123.ヘリオサマナの召喚術士
「おうおう。やけに良い車だな。おたくらどこへ行くんだ?」
「西のレルフ共和国へ向かうところだ。我々に何か用か?」
「いやぁ、この砂漠を通るなら通行料を払ってもらわねぇとな?」
「通行料……だと?
何の権利があって君達に通行料を払うと言うんだ?」
「権利だ?そんなの必要ねーんだよ。ごちゃごちゃ言ってねえで、出すもん出しな。」
盗賊団達はそういうと、奥からさらに仲間が増え、剣を構え威嚇する。その数は15人程になっていた。
「グラールさん大丈夫です。前衛の俺とカルマだけで対処できます。行けるか?カルマ。」
剣士のサジがカルマに声をかける。
「うん。大丈夫。」
「俺たちはそこらの戦士なんかに負けねぇんだよ!」
盗賊団達とサジ、カルマの戦いが始まった。
……が、その決着は呆気ないものだった。
戦闘が始まってしばらくすると、砂漠には気を失った盗賊団達が積み上げられている。
「ひぃ…お前達、何者……?」
「俺たちはヘリオサマナだ!お前らみたいな盗人の相手をしている時間はないんだよ!」
「天級戦士団…ヘリオサマナだと…ひぃぃ!」
「あ……逃げた」
盗賊団のリーダーと思われる男は、ヘリオサマナの名を聞くや否や一目散に走り出す。
「任せて。」
リアは1枚の魔道符を取り出し、魔力を込める。
すると、リアの足元に魔法陣が浮き上がり、そこから白い小さな狐が1匹現れる。
「召喚獣 妖狐ルナール」
「召喚術…でも小さい……」
「安心して、あの子は妖狐なのよ。」
リアが召喚した白い小さな狐が雄叫びを上げると、その尻尾の数を4本へと増やし、大きな狐の姿へと変貌する。
「ルナール!あの人間を捕まえて!」
「ぐぅあぅ!!」
妖狐ルナールは勢いよく走り出すと、すぐに逃げ出した男にのしかかり動きを封じる。
「うわっ!何だ!やめろ!」
妖狐ルナールは男を咥え、リアの元まで連れてくると、ぽいっと咥えていた男を投げる。
「ありがとう。ルナール。」
リアは身をかがめた妖狐ルナールの頭をなでる。
すると、妖狐ルナールの体が輝き出し。
そのまま姿を消す。
「リア、すごいじゃん。」
「これで、私が召喚術士だって信じてくれたかしら。」
「はは…うん。悪かったって。」
「さて…話を聞かせてもらおうか?」
「ひぃぃぃ!」




