114.カルマvsラディール
「次、カルマとラディール、前へ!」
「じゃ、ちょっと言ってくるわ」
カルマは名前を呼ばれると、クレイン達に一声かけ、場内に入る。
「俺が言うのも変かも知れないが…がんばれよ!」
「……おう!」
カルマはラディールと向かい合う。
「お前の仲間達は運良く勝てたようだが、天級戦士の俺には通用しないぞ?」
「…運?あの戦いを見て運が全てでもだと言うつもり?……まぁいいよ。悪いけどこの場は俺が勝たせてもらう。」
「お前がこの俺に勝てるわけがないだろうが…!」
「あのさ、ひとつ気になっていることがあるんだけど聞いていいか?」
「なんだよ…」
「おまえはこのヘリオサマナで4人目の天級なんだろ?あとの3人は、団長と副団長だ。なら、団長と副団長を除いた団員の中でトップの実力があるってことでしょ?」
「それがどうしたんだよ。」
「なら、何をそんなに恐れてるんだ?」
「なにをいってる?俺が何に恐れてるっていうんだよ。」
「戦士団の中でも馴れ合わず、ただ強さと功績だけを求めてるって聞いた。それに、天級の戦士がわざわざ戦士にもなっていない小僧の試合の相手に名乗りでる意味がわかんない。俺にはお前が何かを恐れ、焦っているように見えた。」
「残念だが、お前の勘違いだ。お前の相手を申し出たのはただお前が気に食わないだけだ!
上級魔術 火炎旋風」
ラディールは巨大な炎の渦を発生させると、炎の渦はカルマに向かって進んでいく。
「いきなり大技だな…」
カルマは両手を炎の渦に向ける。
「中級魔術 多連水矢」
両手から多数の水の矢を次々に発射していく。
「あいつ…中級魔術を両手で同時に…」
「あれだけの速射..みたことがないな。」
カルマの素早く、そして連続して放つ大量の魔術を見て、戦士達は驚いている。
「ふっふ。面白い成長をしておるの。」
アリディアはそんなカルマを見て笑みをこぼす。
カルマが放った水魔術は次々にラディールの炎の渦に直撃しては蒸発していく。
「ははは!そんなものでは打ち破れないぞ!」
「打ち破る必要なんてないさ。」
カルマは地面を蹴ると剣に氷結を灯し、炎の中に飛び込む。
「何をするかと思えば、自ら燃えかすになろうとはな!」
大きな炎の渦に飛び込んだカルマだが、しばらく経っても現れる姿はない。
「はは、終わりだな。」
次の瞬間、カルマが炎の渦の中から、ラディールの前へ飛び出す。
「あっちぃ!」
「なんだと。上級魔術だぞ?」
「水の魔術で1箇所でも勢いを抑えられれば、俺の剣なら突き破るくらいはできる。
魔剣術 突 大氷槍」
カルマの剣が氷結を激しく纏い、長い槍のような形になりラディールに迫る。




