28.カストリア襲撃⑥
魔人は警戒する。
目の前には小さな10歳前後の子供、
だが、その剣には応徳魔術思われる魔術により剣から炎が噴き出ている。
(さっきのこのガキの攻撃、不意打ちだったとはいえ、受けた体が体制を維持できなかった。それにあの剣…)
「おい、ガキ、お前名前は?」
「カルマ…お前は緋衣の魔人とかいうやつか?」
「ははっ馬鹿か、俺が緋衣の魔人だったなら、お前は今頃死んでるよ」
「違うのか」
「俺様は緋衣の魔人〈炎魔〉様の配下、魔人ラジャだ。
貴様は人間のガキにしては剣が使えるようだが、俺に勝てるかな?」
ラジャはカルマに向かって剣を構え、素早くカルマに近づき、そのまま剣を振るう。
カルマは飛びあがり回避する。
「上か…うっ」
ラジャが飛び上がったカルマを見上げた瞬間、ラジャの足元から氷の柱が出現しラジャを突き上げる。
「剣とノーモーションの魔術……こしゃくな…」
カルマの魔術によって空に突き出されたラジャをカルマが待ち受けるかのように剣を振り下ろす。
しかし、ラジャは空を歩くように方向転換を行いカルマの背後を取る。
「!?」
「ははっ悪いな!」
ラジャはカルマの背後から叩きつけるように剣を振り下ろす。
「がっ!」
剣を背に浴びたカルマは地面に叩きつけられる。
「カルマ!!」
バトロフが声を上げて呼びかける。
「大丈夫……」
カルマはゆっくりと立ち上がる。カルマの背中は魔術によって凍りつき、斬撃を防御していた。
「器用なやつめ……」
「何だ…あの魔術」
「隠しておきたかったんだが、見られちまったな。
まぁいい。俺の応徳魔術:魔軸は魔力の塊を具現化させ足場にすることができる。こんな具合にな。」
ラジャは空中を歩くかのように具現化した魔力に乗ってみせる。
そしてそのまま空中で方向転換を続け、変則的な動きでカルマに迫る。
そして不意をつきカルマの側面から攻撃をする。
カルマは体制を崩しながら何とか踏みとどまる。
「がはっ」
「なかなかしぶいといガキだな。」
「なんで……?」
「あ?」
「お前達は国の中心部に突然現れたと…聞いた。
国を乗っ取りたいのなら最初から王宮へ向かえばいい、それなのに街を燃やして、魔獣を召喚してる。なんで?」
……
「ふ…はは
そんなの決まってるじゃないか。
恐怖だよ。人間が恐怖で逃げ回り、苦しむ姿が見たいんだ!そもそもこんな国に用なんかねぇんだよ」
カルマはそれを聞いてラジャを睨みつける。
「そうか。よくわかった。
全て正しかったんだ…兄さんやフィルスが」
「はぁ?何が言いたい…」
「僕が..お前を倒す。」
「やれるもんならやってみな!」




