3-1「到着ルードミリシオン④」
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翌日。
カルマはヘリオサマナ本部近くの店で昼食を取っていた。
すると、不意に同じ席へ三人の男女が座ってくる。
「えっと……誰?」
「俺はクレイン! ヘリオサマナの剣士だ!
お前あれだろ? アリディア様が言ってた……甥っ子?」
「いや、違うけど。」
「相変わらずバカね、あんた。」
隣に座る茶髪の女性が呆れたように言う。
「違うわよ。確か……隠し子?」
「だとしたら隠れてないね。」
「あ、確かに。」
「二人とも違うよ。この子はアリディア様が助けた“運命の子”だろ?」
「あー、そうだったそうだった。」
三人は勝手に納得して頷いている。
「それで、君達は?」
「あー悪い悪い。俺はヤクモ。上級剣士だ。」
「ちっ、なったばっかのぺーぺーだろが……」
クレインがぼそりと文句を漏らす。
「私はリア・ミラ・パドロス。中級魔術士よ。よろしくね。」
「カルマ・ミラ・フィーラン……どうも。」
「どうした? 緊張してんのか?」
クレインは気安くカルマの肩を叩きながら笑う。
「いや、緊張というか……昼食取りに来ただけなのに、なんでこうなったのかなって。」
するとヤクモが苦笑しながら口を開いた。
「悪いな。
戦士の中には君達を良く思わない奴もいるけど、こいつらみたいに純粋に興味を持ってる奴もいるんだ。
もし迷惑じゃなければ、少し話し相手になってやってくれないか?」
「まあ、話くらいなら別にいいけど。」
「さんきゅーカルマ!」
クレインは調子良く笑う。
「それで、アリディア様とはどこで出会ったんだ?」
「生まれ故郷のカストリアで。五年くらい前かな。」
「カストリア生まれなのか。珍しいな。あそこ戦士協会ないだろ?」
「うん。だからこうして、カストリアを出たんだ。」
「何で戦士になろうと思ったんだ?」
「ああ、それは兄が戦士だから。」
「彼は戦士ダグラスの弟だよ。」
ヤクモが補足すると、クレインとリアが同時に目を見開いた。
「え!?」
「あ、ごめん。言わない方がよかった?」
「いや、大丈夫。隠してるわけじゃないし。」
「そうか。ならよかった。」
少し間が空く。
やがてカルマは、ふと思い出したように尋ねた。
「そういえば、ラディールっていう戦士はどういう人なの?」
「ラディール?
ああ、元々フリーの戦士で、この辺じゃ有名だった奴だよ。」
「有名?」
「ああ。良い意味ではないけどな。」
「どういうこと?」
「他の戦士団が受けてる任務だろうが、報酬が良ければ平気で被せて受注するんだよ。
しかも実力は本物だから、そのまま他所を出し抜いて任務を完遂しちまう。」
「それでついたあだ名が“横取りのラディール”ってわけ。」
リアが肩をすくめる。
「ふーん。でも、戦士同士で依頼取り合うなんて普通じゃない?」
「まあな。実際、僻みもあったんだろうさ。
任務達成数は頭一つ抜けてたからな。」
「でも、そんな人がよくこんな大きい戦士団に入れたね。」
「アリディア様は、その辺かなり寛容だからな。
ラディール本人が乗り込んできて入団希望出して、そのままお前達と同じように公開試験で合格したんだ。」
ヤクモは苦笑する。
「まあ、ヘリオサマナ入ってからは流石に大人しくなったけどな。
実力は本物だが、プライドは高い。正直、あんまり気持ちのいい奴ではないな。」
「私も、あの人ちょっと怖いかも……」
「ふーん。で、どんな術を使うの?」
「いや、それが基礎魔術以外見たことないんだ。」
「え?」
「ヘリオサマナに入ってから、応徳魔術を使ってないんだよ。それでも基礎魔術だけで十分強いんだけどね。」
「応徳魔術、使えないの?」
「さあな。
でも、アリディア様に心酔してるから使わないんじゃないかって話もある。」
「どういう意味?」
「ん? 知らない?
アリディア様って、応徳魔術使えないんだよ。」
「え? アリディアさんって、天級魔術士の中でも上位の魔術士でしょ?」
「そうさ。
あの方は、おそらく現代最高峰の魔術士だ。
しかも、それは応徳魔術の力じゃない。“基礎魔術だけ”で、だ。」
「まさに規格外よねぇ。」
カルマは言葉を失った。
魔術士であるカルマだからこそ、その異常さが理解できる。
基礎魔術は研究され尽くした魔術体系だ。
当然、強弱や習得難度の差はある。
だが、それらは魔導商店へ行けば対策法まで並んでいるような、既知の魔術でもある。
その基礎魔術のみで現代最高峰に立つ。
それはつまり――威力、発動速度、回転数、その全てが常識外れということだ。
正真正銘、“規格外”。
「で、なんでラディールのこと聞いたんだ?」
「いや、昨日会って……喧嘩売られたというか。」
「はは、目ぇつけられたか。
まあ気にするな。珍しくもない。」
「ははは……そうだね。」
そんな中、リアがふとカルマの眼帯を見る。
「ちなみにカルマ、その眼帯どうしたの? 怪我?」
カルマは周囲を見渡した。
店内はかなり賑わっており、他の席には食事や談笑を楽しむ客達が大勢いる。
「んー……ここではちょっと。」
「えぇー! なにそれ!」
「まあ、明後日になればわかるよ。」




