50.森を進む
3人はラダの森を進む。
カミルはこの森の地形や道を熟知しており、歩きやすく魔獣に遭遇することもなく進んでいく。
「カミルを連れてきて正解でしたね。」
「どうだ。私は役に立つだろう。」
「うん。そうだね。助かるよ。」
「よし、そろそろ陽が落ちるな。今日はここで野宿としよう。」
3人は荷物を下ろし、火を焚き、夜を過ごす準備をした。
「そういえばカルマ、聞きたいんだが、私の体には魔力が蓄積しやすいのだろう?今後はどう消費すればいいんだ?」
「そうだね。簡単なのでもいいから魔術を一つ覚えれば消費できるね。」
「魔術か……」
「ミルズについたら魔導書が手に入るはずだから、何か教えてあげるよ。魔術が使えるようになるまでの間はまた、この間の結界術を使うしかないかな」
「あれはあまり受けたくないな…」
その日は森の中で夜を明かし、次の日早朝からまた歩き出す。
「ところでこの旅の目的地はあるのか?どうせまだ戦士教会に行ったところでカルマと私は年齢的に戦士になれないのだろ?」
「そうだね。目的地はコロラド連邦ルードミリシオン。
そこにいる戦士の知り合いに相談してみようかと思ってね。」
「ヘリオサマナか?」
「よくわかるね。」
「ルードミリシオンといえばヘリオサマナの本部があるからな。でもそれならちょうど良い。私も名のある戦士団の元へ行きたいと思っていたんだ。」
「あ、もしかしてお兄さんのこと?」
「そうだ。ギルの行方を知っている者がいるかもしれないからな。」
「なるほどね。わかった。僕からも聞いてみるよ。」
「……おいカルマ」
「ん?」
「思っていたんだが、お前はボスとしてはどこが頼りないな。」
「え…」
「おい。カミル。何言ってんだ。お前も見ただろボスの強さを。」
「いや、そういうことではなく。戦士の長が"僕"っていうのは子供っぽいのではないか?」
「あー、俺もそれは少し思ってました。」
「えー……」
「これを機に"俺"に変えてみてはどうです?」
「俺…かぁ、あんまり良いイメージないんだよな。人を傷つけた記憶が蘇るというか…」
「そう呼んでた時期もあったんですね!それなら戻してみてもいいと思いますよ!」
「あーうん。(時期というか前世なんだけどね。)」
「じゃあちょっとずつ頑張ってみるよ。」
「ああ」「はい!」
「よし、お前ら!俺について来い!」
「おーー!」




