爆発を起こす。


 だが――クレアワームに目立った損傷はない。


「慌ててもしょうがない! 倒すんだ!

 グラールさん、外交官の魔車を先に行かせて!ここは俺達で食い止めよう!」


「そうですね……すみません。カルマ君。」


 グラールはアーレルド達の魔車を先行させ、自らも剣を構える。


「皆さん、やりますよ。」


 その言葉に、サジ、セオドア、リアも頷き、それぞれ身構えた。


 その瞬間、クレアワームの姿が消える。


「なっ……」


 クレアワームは一瞬で地中へ潜ったのだ。


 地面の下を巨大な何かが蠢くように、地響きが走る。


「一体どこから来る……」


 次の瞬間、クレアワームはサジの足元から勢いよく飛び出した。


「うわっ……!!」


 サジは咄嗟に飛び退くが、その腕を牙が掠め、血が流れる。


「カルマ君!」


「うん!」


「魔剣フレイア……!」


 カルマは剣へ炎を纏わせ、クレアワームへ斬りかかる。


「剣術 燕返し!」


 グラールも二連撃の剣術で追撃する。


 二人の攻撃は確かに体皮を裂いた。


 だが、大きなダメージには至っていない。


「サジさん!!」


 セオドアが慌てて回復魔術を施す。


 サジの傷自体は浅い。


 しかし、傷口から腕全体へかけて紫色に変色していた。


「毒か……!!」


「サジさんに解毒術をかけます!

 その間、お願いできますか!?」


「っくそ、やるしかないね……!」


 クレアワームは全身の目玉をぎょろりと動かし、グラールとカルマへ視線を向ける。


 その視線だけで、二人の背筋に寒気が走った。


 その時だった。


 カルマとグラールの背後から、巨大な角を持つ猪のような魔獣がクレアワームへ突進する。


亥ノ宮がいのみや 大猪主(おおいぬし)ボアロード」


 リアが召喚した魔獣だった。


 ボアロードは巨大な角をクレアワームの横腹へ押し当て、その巨体を押し上げる。


「リアの召喚獣……!」


 しかし、その直後。


 ボアロードの身体が徐々に黒く変色していく。


「体にも毒があるの!?」


「ブフォォ!」


 毒が全身へ回ったボアロードは、その場へ倒れ込む。


 そして術が解けるように光となって消えてしまった。


 次の瞬間。


 クレアワームの無数の目玉が一斉にリアへ向く。


「っ……!」


 クレアワームは伸縮自在の身体を勢いよく伸ばし、リアへ牙を向けて襲い掛かった。


「きゃあ!」


 ――その瞬間。


 リアへ迫っていたクレアワームの身体が、大量の体液を撒き散らしながら大きく裂け飛ぶ。


「え……?」


 リアが恐る恐る閉じていた目を開ける。


 そこには、巨大な炎を纏ったカルマが、空間を裂くように剣を振り抜きながら宙を舞っていた。


「魔剣術

 (ほのお)

 抜ノ型(ぬきのかた)

 炎閃斬(えんせんざん)


「カルマ!」


「一回下がれ!

 このくらいじゃ倒せない!」


「ギイィィィ!!」


 クレアワームは伸ばした身体を引き戻し、再び金属音のような叫び声を上げる。


「……くっ、また!」


 カルマ達は耳を押さえた。


 次の瞬間。


 クレアワームは自身を中心に、円状の衝撃波を放つ。


 その衝撃波は地面を砕きながら、周囲へ凄まじい勢いで広がっていく。


「やばい! みんな、逃げろぉぉ!」


 地面を破壊しながら進む衝撃波は、どんどん速度と規模を増していく。


 グラール、サジを抱えるセオドア、リア達は必死に逃げる。


 だが――間に合わない。


 高威力の衝撃波を受け、戦士達の身体は宙へ吹き飛ばされ、そのまま地面へ叩きつけられた。


「がっ……!」

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