56.救援
「終わったな」
「……ごほっ!ごほ」
「!?」
土煙の中からカルマが姿を現す。
カルマは地面からいくつかの氷の柱を立て、その隙間で何とか身を守った。
だが、すでに体は傷だらけで、魔力すら尽きかけていた。
「おい、大丈夫か?バラン」
「ごほ……うっ」
バランは一度土砂にのまれた事で意識を失っているが生きている。
「命中を避けたか」
「負けられない……」
「?」
「確かにお前の力はやっかいだ。それに魔力ももうあまり残ってない。だけど、お前達みたいな戦士に俺は負けない。」
カルマは足に魔力を込め、土砂の中から飛び出す。
「早い……」
(残りの魔力的には魔剣術はあと一回……)
カルマは素早く動きながらダースへ向かって距離を詰める。
ダースも地面から土や岩の欠片を操り攻撃するが、カルマの魔剣フレイアにはじかれていく。
「お前の魔術の物量は確かに驚異だけど、大きな質量を操るにはそれだけ時間がかかるんだな!」
「ちっ!」
カルマはダースの頭上へ飛び上がり剣を振り上げる。
その剣にはこれまでより大きな炎が灯っている。
「全ての魔力を集める……
魔剣術 下 地砕炎剣!」
それは以前カストリアで兄ダグラスが見せた剣技に似た技であった。
カルマは最大限に強化した炎の剣をダースに向かって振り下ろす。
ダースは地面を操り、自らを覆う様に地盤を動かす。
カルマの剣がダースに向かって一直線に振り下ろされた。
カルマ魔剣術とダースの大地が触れると、大きな爆発が巻き起こる。
辺りに起こる熱風と白煙、そしてはじけとぶ大地の欠片……
「く、くそが……」
煙が晴れるとダースが頭を抑えながらフラフラと歩く。
その肩からは血が滴っている。
そしてカルマは地面に膝をつき、地面に突き刺した剣で体を支える様にしている。
「残念だったなぁカルマ……俺の勝ちだ……」
ダースは体を引きづりながらカルマの前に立つと、手をカルマへ向ける
その時だった。
カルマへ向けたダースの腕に矢が刺さったのだ。
「うがっ!なんだ?」
「うちのボスになにしてるんだ?」
「カルマ、大丈夫か?」
カルマの前にハウロスとカミルが現れ立ちはだかる。
ハウロスは魔鋼で作った剣を、カミルは双刃弓を構える。
「ちっ、増援か……この状態で相手すんのはちょっと無理だな。」
ダースは両手を上げながら後退りし、その場を去ろうとする。
カミルが矢を射るが、ダースの足元の地面が盛り上がり矢を防ぐ。
「!?」
「気をつけろ、そいつは周囲の大地を操る応徳魔術を使う。」
「悪いな。ここは退かせてもらう。うちの仲間もおたくのボスにやられちまって、もう任務も達成できそうにねーしな。だが。名は覚えておくぜカルマ」
「まて!」
ダースは意識を失っているローグベルトとクレディアを操った土の塊に乗せ、その場を立ち去った。
カルマはそれを見届けると、気を失った。
「カルマ!?」「ボス!!」




