25.カストリア襲撃③
こうしてカストリア兵と魔獣との戦闘が始まった。
そしてこれは各地の別の部隊でも同様に起こった。
バトロフは国を、そして愛する家族を守るために剣を振るう。
バトロフは考えた。この現状を引き起こした魔人がどこかにいると。その元凶を探し出す必要もあるのだが、それについては算段があった。
今、この国には息子であり天級の戦士ダグラスがいる。そして、国のすぐ外には天級戦士フィルスもいるのだ。
きっとこれは魔人軍にとって大きな誤算であると。
「あ、あれは…」
バトロフは上空を通り過ぎるある者の姿が目に入った。
「ダグラス…」
それは自身の息子であり今この国の中で最強戦力であるだろう戦士の姿だった。
ダグラスは国の中心の方向へ向かって跳躍している。
そして、ダグラスの姿が見えなくなった直後、中心街の方向で大きな爆発が起きる。
「早速始まったか…無理はするなよダグラス。」
バトロフ達、衛兵は避難班と魔獣の討伐班に分かれ、
市民の安全を確保していく。
幸いそこまで強力な魔獣はおらず、衛兵が複数人で取り囲めば討伐することができる程度であった。
「よし、こっちはいい。半数だけ残ってあとは避難誘導に回れ」
「ぐわぁぁ!」
バトロフが指示を出す後ろで衛兵の悲鳴が聞こえる。
バトロフが驚き振り返ると、そこには1人の魔人の姿があった。
「おいおい、炎魔様が平和ボケした国だと言っていたけど、しっかり対処されてんじゃん。」
「魔人……」
その魔人は素早い動きでバトロフに向かって襲いかかる。
「隊長……!」
一人の若い衛兵がバトロフの前に飛び出し。防御壁のような魔術でバトロフを守っている。
「ハウロス…すまん。助かった。」
「いえ、隊長、下がってください。」
ハウロスという衛兵が手のひらに出した盾のようなものがグニョグニョと形を変え、突然魔人に向け、鋭利な棘のように形を変えながら襲いかかる。
「おっ?」
魔人はそれを少し驚きながら避ける。
「なんだ?応徳魔術か?この国にも少しは魔術が使えるやつがいたんだな。」
このハウロスはバトロフを慕う部下だが、ハウロスはこの国の衛兵で最も優秀な兵士だった。
「ハウロス……」