124.蠢く砂漠蟲
話を聞くと、盗賊どもはレルフ共和国のとある人物からの依頼でこの魔車団を襲ったらしい。
その者は戦士Xを名乗っていたという。
「ガルム・プラウドとの会談が漏れていたのか?あるいは……」
「戦士Xというのも偽名でしょうね。」
「まあ、そうだろうね。」
「まあいい。とりあえず危機は去りました。アルバート様に情報が漏れていることを念の為伝えておいてください。」
「はい。」
その時だった。地面が大きく揺れはじめる。
「何だ!?」
その揺れは地響きのような鈍い音を発しながら、周辺の大地全体を震わせているようだった。
そして、目の前の地面が大きく窪み始める。
「これは……」
「みなさん!離れてください!クレアワームです!!」
グラールが叫んだと同時に窪んだ砂漠の地中から巨大なミミズのような生物が飛び出す。
「ギイィィィ!!」
飛び出した魔獣は金属音のような大きな鳴き声を上げる。体中に目玉のような赤い球がついており、周りを見渡すようにギョロギョロと目玉が蠢いている。
その悍ましい姿と、鼓膜に響く異音によって、その場の戦士達は動くことができなくなっていた。
「なぜ夜でもないのに..」
「ひぃぃ。」
「火炎爆発」
カルマはクレアワームに向かって炎の玉を放つ。炎の玉はクレアワームに着弾すると大きく爆発を起こす。
だが、クレアワームにはダメージがないようだ。
「慌ててもしょうがない!倒すんだ!
グラールさん、外交官の魔車を先に行かせてください!ここは俺たちで食い止めましょう!」
「そうですね…すみません。カルマ君」
グラールはアルバートの馬車を先に行かせると、クレアワームに向かって剣を構える。
「みなさん、やりますよ」
その言葉にサジ、セオドア、リアもうなづき、身構える。




