108.カミルvsエイミー
カミルは沈黙を破り、エイミーに向かって走り出す。
素早い動きで距離を詰め、双刃弓の刃を振る。
エイミーは上空へ飛び上がりその攻撃を避ける。
カミルはすかさず空中のエイミーに向かって弓を構える。
「カミルの矢の速さは普通の射手の矢とは比べ物にならない。空中では避けられない。」
カルマのその言葉の通り、鋭く回転したカミルの矢がエイミーへと襲いかかる。
「……!!」
カミルの矢がエイミーに直撃すると思いきや、空中にいたエイミーの体がふわり空を浮き上がると、空中を舞いながらカミルの矢を避ける。
「あれは……クレディアと同じ魔術…。」
「浮遊魔術……」
「ボス、浮遊の魔術は応徳魔術ですか?」
カルマの横にいつの間にか来ていたハウロスがカルマに尋ねる。
「ハウロス、いつのまに……」
「すみません。姿が見えたので...」
「浮遊魔術について、ハウロスは聞いたことない?魔術士の中では比較的有名な話なんだけど、浮遊魔術は元々、ある一族だけが使っていた応徳魔術なんだよ。」
「応徳魔術なんですか?」
「元々はね。だけど、それが今では研究・解明され、上級の基礎魔術になった。
まぁ、それでも浮遊魔術は一定以上の魔力量と魔力コントロールが必要だから、使える人も少ないんだけどね。」
「基礎魔術になった応徳魔術..ですか。」
「おいおまえら、見てろ。それだけじゃないぞ。」
クレインはカルマとハウロスに戦いを見るよう伝える。
カミルはさらに複数の矢を連続で放つ。
エイミーは浮遊魔術をつかって空中を移動しながら避けていくが、カミルの矢は徐々にエイミーを追い詰めていく。
「もう捕まるぞ…」
その瞬間、エイミーは自分の前方に魔力の壁を展開し、矢をはじく。
「あれは……防御魔術…」
「そうだ…エイミーは浮遊魔術と防御魔術を使う剣士」
「もしかして、剣を活かすために浮遊魔術と防御魔術を覚えたの?」
「そうだ。エイミーの家は戦士の家系らしくてな。
あいつの父親がエイミーが幼少の頃から、浮遊魔術と防御魔術、そして剣の技術だけを極めさせたらしい。」
「それは何というか…理にかなってるね。」
「そうだな。彼女は魔術剣士じゃない。あくまで、剣士として成功するために、浮遊魔術と防御魔術を覚えさせたんだ。」
カミルは矢を複数連射していくが、エイミーの防御魔術にはじかれていく。
「くっ……硬いな。」
次の瞬間、エイミーが防御魔術を解くと、一瞬にしてカミルの目の前まで移動し、腰の細長い剣をカマルに振り下ろす。
「……!!」
カミルの体が引き裂かれる。




