バケモノ
ー午後②ー
俺は走った、ただ、闇雲に。
誰にも見つからない所へと走った。
俺は追っ手から逃げていたのだ。
途中、街の中で爆発が起こる。
南ら辺か。
「そんなことは、どうでもいい。」
とりあえず、、、森の中に行こう。
ーー森の中にて。
俺は疲れた。
走り疲れたのだ。
日が下がりかけてる。
俺「俺、、これからどうしよ。」
もう一度死んだら戻れるだろうか?
少し考え事をしていたら、俺の服が引っ張られた。
鈴夢「お兄さん、お兄さん❗️やっと、、見つけれましたよ。少し、心配しました。」
鈴夢が居た。
僕「あれ?鈴夢?」
少女はニコニコしている。
僕「なんで、こんな森の中にいるんだ?」
鈴夢「そりゃ、ショッピングモールから、お兄さんを探してきたに決まってるじゃないですか!おにーさん!」
鈴夢は目を輝かせている。
僕「よく探せたな、こんな、ショッピングモールから遠いとこ。まぁ、、居てくれてうれしいよ。」
鈴夢「そうですかぁ?なら、来た甲斐がありますね。」
僕「あと、なんか、テンション高くない?」
鈴夢「え、そうですか?まぁ、そんなもんじゃないですか?。」
、、、、いや、よく探せたな。
僕「どういうふうに探したの?」
鈴夢『今から8分前ぐらい?ショッピングモールの「封印」が解けたので、街の空を飛び回っていたら、見つけましたんです!』
僕「、、、?」
鈴夢『いや〜、バカなお兄さんが森の中にいるせいで、遅れちゃいましたよ。(エヘヘ)』
鈴夢「だから、私、これでも、頑張った方なのですよ。(ボソッ)」
僕「・・・・」
静寂が起こる。
俺「、、、お前は、、、一体、、何なんだ?」
鈴夢「え〜、、何と言われても。。。」
俺「お前は人間、、なのか?」
鈴夢「あは〜それは分かりやすいですね。。でも、あえて私にはこう答えさせてください。」
君は少し微笑む。
君は両手を広げる。
その姿は神々しく、少し、可愛らしい。
『・・・・私は、、あたしですよ。』
俺「、、、?どういう?どういうことなんだ。」
分からない。
鈴夢「だいじょぶですか?体調悪そうですよ。」
俺「大丈夫じゃない!お前は、、お前は何なんだ。」
鈴夢は俺に近づいた。
俺「来るな。」
鈴夢「、、、、、でも、私を呼んだのはお兄さんじゃないですか。そんな、呼んだのに「来るな」は酷いですよ。」
鈴夢「奏音ちゃんには呪術の才能あります。」
俺「じゅ、呪術?」
鈴夢「実は私、幽霊みたいなかわいい存在なんですけど、奏音ちゃんがかけた呪術によって、ショッピングモールから出られなかったんです。奏音ちゃんをお兄さんが殺してくれたことによって、私を縛る呪術が無くなった。分かりますか?」
俺「・・・」
鈴夢『知らなかったとは言わせないですよ。これは君が選択した結果なんです。そのことを身に刻め。』
また、人を人としていないような目だ。
俺「、、、」
鈴夢「呪術は感情によって肥大化する。それで、ショッピングモールに閉じ込める呪術は感情が正義しか無かった。凄い、美しいものですね。でも、歪です。本来、呪術は呪い、負の感情であるべきなのに、正義という正の感情が込められてる。」
俺「・・・」
鈴夢「本来、正の感情は呪術にならない。それなのに、奏音ちゃんの正義は呪術となった。負の感情と同じということになりますね。不思議です。」
俺「奏音を殺さなければ、良かった?」
鈴夢「そうですよ、お兄さんは選択を間違えた。間違えた選択はもう戻らない❗️」
少女はニヤァと笑う。ちょっと気味が悪い。でも、、、そこに不快感は覚えない。
ーーーー鈴夢はバケモノだ。
鈴夢「もし、奏音ちゃんが生きていたなら、、、ひとつ、選択肢が増えたんですけどね。」
俺「?」
鈴夢「聞きます?」
~~~~~~~~~~~~
ーー電波塔にて。
やはり、女は座りながらその様子を見ていた。
??「今回も死にそうだね。少年。」
??「あたしも死に戻りさせるのは疲れるんだよ。なんせ、世界を再編させなきゃいけないからね。次がタイムリミットだ。少し、短かったかもしれないね。」
『でも、次の世界で、君の運命は定まる。』
誰が生きても、誰が死んでも。結末は、、君が決める。君の選んだ選択こそが全て。
『何回も言って悪いね、聞き飽きただろう。でも、敢えて言わせてもらう。』
・・・君の選んだ結末こそ、そこがまさに・・・
・・・・・・『理想郷』・・・・・・
ー朝ー
「カーカー」カラスが鳴く。
洸「朝だ。」
打ち勝ってやるよ。
奏音も、鈴夢も、あと、五十嵐。お前も解決する。
そんなハッピーエンドを俺は掴む。
やはり、こんな世界。死に戻りだって、バケモノだっている世界。
我を通さなくて、何を通すんだ。
俺は伯聖のいる警察、、あれ、病院。どっちだっけ?
まぁ、いい。
行けば居る。
ー午前ー
伯聖「こんにちは。」
洸「はじめまして、五十嵐 夢降るという名の少女を見なかったか?」
伯聖「あぁ、分かりますよ。」
洸「会わせて欲しい。」
伯聖「クレーム言ってきた子ですね。いいですよ。」
ー
五十嵐はベンチに座っていた。
伯聖「では、私は仕事があるので、戻らせて頂きます。」
洸「はい。」
ゆふる「こんにちは。」
洸「はじめまして。お前、虐待を受けてる女の子を助けたいんだってな。伯聖から聞いたよ。」
ゆふる「私はあの子を助けるよ。あなた達の協力が得られなくても、私は私の正義を貫く。」
ゆふるはまっすぐな目をしている。
洸「俺も手伝う。」
ゆふる「え、手伝ってくれるのか?」
洸「任せろ、俺はお前を救いにここにやってきた。まぁ、俺は警察官じゃないがな。」
ゆふる「警察官じゃないのか。じゃあ、あの子の家も分からないってことになるのか。」
洸「分からないのか?」
ゆふる「あぁ、分からない。何も。だから、動こうにも動けない。」
洸「なら、虐待を受けてる女の子を探した方が良さそうだな。」
ゆふる「だね!」
ー
洸「意外と早く見つかったな。」
ゆふる「やったな!ラッキー!」
少女は病院に来ていた。
ゆふる「君!前、私と病院で出会ったよね?」
少女Y「え?。、、、あなたは、、、う〜ん。、、あ!分かります分かります!昨日の!」
ゆふる「そうそう、私さ、君のこと助けたいって思ってるんだけど、いいかな?」
少女Y「私のこと、助けてくれるんですか?」
ゆふる「うん、ここにいる人と一緒にね。」
洸「天城 洸って言います。よろしくね。」
ゆふる「私は五十嵐 夢降る。よろしく〜」
悠莉「私の名前は葉倉悠莉って言います。よろしくお願いします。」
少女は律儀に礼をした。
悠莉「じゃあ、まずは、悠莉の家に行きましょう!」
悠莉ちゃんがなんだか、楽しそうで、よかったよ。
洸「うん、分かった。」
ー昼ー
ゆふる「悠莉ちゃんはどういう風な虐待を受けてるの?」
悠莉「えと、、、ただ殴られたり、私の嫌なことをしてくるだけです。」
ゆふる「嫌なことって?」
悠莉「怒られるんです。毎日毎日。でも、私は悪い子なので怒られることが嫌いなんです。」
ゆふる「怒られることは嫌な事だよ?」
悠莉「そうですね、そうでした。」
ゆふる「大丈夫だよ。大丈夫。今日から未来を向こう。夢を作ろう。大丈夫。全てきっと、上手くいく。」
悠莉「そう、ですね。上手くいくことを願っています。」
ゆふるの目は冷酷に鋭くなった。
ー午後①ー
街の南にある家だ。
ピンポーン。
洸&ゆふる「すいませーん。」
悠莉には近くで待機してもらった。
悠莉母「はーい。」
出てきたのは、ごく一般的な見た目の婦人。
洸「すいません、お宅の娘さんについて話したくて参りました。お話出来ますでしょうか?」
悠莉母「あなた方は誰なんですか?」
高圧的だ。
ゆふる「私達は悠莉さんに両親から虐待を受けていると言われ、やってきた者です。詳しい話を伺いたいだけなのです。」
悠莉母「・・・いいですよ、中へどうぞ。」
ー
ゆふる「あなたは、何故、虐待をするんですか?私には分からない。自分のストレス発散のためだけに、人を、娘を傷つけられる人の気持ちが、私には分からない。」
悠莉母「・・・娘には虚言癖がありーー」
ゆふる「嘘をつくな❗️悠莉ちゃんが可哀想だ。何故、悠莉ちゃんに優しく出来ない!悠莉ちゃんはさ、怒られることが嫌な事だと思っていることが不自然なことだと考えてるよ。君は弱い少女をどれだけ傷つけたんだ?!」
悠莉母「怒ることは親として必要な行為ですよ。」
ゆふる「優しくすれば、全て、上手くいくはずだったのに。何故、そうする力を持っていて、そう、、しなかったんだ。。。」
悠莉母「上手くいく?」
ゆふる「そうだよ。」
ゆふる「今までの私なら、あなたを見逃していただろうが、今回だけは見逃せない。あなたは運が悪かった。でも、すべて自業自得だ。」
悠莉母「え?」
ゆふる『生憎、私はこれが終わったら死ぬつもりでね、罪を犯しても、別に痛くも痒くもないんだよ。』
洸「ま、待て❗️」
ゆふる「待たないよ。待てない。私は私の正義を貫くのみ。」
悠莉母「ま、、」
そのナイフは腹を貫いた。
悠莉母「、、私、は?、、私は、、悠莉が、楽しく暮らせるよう、頑張ったつもりだった。」
ゆふる「楽しく暮らせるように頑張った❓ふざけるのも、、」
「ドカンッ❗️❗️」
家が揺れる。
爆発だ❗️❗️
家は炎に包まれていた。
ー基本情報ー
葉倉 悠莉
小学4年生くらいの女の子。
すごい行動力のあるただの女の子。
この子がもし、悪い子であった場合、更生すればとても素晴らしい人間になるだろう。
無邪気なのだ。で、中途半端に頭がいい。だから、誰も彼女を止められない。
ちなみに、主人公とゆふるが出会った公園は悠莉のナワバリ。