125.クレアワームの脅威
その瞬間、クレアワームの姿が消える。
「なっ……」
クレアワームは一瞬にして地中へ潜ったのだ。クレアワームが地面の下で蠢くように、地響きが起こる。
「一体どこから来る……」
すると、クレアワームは突然サジの足元から勢いよく飛び出す。
「うわっ……!!」
サジはクレアワームを避けるように空中へ投げ出される。その腕はクレアワームの牙に触れて血が流れている。
「カルマ君!」
「はい!」
「魔剣フレイア…」
カルマは剣に炎を灯し、クレアワームに攻撃する。
「剣術 燕返し!」
グラールも2連撃の剣術でクレアワームを攻撃する。
どちらの攻撃も、クレアワームの体皮を傷つけるが、大きなダメージを与えることはできていない。
「サジさん!!」
声の方を見ると、セオドアがサジの怪我を魔術で回復している。サジの腕は傷は大したものではないようだが、傷口から腕全体にかけて変色している。
「毒か……!!」
「サジさんに解毒術をかけます。その間、お願いできますか?」
「っくそ、やるしかないね。」
クレアワームは体中の目玉をギョロリと動かし、グラールとカルマへと視線を向ける。
その視線に2人は寒気を感じる。
その時だった。カルマとグラールの背後から角の大きな水牛のような魔獣がクレアワームへと突進する。
「召喚魔術 ホーンバッファル」
リアの召喚した魔獣が、クレアワームの横腹へ、その大きな角を押し当てている。
「リアの召喚獣…」
ホーンバッファルは力強くクレアワームを押し上げる。
だが、その後、ホーンバッファルのからだが徐々に変色していく。
「体にも毒があるの!?」
「ブフォー!」
ホーンバッファルは毒が全身を巡り、その場に倒れ込むと術が解け、その場から消えてしまった。
次の瞬間、クレアワームの目玉がリアに向くと、一気にその伸縮自在な体を勢いよく伸ばし、リアに向かって行く。
「きゃあ!」
……
素早い動きで体をのばし、リアに牙を向けて遅いかかったクレアワームは体液を撒き散らしながらその体を大きく引き裂かれている。
「え……?」
リアが閉じた目を開けると、そこには大きな炎を纏ったカルマが空間を切り裂くように剣を振りながら宙を舞う。
「魔剣術 抜 炎閃斬・神速」
「カルマ!」
「一回下がれ!このくらいじゃ倒せない!」
「ギイィィィ!」
クレアワームは伸ばした体を元に戻すと再び、金属音のような叫び声を上げる。
「……くっ、また!」
カルマ達は耳を押さえる。
次の瞬間、クレアワームは自身を中心に円状の衝撃波を放つ。その衝撃波は地面を破壊しながらその円を広げて行く。
「やばい!みんな!逃げろおぉ!」
地面を破壊しながら進むその衝撃波は、徐々に早く、大きくなりながら広がって行く。
グラールやサジを抱えるセオドア、リアなどの戦士達は中心から離れるように逃げたが、迫り来る衝撃波に逃げられないと感じていた。
戦士達は高威力の衝撃波を受け、体を回転させながら宙を舞い、地面に叩きつけられる。
「がっ……」
……




