1-0始まりの因果
それは、三度目のやり直しだった。
戦士ダグラスの住む世界は、一体の魔人によって滅ぼされた。
一度目と二度目のタイムリープでは、自らの力で倒そうとした。
だが...届かなかった。
敗北の末に理解した。
“自分では、あの魔人を打ち倒すことはできない”と。
だから三度目のタイムリープでは、更なる過去へ飛んだ。
魔人が生まれた、その瞬間を確かめるために。
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辿り着いたのは、千年前の小さな村。
そこにいたのは、一人の青年だった。
ダグラスは息を呑む。
未来で幾度となく殺し合った、あの魔人。
穏やかな雰囲気こそ違うものの、その顔立ちは驚くほど酷似していた。
そして、もう一つ。
青年の左目は赤く染まっている。
――緋眼。
未来の魔人ヴォルトゲイトと、まったく同じ特徴だった。
だが、違う。
その青年は村人たちに囲まれ、穏やかな笑みを浮かべている。
人々に慕われ、誰かを傷つけるような気配など微塵もない。
未来で世界を滅ぼした、あの怪物の面影はどこにもなかった。
……本当に、この青年がヴォルトゲイトなのか。
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戦士ダグラスはしばらく観察を続けた。
数日後の夜のこと。
村に異変が起きた。
突然、夜空を裂くような魔力が村を包む。
黒い魔法陣が空中に広がり、
そこから召喚されたのは——
未来で世界を滅ぼした魔人そのもの。
緋眼の魔人ヴォルトゲイト。
轟音とともに炎が村を呑み込み、平穏だった景色は一瞬にして地獄へと変わる。
燃え盛る家々。
逃げ惑う人々。
響き渡る子どもの悲鳴。
青年もまた、何が起きたのか理解できぬまま、その場に立ち尽くしていた。
だが、人々の視線は青年へと集まる。
同じ顔。
同じ赤い瞳。
「おまえがやったんだ……!」
誰かが叫ぶ。
その一言が引き金となり、人々の恐怖は一斉に青年へ向けられた。
「違う……僕じゃない……!」
青年は必死に首を振る。
だが、その叫びは混乱と憎悪に呑まれ、誰の耳にも届かなかった。
......
その時だった。
夜空から一筋の光が舞い降りる。
光の中から現れたのは、世界の調停者――神麗シンセレーヌ。
彼女の目に映ったのは、炎に包まれた村。
そして、人々から糾弾される赤い瞳の青年だった。
シンセレーヌは静かに辺りを見渡す。
逃げ惑う人々に、青年へ向けられる憎悪と恐怖。
赤く染まった左目。
その光景を前に、彼女は静かに口を開いた。
「……この惨禍の原因たる貴方に、神の罰を与えます。」
調停者として、彼女は裁きを下す。
青年の魂に刻まれたのは、輪廻転生の神罰だった。
《死ぬたびに100年間の深淵(地獄の苦しみ)を彷徨い、再び生まれ落ち続ける呪い》
終わることのない、魂への刑罰。
ダグラスは、その間違った断罪を見ていた。
彼だけが、その者が別の存在であることを知っていた。
止めなかった。
止められなかった。
その出来事は、すでに”確定”している。
なぜなら、未来を破壊した最悪の魔人ヴォルトゲイトは、
彼の魂が地獄を幾度も重ね、絶望を積み上げ続けた成れの果てだと直感していたからだ。
【青年は、魔人が召喚されたことで神罰を受けた】
【魔人は、青年が神罰を受けたことで誕生する】
この因果関係は、変えることのできない世界の運命。
だが同時に、気づく。
その魂だけが——
あの魔人を討ち果たせる唯一の存在でもあると。
救いと破滅は、同じ魂に結びついている。
「……やってやる。」
何度失敗してもいい。
何度絶望を見てもいい。
今度こそ——
世界を救う。
どんな手段を使ったとしても。
彼はまだ知らない。
やがて、その魂だけが未来を救う希望となることを。
そして、その希望を守るため、自らがすべてを失うことを。
これは、戦士ダグラスの物語ではない。
戦士ダグラスによって導かれる、新たな未来の物語である。
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はじめまして!MINMIと申します。
まずは、本作に興味を持っていただきありがとうございます。
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"結末から組み立てる小説"を意識して書きました!
多くの伏線など考えた作品です。
皆様に「面白い!」と思っていただける作品だと思っています!
皆さんの隙間時間に 読み進めたいと思ってもらえるよう頑張ります!




