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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編

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2-6「ミルズ王国の救世主①」

___

 

「陛下、王国軍が到着したようです。」


「ひゃははは!これで侵略者どもも終わりだな!」


「ええ。三傑は手間取っているようですが――」


 ドォン!!


 馬車の前方に土煙が立つ。


「何だ!?」


 その煙の中から、カルマが現れる。


「……っ、痛。」


「衛兵!曲者だ!」


 ボルドーの号令と同時に、護衛が一斉に斬りかかる。


「魔剣フレイア」


 カルマは剣に炎を灯し、一瞬にして、衛兵の2人を切り伏せる。


「くそっ、なんだこいつは!」


「我が兵は何をしている!」


 その時…


 王宮の大扉から、大量の兵が駆け出してくる。


「おお!来たか!」


 ドルドスが歓喜の声を上げる。


 だが――


 様子が、おかしい。


 兵たちは、カルマに向かっているのではない。


 顔は蒼白。

 恐怖に歪み。

 何かから“逃げている”。


「な……?」


 最後尾、轟音とともに、土煙が巻き上がり、兵たちが宙を舞う。


 鬼の様な表情を浮かべながら、逃げる兵の中を突き進む。一人の男。


 その姿はミルズ三傑 筆頭剣士ガーディス。


 その眼は、怒りではなく“断罪”を宿していた。


「ドルドス……」


 低く、響く声。


 ドルドスの顔から、笑みが消える。


「ガーディス!?なぜ奴が国軍兵を薙ぎ倒しておる!?」


「観念しろ、ドルドス。

 ガーディスには真実を話し、ミルズ三傑は崩れた。

 ……もうお前の負けだ。」


「真実だと?何を――」


「久しぶりですなぁ、殿下。」


 低く、枯れた声。


 カルマの背後から現れたのは、闇商人ユバルバだった。


「お前……まだこの街にいたのか!?」


「もう、終わりにしませんか。殿下。」


「何を戯れ言を――」


「あなたに手を貸したこと、わしは後悔しております。

 あの魔導符をどう使うか、わしは聞かなかった。

 ……聞かぬふりをした。」


 ユバルバの目は、静かに濁っている。


「止められなかった責は、わしにもある。」


「黙れ!貴様は国外追放にしたはずだ!

 兵は!?他の兵はまだか!?」


 ドルドスの声に、明らかな焦りが滲む。


 ガーディスはもうすぐそこまで迫っている。


「ドルドス、お前は詰んでいる。」


 カルマが静かに言う。


 その時――


 別の王国軍部隊が到着する。


「はははは!なにが詰みだ!

 貴様こそ終わりだ!」


 ドルドスは安堵の笑みを浮かべる。


「その小僧を捕らえよ!!」


 ……


 だが、兵は動かない。


「……?どうした?命令だぞ!」


 一人の兵が、静かに前へ出る。


 そして、ドルドスに剣を突きつける。


「なっ、何をしている!?貴様ら――」


「その者の言う通りだ。

 お前の暗躍は、ここで終わりだ。」


「……!?」


 兵たちの間を割って、ローブを羽織った男が現れる。


 その隣には、アマンダがいる。


「グラリス……!!」


 ドルドスの顔から血の気が引く。


「なぜ貴様がここにいる!?」


「別働隊が救い出してくれたのだ。

 王宮が騒ぎになっている隙にな。」


 静かだが、芯のある声。


 それは、かつて王子と呼ばれた男の声だった。


 ドルドスの視線が揺れる。


「馬鹿な……あり得ん……」


 カルマは、淡く笑う。


 

⸻


 

***回想(アマンダ視点)***


 カルマに呼び出されたアマンダは人気のない空き地でカルマを待つ。そこに顔を隠したカルマがやってくる。


「どうしたんです?カルマ殿」


「いや、明日の作戦のことなんだけどさ……

俺らの王宮への侵入には"グラリス派"のメンバーは参加しなくていいよ。」


「え!?なぜですか?」


「代わりに行ってもらいたいところがあるんだ。」


「どこですか?」


「ラダの森近くの王国軍の配置場所」


「あそこに?王宮からは随分と離れていますが…」


「うん。うちのカミルはラダの森の地理に詳しいんだけど、王国軍が配置されていたあの場所には昔、石造りの建物があったそうなんだ。昔からミルズ軍の警備があったそうだけど。」


「はぁ。それがどうしたんです?」


「カミルに聞いたんだよ。どんな建物だったか覚えているか?って。

そしたら、全面石造りで窓が少ない箱型の建物で、小さな小窓にも格子がはめられていて、まるで"牢獄"のようだったって…」


「…!!」


「今はその建物はないけど、もしかしたら地下牢でも残っているんじゃないかな?」


「そこにグラリス様がいる…と?」

 

「うん」


「いや、でもなぜ国外のあんな場所に牢獄が?」


「そこが大事なんだ。ドルドスからすれば、グラリスは元第一王子、しかも国内の人気も高い大人物。

そう簡単に処刑もできないし、正規の牢に入れればグラリス派がなにをするかわからない。

 そんな時、国外に過去の牢獄跡地があったとしたら?」


「確かに、うってつけの場所ですね。」


「うん。そんな場所にあれだけの人数の国軍兵を配備させている…恐らく間違いない。」


「それで私達はどうすれば…」


「グラリス派のみんなは牢獄が見える位置で待機してて。王国軍にバレないでね。俺たちが王宮の攻撃を開始したら国軍兵は必要最低限の人数を残して王宮へ向かうはずだから、そこを狙って。」


「なるほど、わかりました。」


「頼んだよ、アマンダ。」


「必ず、グラリス様を取り戻します。」


 その目には、迷いがなかった。


******



「お前がやってきたことは全て、白日の元へ晒される。お前は終わりだ。おとなしく投降しろ。」


 グラリスの言葉と共に兵士たちがドルドスとボルドーへ向けて剣を構える。


「くそぅ……くそが!」


 そこへ兵士達を倒したガーディスがやってくると、グラリスの前に膝をつく。


「グラリス様、これまでの数々の非礼、償えるものではありませんが…」


「おお、ガーディスか。久しいな。

よい。偽りだったとはいえ、貴殿は我が父の言葉に従っただけだ。悪いのは全てこの愚弟よ。」


 ガーディスは立ち上がるとドルドスを睨みつける。


「グラリス様がどのような処分を下すかはわからないが、貴様がゴードン様を死に追いやったのであれば、私は貴様を許さない。貴様を追い詰め、私がその首を落としてやる。覚悟しておけ。」


 ガーディスの顔には怒りの表情が満ち溢れている。


「ひぃぃぃ……!」

 

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