始まりの因果
それは、三度目のやり直しだった。
戦士ダグラスの住む世界は、とある一体の魔人によって支配された。
一度目と二度目は、自らの力で倒そうとした。
だが——届かなかった。
敗北の末に理解した。
“自分では、あの魔人を打ち倒すことはできない”と。
だから三度目は、更なる過去を選んだ。
魔人が生まれた、その瞬間を確かめるために。
*
辿り着いたのは、千年前の小さな村。
そこにいたのは——
一人の青年だった。
似ている。
未来で何度も殺し合った、あの魔人に。
だが、違う。
村人に囲まれ、穏やかに笑う、ただの青年。
あの怪物の面影が、どこにもない。
胸がざわつく。
……本当に、こいつが?
*
戦士ダグラスはしばらく観察を続けた。
数日後の夜のこと。
夜空が、裂けた。
黒い魔法陣が空中に広がり、
そこから召喚されたのは——
未来で世界を滅ぼした魔人、
緋眼の魔人ヴォルトゲイト。
村は壊れた。
炎。
悲鳴。
崩れる家。
逃げ惑う人々。
青年もまた、何が起きているのか理解できぬまま立ち尽くす。
だが人々は、震えながらその青年を見た。
同じ顔。
同じ赤い瞳。
「おまえがやったんだ。」
混乱と恐怖は、理屈を必要としない。
青年は否定する。
「違う……僕じゃない……」
否定は掻き消される。
*
光と共に現れたのは、
世界の調停者——神麗シンセレーヌ。
彼女は未来を知らない。
だが目の前には、この惨状を引き起こしたとされる赤い瞳の青年。
それだけだった。
「……この惨禍の原因たる貴方に神の罰を与えます。」
彼女は調停者として、裁きを下す。
青年の魂に刻まれたのは、輪廻転生の神罰。
《死ぬたびに100年間の深淵(地獄の苦しみ)を彷徨い、再び生まれ落ち続ける呪い》
終わることのない、魂への刑罰。
ダグラスは、その間違った断罪を見ていた。
彼だけが、その者が別の存在であることを知っていた。
止めなかった。
止められなかった。
その出来事は、すでに”確定”している。
なぜなら、未来を破壊した最悪の魔人ヴォルトゲイトは、
彼の魂が地獄を幾度も重ね、絶望を積み上げ続けた成れの果てだと直感していたからだ。
【青年は、魔人が召喚されたことで神罰を受けた】
【魔人は、青年が神罰を受けたことで誕生する】
この因果関係は、変えることのできない世界の運命。
だが同時に、気づく。
その魂だけが——
あの魔人を討ち果たせる唯一の存在でもあると。
救いと破滅は、同じ魂に結びついている。
「……やってやる。」
何度失敗してもいい。
何度絶望を見てもいい。
今度こそ——
世界を救う。
どんな手段を使ったとしても。
彼はまだ知らない。
やがてその魂が未来を救う世界線があることを。
そして自分が、その魂を守り、犠牲となってしまうことを。
はじめまして!MINMIと申します。
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"結末から組み立てる小説"を意識して書きました!
多くの伏線など考えた作品です。
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