表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
三章 戦士団ヘリオサマナ編
117/131

116.代々秘匿された魔術


「あれは……」

「なに?どういうことなの。カルマは何を話してるの?」

 場外の席でリアはクレインに問いかける。


「いや、おれもよく……」

 

 そこにヤクモがやってくる。

「お前達は知らないか?あの応徳魔術は魔創神グランの力の一つとされている術、樹木創叢(じゅもくそうそう)だ。」


「えぇ?魔創神様の魔術?それをなんでラディールが…」


樹木創叢(じゅもくそうそう)は中央国家バルテミアの貴族 ベルナド家が代々、子に継承する応徳魔術だ。」


「子供に応徳魔術を継承?応徳魔術っていうのはその術者が編み出した術者だけの魔術じゃないのか?」


「そういう応徳魔術もあるってことだ。

 特に魔創神グラン様の魔術の一部とされているベルナド家の樹木創叢(じゅもくそうそう)、ガーヤック家の大地創造(だいちそうぞう)、グラミス家の天象創操(てんしょうそうそう)の3家は世代毎の魔術継承がされており、非難の声が出ている。」


「なんで非難されてるの?」


「わかんないか?魔術ってのは元々は全て魔創神様の力だ。それが広く普及し、派生して今の形になってる。」


「3家はその魔術を普及させず、秘匿してきた……?」


「そういうこと。それだけの力を公開しないことに罪があるっていう意見だな。」


「でも応徳魔術ってのはそういうもんだろ?」


「まぁな。だが、魔創神様の時代から公開せずに継承を続けてきた貴族の家っていうところに引っかかる者がいるんだろうな。」


「ラディールっておぼっちゃんだったんだ。」



 

 カルマは警戒しながら剣を向ける。

 

「だからおまえは俺の相手に立候補したのか?

応徳魔術なしでの実力をみんなに認めさせるために」


「うるさい!お前に何がわかる!」

 ラディールが手を大振りに払うと、カルマの足元から蔦のような植物が大量に生え、カルマを絡め取ろうとする。


 カルマはその蔦から逃げるように勢いよく走り出す。

それを追いかけるように次々と生えてくる植物がカルマに迫る。


「なんで隠した!その魔術もお前の力だろ!」

カルマは剣に炎を灯し、木々を切り裂きながらラディールに近づく。


「うるせぇんだよ!おまえは!」

 カルマはラディールにあと一歩のところで地面から生えてきた植物に巻きつかれ、身動きが取れなくなる。


「お前は逃げたんだ。自分の運命から」

 カルマはラディールに顔を近づけて問い詰める。


「じゃあどうすればいいっていうんだ!この魔術が忌み嫌われた力でも堂々と使えってのか!?」


「そうだよ。お前達には教えてやらねーって鼻で笑ってやればいいじゃん。」


「そんなこと……」

 ラディールは顔を上げてカルマを見る。その左眼は赤く光っている。

それを見てラディール気付かされる。自分が隠してきたこの力は、この目に比べればちっぽけなものだったのではないかと。


「もしそれができないなら……」


 カルマはわずかな隙間で体を動かし、魔剣フレイアで植物を切り裂き脱出する。

 そして、カルマはラディールの前で剣を構える。


「さっさとその魔術を公開して、ベルナド家の歴史に終止符を打つことくらいしかできないだろ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ