65.作戦開始
作戦決行の前日、カルマは顔を隠しながら街へ出る。
路地を通り空き地にでると、そこにはアマンダの姿があった。
「カルマ殿、どうしたんです?」
アマンダはカルマに呼び出されてその場所に来ていた。
「明日の作戦なんだけど…」
カルマはアマンダに"ある作戦"を伝える。
ー作戦決行当日ー
カルマは1人で王宮の階段前に来ていた。
「よし……いっちょ派手にいきますか。
ここから始まる、俺たちの初任務だ。」
カルマは王宮の階段を駆け上る。
「あ、こいつ何日か前の!」
「まてっ!」
衛兵達もカルマに気付き、追いかけてきている。
カルマは目もくれず階段を登っていく。
ハウロスやカミルの姿はない。
目の前に王宮の大扉が見えてくる。
カルマは扉の前に来ると2人の衛兵を気絶させ、扉に向かって手を向ける。
カルマはその右手に魔力をためる。
「中級魔術 火炎爆発」
カルマの掌に大きな炎の玉が作られる。
炎の玉は回転しながら扉に向かっていく。
炎の玉が扉に触れた瞬間に爆発が起こり、扉が崩れ落ちる。
「よし、うまくいった!」
カルマはユバルバの商店で購入した魔道書から中級の魔術を会得していた。
カルマが崩れ落ちた扉から王宮内に侵入すると、そこは広いロビーになっており、中にいた貴族達が大慌てで逃げ惑う。
「襲撃だー!」
「何者だ!!」
カルマはあっという間に中にいた衛兵に囲まれ、貴族達は奥に見えるもう一つの扉へ向かって必死に走っている。
「カルマリスタの初任務だ。悪いけど邪魔はさせないよ!」
カルマは剣を抜くと炎を灯し、衛兵に向かって飛びかかる。
―作戦会議の時のこと(回想)―
「王宮の入口は…東と西の二つか?」
「基本的な出入口は東西の大扉の二つだ。扉は一階にある大きなロビーで繋がっている。
だが、実際には出入口はもう一つある。」
「どこ?」
「ここ。北側にある炊事場の裏だ。
王宮を裏側に回ったところに炊事係が出入りする為の小さな勝手口がある。」
「なるほど。ロビーには貴族達がいるから、炊事係の人間が道具を持って正面の扉を通るわけにはいかないよな。」
「そっか。ハウロスも王宮には入ったことあるんだもんね。」
「一階のロビーだけですけどね。」
「じゃあ勝手口からこっそり侵入する?」
「いや、勝手口といっても多少の見張りはいる。
普通に行けば見つからずに侵入するのは無理だ。」
「普通に行けば?」
「ああ、だから1人は正面から堂々と侵入してもらう。
なるべくド派手にな。」
「なるほど。囮か。」
「人が正門に集まったら、残りの者が勝手口から侵入する。」
「じゃあ。その囮の役は俺がやるよ。」
「え!?いやボスはダメです。」
「なんで?俺の魔術なら派手に行くのに合ってると思うけど。」
「危険です!」
「危険は承知のうえだし、それにどこから入ろうが危険は伴うだろうしね。」
―回想終了―
カルマは作戦通り、剣と魔術を使いロビーで派手に暴れまくる。
「くそ!こいつを止めろー!」
衛兵は次々とカルマの魔術によって倒れていく。
カルマは2階へと続く階段を見上げる。階段の先には扉があり、扉の前にも複数の衛兵がいる。
「2階には絶対に行かせるな!」




