20.修行の終わり
今日もカルマとフィルスは剣を構える。
カルマは火の玉をフィルスに向けて複数個放つ。フィルスはそれを避けていく。
カルマはフィルスの避けた先を予想し、剣に炎を灯す。
「魔剣フレイア!」
フィルスが魔術を避けたさきにカルマが剣を振り上げ迫っている。
しかし、フィルスは地面から氷の柱を発生させ、それを機転に方向転換する。
「あっ、くそ」
そしてフィルスも剣を構え、フィルスの剣とカルマの炎の剣が激しくぶつかり合う。
フィルスの剣の重さにカルマも負けじと剣をぶつけ合う。
フィルスは一度カルマとの距離を空け、足に魔力をためる。
次の瞬間、とてつもない速さでカルマに向かって移動するフィルス。カルマはそのスピードに反応できていない。
フィルスはカルマに一撃を与えると更にスピードを上げていく。カルマの周りを超スピードで移動しながら連撃を与えていく。
「剣術: 神速乱舞…」
「うぐぁぁ……」
カルマは頭を剣で隠すように構え耐えるが、フィルスの最後の突きがカルマの腹部に突き刺さり、カルマの体はゆっくりと崩れていく。
…が、しかしカルマは左手で腹部に刺さるフィルスの剣をガッと掴む。
「やっと隙ができた…」
カルマは右手の剣には既に炎が灯っている。
「!?」
カルマは左でフィルスの剣を押さえ込みながら、右手で薙ぎ払うように剣を横に振る。
「ぐっ!」
フィルスは間一髪、体をのけぞらせて避ける。
……
フィルスの頬には一筋の線が入っておりそこから血が滴り落ちる。
「あ……」
「ふっ、終わりだな。」
「えっ……?」
「私に一撃を与えたんだ。合格だ。」
「……
……や、やったー!終わったー!」
「まあ、実戦では使えない手だろうがな。」
「よかった。フィルスの隙ができるのを待つ以外に方法がなかったんだ。でもほんと、よか……」
カルマはそのまま地面に倒れ込む。
「お、おい!」
カルマはすーすーっと寝息を立てている。
「寝てるのか…」
フィルスはカルマの寝顔を見て呟く。
「まぁでもダグラスの奴が言っていたこともあながち間違いではないのかもしれないな。」
「はっ!」
カルマが目を覚ますとフィルスの小屋にいた。
窓の外を見てみると既に日が落ちていた。数時間寝てしまったようだ。
「今日はもう日が落ちたから明日街へ戻ろう。」
「え、戻れるの?」
「そういう話だっただろ?」
長かった修行の時間も終わるのだ。そう思うとカルマは感慨深く感じた。
気づけば町を出てから、いやフィルスに連れ去られてから約一年の月日が経っていた。
それも今日で終わりなのだ。
…フィルスは明日、街に戻ったあとどうするんだろう。
久々の後書きです!
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