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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
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フィルスの昔話②


「私が奴の弟子となったのは、幹部の一柱を倒した後くらいだったかな」


「へー!」


 カルマは目を輝かせる。続きをせがむ子どものように。


「私は二番目の弟子だった。私が入った時には、すでにアリディアという魔術士の娘がいた」


「え!? アリディアさん?」


「知っているのか?」


「前に、この目のことで街で騒ぎになった時に助けてもらって……」


「そうか。偶然だな」


 フィルスは小さく鼻を鳴らす。


「まぁいい。あいつの話をしても面白くはない」


「仲悪いの?」


「あいつはいつも私の性格面のダメ出しばかりしてきたからな」


「喧嘩ばかりしてたんでしょ?」


「いや。奴は喧嘩を売っても、すかして受け流す。だから大した喧嘩にはならなかった」


「ふふ、仲良いんだね」


「ただの同僚だ」


 言い切るが、わずかに目を逸らした。


「あと一人、弟子がいるんだっけ?」


「……ああ。ルドラには三人の弟子がいた。三番目はルドロス。魔術剣士だ」


「その人は今どうしてるの?」


 その瞬間。


 フィルスの空気が変わった。


 握りしめられた拳。静かな怒り。


「……奴のことはいずれ話す」


 低い声だった。


 カルマはそれ以上踏み込まない。


「それで、ルドラは……?」


 フィルスはゆっくり息を吐いた。


「私やアリディアは、それぞれ任務に就いていた。ルドロスも妻を娶り、独立していた」


 淡々と語る。


「十二年前。ルドラは単独行動中を狙われた」


 空気が冷える。


「緋衣の十魔が二柱。そのうち一柱は三大魔人――天魔ヴォレア」


 カルマの喉が鳴る。


「ルドラは一柱を討った。だが……ヴォレアに殺された」


 沈黙。


「私は間に合わなかった」


 声がわずかに震える。


「到着した時には、もう……」


 その先を言わない。


 怒りか、悔恨か、それとも両方か。


「フィルスは……緋眼の魔人と戦うの?」


 静かな問い。


 フィルスは口元を歪めた。


「私は、師の復讐に燃えるほどできた弟子ではない」


 一拍。


「だが、現役の間に相対することがあれば――斬る」


 その声音に迷いはなかった。


 カルマはまっすぐ言う。


「なら、僕も戦うよ」


 フィルスが目を細める。


「兄さんに言われたんだ。僕はきっと、緋眼の魔人と戦う運命にあるって」


 拳を握る。


「兄さんも、フィルスも戦うなら――僕も一緒に戦う」


「ふっ。小僧のくせに大きなことを言う」


 だが、その目はどこか嬉しそうだった。


「なら、もっと強くなれ。今のお前では足手まといだ」


 その時――


 ドォォォンッ!!!


 地面が揺れる。


 壁が軋み、窓が震える。


 爆発音。


 続いて、遠くから上がる悲鳴。


 フィルスの目が鋭く細められる。


「……街の方角だな」


 カルマも立ち上がる。


「魔人……?」


 次の爆発が夜を裂いた。


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