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5周目の人生で異世界を救った話   ~5人目の転生者を英雄へと仕立て上げる兄と、仕組まれた運命に抗う少年~  作者: MINMI
序章

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1-0始まりの因果


 それは、三度目のやり直し(タイムリープ)だった。


 戦士ダグラスの住む世界は、一体の魔人によって滅ぼされた。


 一度目と二度目のタイムリープでは、自らの力で倒そうとした。


 だが...届かなかった。


 敗北の末に理解した。


 “自分では、あの魔人を打ち倒すことはできない”と。


 だから三度目のタイムリープでは、更なる過去へ飛んだ。


 魔人が生まれた、その瞬間を確かめるために。


 _____


 辿り着いたのは、千年前の小さな村。


 そこにいたのは、一人の青年だった。


 ダグラスは息を呑む。


 未来で幾度となく殺し合った、あの魔人。


 穏やかな雰囲気こそ違うものの、その顔立ちは驚くほど酷似していた。


 そして、もう一つ。

 青年の左目は赤く染まっている。


 ――緋眼。


 未来の魔人ヴォルトゲイトと、まったく同じ特徴だった。


 だが、違う。


 その青年は村人たちに囲まれ、穏やかな笑みを浮かべている。

 人々に慕われ、誰かを傷つけるような気配など微塵もない。


 未来で世界を滅ぼした、あの怪物の面影はどこにもなかった。


 ……本当に、この青年がヴォルトゲイトなのか。


 

_____



 戦士ダグラスはしばらく観察を続けた。


 数日後の夜のこと。


 村に異変が起きた。

 突然、夜空を裂くような魔力が村を包む。


 黒い魔法陣が空中に広がり、

 そこから召喚されたのは——


 未来で世界を滅ぼした魔人そのもの。

 緋眼の魔人(ひがんのまじん)ヴォルトゲイト。


 轟音とともに炎が村を呑み込み、平穏だった景色は一瞬にして地獄へと変わる。


 燃え盛る家々。

 逃げ惑う人々。

 響き渡る子どもの悲鳴。


 青年もまた、何が起きたのか理解できぬまま、その場に立ち尽くしていた。


 だが、人々の視線は青年へと集まる。


 同じ顔。

 同じ赤い瞳。


「おまえがやったんだ……!」


 誰かが叫ぶ。


 その一言が引き金となり、人々の恐怖は一斉に青年へ向けられた。


「違う……僕じゃない……!」


 青年は必死に首を振る。


 だが、その叫びは混乱と憎悪に呑まれ、誰の耳にも届かなかった。


......

 

 その時だった。


 夜空から一筋の光が舞い降りる。


 光の中から現れたのは、世界の調停者――神麗シンセレーヌ。


 彼女の目に映ったのは、炎に包まれた村。


 そして、人々から糾弾される赤い瞳の青年だった。

 シンセレーヌは静かに辺りを見渡す。


 逃げ惑う人々に、青年へ向けられる憎悪と恐怖。

 

 赤く染まった左目。


 その光景を前に、彼女は静かに口を開いた。


「……この惨禍の原因たる貴方に、神の罰を与えます。」


 調停者として、彼女は裁きを下す。


 青年の魂に刻まれたのは、輪廻転生の神罰だった。



 《死ぬたびに100年間の深淵(地獄の苦しみ)を彷徨い、再び生まれ落ち続ける呪い》


 終わることのない、魂への刑罰。


 ダグラスは、その間違った断罪を見ていた。


 彼だけが、その者が別の存在であることを知っていた。


 止めなかった。


 止められなかった。


 その出来事は、すでに”確定”している。


 なぜなら、未来を破壊した最悪の魔人ヴォルトゲイトは、


 彼の魂が地獄を幾度も重ね、絶望を積み上げ続けた成れの果てだと直感していたからだ。


【青年は、魔人が召喚されたことで神罰を受けた】

【魔人は、青年が神罰を受けたことで誕生する】


 この因果関係は、変えることのできない世界の運命(さだめ)


 だが同時に、気づく。


 その魂だけが——

 あの魔人を討ち果たせる唯一の存在でもあると。


 救いと破滅は、同じ魂に結びついている。


「……やってやる。」


 何度失敗してもいい。

 何度絶望を見てもいい。


 今度こそ——

 世界を救う。


 どんな手段を使ったとしても。


 彼はまだ知らない。


 やがて、その魂だけが未来を救う希望となることを。


 そして、その希望を守るため、自らがすべてを失うことを。


 これは、戦士ダグラスの物語ではない。


 戦士ダグラスによって導かれる、新たな未来の物語である。



_____


はじめまして!MINMIと申します。

まずは、本作に興味を持っていただきありがとうございます。


少しでも続きが気になると思っていただけるようでしたら是非『ブックマークに追加』および『星マークの評価』をよろしくお願いいたします。とても励みになります。


"結末から組み立てる小説"を意識して書きました!

多くの伏線など考えた作品です。

皆様に「面白い!」と思っていただける作品だと思っています!


皆さんの隙間時間に 読み進めたいと思ってもらえるよう頑張ります!

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― 新着の感想 ―
Xから来ました。 世界の調停者なのに、そもそもの原因を作った神麗シンセレーヌが一番悪者ですね( ;゜皿゜)ノシ 来て早々“神罰”で呪うとか…… 『話聞けや! 神様やろ!』 と、思わずつっこんで…
Xの企画から来ました。 「魔人が召喚されたから青年が神罰を受け、神罰を受けたから魔人が誕生する」という因果のループ構造が秀逸で、変えられない運命の残酷さが強く印象に残りました。冤罪で断罪される青年を、…
Xの企画を見てきました。 ブックマークさせてもらったので、これから時間のある時に読みにこさせて頂きますね。
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