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うちの上司シリーズ

うちの上司 7

作者: sapom

うちの上司、社歴20年。4歳年下。



たまたま、一瞬仕事が途切れた。


校正出し数件、戻り待ち。

入稿待ち数件、明日。

印刷待ち、数件。


やったー!

工場行こう!


本当は私、製本作業がやりたかった。

でも面接で女性はちょっと…(重いものとか持てないでしょ?)とやんわり言われたので、入社してからやっちまおうと考えていた。


柔道部出身の私。黒帯。

見た目に反して(小さいサイズ)馬鹿力と友達や家族に良く言われる。家事や細かい作業が苦手で、実家での仕事は米(30キロ)の精米とか、灯油の補充とか、とにかく力作業だった。


入社したての頃(担当業務がなかった)、先輩たちのお手伝いがない時は「工場行ってきまーす!」って入り浸ってた。

油と機械の独特なにおい。懐かしいにおい(実家が自営業の工場だった)で落ち着く。

ちなみに工場の責任者も上司。めったにこないけども。

印刷もほとんどしていないけども。

工場を守っているのが師匠(勝手に呼んでる)、会社で一番若い、おっとりした男性社員。

新卒で入社したから、上司の言う事がおかしいってあんまり気づいてない…いや、気づいてるのか?


天然で優しい師匠はなんでも質問に答えてくれるし、私のやりたいことを手伝わせてくれる。

困った時も助けてくれる。(主に納期に間に合わない時)

口数少ないけど、すごく丁寧に説明してくれる。

意外とスパルタで、作業のお手伝い2回目は必ず


「ではやってみましょう」


…すみません、前回の私のメモが、何を言ってるのかわかりませぬ。


わからない時は正直に言わないと師匠に口を聞いてもらえなくなる。

製本機械は結構危ないものが多い。例えば首から下げてる名札が巻き込まれたり、指輪をしてると商品(紙)を傷つけたり…。師匠は数年前、断裁機で指を潰してしまっているから、わからないことを中途半端にしたままでは作業をさせてくれなかった。

指が潰れた時の話を初めて聞いた時の「ヒィィィ」と言った私の反応が面白かったのか、たまにこの話を強制的に聞かされる…痛い。



そんな師匠のゴミ箱が上司に取られた。(たかがゴミ箱何だけど、工場ってめちゃくちゃ広いから意外と大変なのよ)

たまにしか来ない自分の印刷機の陣地に欲しいから、師匠のゴミ箱を持って行ってしまった。

上司「師匠さんはゴミ箱一つあれば良いですよね?」

って持って行ってしまったらしい。


うちの会社はごみの分別に厳しい。(個人的には素晴らしいことだと思う)

会社が社長の自宅の横にあり、地域的…ご近所付き合い的な面で、ごみの分別には社長が1番厳しいのだw


それなのに上司は、師匠のゴミ箱をとって、師匠には残ったゴミ箱1つに燃えるゴミもプラスチックゴミも捨てろと言ったらしい。

私がそれを知ったのはたまたまだった。

工場のお手伝いにきて(梱包と断裁機はできるようになったw)アメを食べ、そのゴミを捨てようとしたとき、師匠に聞いた。

下っ端「師匠〜、プラゴミって工場のどこのゴミ箱ですか?」

師匠「あ〜、ゴミ箱ですか。上司が燃えるゴミとプラスチックゴミは一緒に捨ててくださいって、持って行ってしまったので…。」

下っ端「ぁあん?!」


この後私は上司に入社して最初の喧嘩を売りに行くのである。



下っ端「上司すみません、工場でアメのゴミ捨てようと思ったら、上司が燃えるゴミと一緒で良いとおっしゃって分別用のゴミ箱を持って行かれたときいたのですが…。社長は分別しっかりして下さいっていつも言ってますが、上司が責任者の工場では分別はしないんですか?」

上司「あ、いぇ、し、師匠さんがゴミ箱い、要らないって言ってたん…」

下っ端「(最後まで言わせるかょ)師匠さんは社長から分別気をつけてと言われているから困ってましたよ。普段使用していない工場の自分のスペースに置きたいからって持って行かれたのは上司ですよね?この間買ったばかりの加湿器(お客さんから見えるところに置く用の管理部が購入した素敵なヤツ)も持って行って古い加湿器(今は売っていない10年以上前に購入してカルキでガピガピになった化石的加湿器)戻しましたもんね?わかりました、社長に確認してみ…」

上司「しゃ、社長には言わなくて良いです!!」


…初めてそんなデカい声きいたわ。

ほぅ、社長に隠し事ですか…。覚えておこう。



下っ端「ゴミ箱戻すか、事務室の使ってないゴミ箱代わりに工場に置けばよろしいのではないですか?社長に確認してみます。」


上司「そ、相談!相談しましょう!ご、ごみ捨てのルール決めましょう!師匠さんと3人で…」


いやいや、師匠巻き込めば私に勝てると思わないほうが良いぞ、上司よ!

笑いそうになったけど、我慢して、いかにも頭にきてます風に見えるように私は言った。


下っ端「ごみ捨てのルールは、もう、市で決めてあるんです!分別方法も、ごみ捨ての曜日も!すべて決まっているのに、上司が言うルールってなんなんですか?(お馬鹿さんかw)」


上司「あぁ〜」



うちの上司、倫理観も変わってる。



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