127.それぞれの想い
「はっ!」
カルマが目を覚ますと辺りは暗くなっていた。
「カルマ!」
目を覚ましたカルマを見て、リアが駆け寄る。
「あれ?毒が治ってる…」
「僕の回復魔術でなんとか治癒したよ。」
不思議そうに自分の体を見るカルマにセオドアが声をかける。
「そうだったんだ。ありがとう。」
「いや、こちらこそありがとうカルマ。君のおかげで助かったよ。」
「本当に、君がいなければ全滅していました。本当にありがとうございます。」
グラールもセオドアに続いて感謝を伝える。
「リアさんもありがとう。助かりました。」
「いえ、私は何も……」
「それよりもう日が沈んでしまってる。急がないと」
「いや…カルマ君もう大丈夫ですよ。」
「え……?」
「後ろを見てください。」
カルマが後ろを振り向くと、そこには石造りの大きな壁が聳え立っていた。それは砂漠の終わり、レルフ共和国の国璧である。
「これ…」
「リアさんの魔獣がここまで運んでくれたんです。
アルバート様の魔車はもう先に入国していますよ。」
「そうか。着いたんだ…」
「ええ。皆さんのおかげで何とか無事たどり着くことができました。前衛のお二人に、回復魔術士、召喚術士、誰一人欠けていても辿り着かなかったでしょうね。」
「いえ、俺だけは何もできませんでした。」
グラールの言葉にサジが悔しそうに言う。
「そんなことないですよ。最初に狙われたのが、術士のセオドアやリアさんであれば、その程度の傷では済まなかったでしょう。君の瞬発力があったからこそです。
それに、盗賊団の対処は見事でした。」
「あれはカルマのおかげです。」
サジはそう言うとカルマの方を見る。
「……?」
「カルマ、今回はお前に助けられた。ありがとう。
だけど、俺もヘリオサマナの先輩として、助けられてばかりではいられないんだ。次からは俺も仲間を守れるように強くなってやるからな。」
「うん!」
カルマはサジの言葉にニコリと笑い頷いた。
「さあ、僕らも入りましょう。まずは体力を回復しなければ……」
「そうですね……」
「はい!」
カルマ達はレルフ共和国へ入国した。
一行は既に力を使い果たし体力の限界であり、また陽も落ちていたので、街の探索は後回しにし、その日は宿へと直行した。
それぞれが明日からの任務のために各自の部屋へと入室していく。
カルマも疲れ切った体を何とか動かしながら、自室の扉に手をかける。
「カルマ…」
後ろからリアがカルマに声をかける。
「ん?」
「今日はありがとう。」
「なにが?」
「私がクレアワームに狙われた時、助けてくれたでしょ?お礼言えてなかったから。」
「いいよ。リアの召喚術がなかったら誰も助かってなかっただろうし。お互い様だよ。」
「え…、そっか。そうだよね。」
「うん?どうしたの?」
リアは少し微笑みながらも顔を俯く。カルマはその反応を不思議に思い首を傾げる。
「ううん。何でもない。明日からもよろしくねカルマ。おやすみ!」
リアはそういうと勢いよく自室へと入っていく。
「……あ..うん。」




