121.使節団
その後、カルマ達はヘリオサマナ内の自室へと戻る。
「2人はいつから任務に同行することになったの?」
「俺はもう明日かららしいです。明日の朝ロズワルド隊の隊長の所へ行くようにとのことでした。」
「カミルは?」
「私は2日間の休養後だ。中央国家バルテミアに行くらしい。」
「へー!いいなぁ!」
「カルマの行くレルフという国はどういう所なんだ?」
「砂漠を渡った西の玄関口って呼ばれてるらしいね。そこそこ栄えているんじゃない?」
「砂漠越えか。大変だな。」
「まぁでも、外交官の団体だから魔車の送迎付きらしいよ。」
「各自が別れて戦うのははじめてですね。」
「ああ、だけど今の俺たちにはそれが必要なんだろうね。各自が力をつけてカルマリスタはさらに強くなる。」
カルマはハウロスとカミルに向けて手を差し出す。
「お互いが強くなってまた集まろう。」
「うん!」「はい!」
ハウロスとカミルもカルマの手に手を合わせる。
そして、カルマの2日休養が明けた。
ハウロスはひと足先に任務に出て行った。カミルとは出発の日の朝に少し会話をして別れた。
カルマは任務の集合場所であるヘリオサマナ本部前に行く。
「はっは。新入りが一番遅く来たか。大物だな。」
そこにはすでにヘリオサマナの外交役と思われる人物とヘリオサマナの戦士達が集まっていた。
カルマは会釈し、簡単に挨拶したあと。一団に混ざる。
「カルマ、遅いわよ。」
その一団の中にはリアの姿もあった。
「ちょうどのはずだけど……」
「大人は5分前行動するのよ。」
「……。」
カルマはリアのお説教に顔を背ける。
「随分仲がいいね。君たちは既に友達だったか。」
「ええ。まあ…」「顔見知りです。」
リアの言葉を遮るようにカルマが冷静に答える。
それを聞いて、リアは顔を膨れさせる。
「じゃあまずは自己紹介といこうか。我々は顔馴染みの者もいるが、君は初めての者が多いだろう?」
その一団の中でいかにも位が高そうな男が話し始める。
「私の名前はアルバート・グラン・ステイリア
ヘリオサマナの外交役を務めている。戦士ではないので、戦力としてはカウントしないでくれ。
そして、こっちの2人が私の補佐の2人、ソレルバとサムだ。」
アルバートの後ろに控えていた男2人が会釈をする。
「僕が一応この一団の戦士隊隊長を務める上級剣士グラールです。宜しく頼みます。」
長髪を一本結びした、物腰柔らかな印象の男が丁寧に自己紹介をする。
「俺は中級剣士サジだ。よろしくな。」
「僕は魔術師セオドア。回復魔術を担当するよ。」
2人の戦士がカルマに挨拶をする。
「それと……」
隊長のグラールはリアの方を見る。
「中級魔術士リアよ。知ってるでしょ。」
「魔術士だったっけ……」
カルマの反応にリアは目を細めて睨む。
この一団は外交官のアルバートとその補佐役のソレルバとサム。
そして、戦士隊が隊長のグラール。
中級戦士のサジ、セオドア、リア。そしてカルマの8人だ。
あくまで他の戦士団への使節団だ。これ以上の戦士は連れていけないのだろうとカルマは思った。
「じゃあ君もいいかな?」
グラールはカルマに自己紹介を促す。
「ああ、はい。カルマ・ミラ・フィーランです。魔術と剣を使います。」
「うん。宜しくね。天級戦士をも打ち倒した実力者の同行、とても助かるよ。」
「では行こうか。」
アルバートの掛け声で、一団は魔車に乗り込む。




