第四十二話 腰抜け
「え?たいちが?」
「うん。信頼する筋からだよ」
日向が急にそんなことを言ってきた。
「浮気なんてしてないのに...」
「なんか心当たりないの?あの人結構感情で動いてたと思うからその日にあったこととか」
「そんな...あ」
道永くんのことを思い出した。1つ目の交差点まで送ってもらったんだ。
「なにか思い出したの?」
「吐きそう」
「わかったから何を思い出したの?」
「振られた日にカラオケ行ってたんだよ」
「うん」
「そのときに熱出て一人で帰ろうとして道永くんが1つ目の交差点まで送ってくれたんだ」
「あ〜...それで熱で顔が赤くなってて...最悪の巡り合わせじゃん」
「うわぁぁ...どうしよう.....」
「そんな机に突っ伏してないでとりあえず誤解を解きに行けば?」
「そうじゃん!!!ちょっと1-6行ってくる!!!」
「ほい」
今誤解を解けばまだ寄りを戻せるかもしれない。
「ごめん!たいち居る!?」
「えぇと...今日は休みだけど...」
「え...」
最悪すぎる。なんでこんな恵まれてないんだ...てかこの人見たこと無いんだけど...
「どうしたんですか?」
「いや..なんでもないです」
え..どうしよ
''''''''''''''''''
「もういっそのこと家行けば良いんじゃないの?」
「そっ、そんな事できるわけ無いでしょ!?付き合ってる時も行ったことなかったんだし!!!」
「はぁ...ユナってメルヘンチックよね。そんな事普通気にしないでしょ」
「そもそも学校だから言えるのであって家で言ったら帰りにくくなるし居づらくなるしで地獄の空気が流れるの!わかる????」
「腰抜けね」
「なんだって?」
「腰抜けって言ったのよ腰抜け」
「そんな古いネタ言ってないで一緒に考えてよ!」
「うるさい。正直一ヶ月も放置してたのに今更掘り返すなんて私からしたら信じられないけどそこはどうなのよ?」
「ずっと日向に情報集めてもらってたからしょうがないでしょ!」
「てか、普通になんでか聞きに行けばよかったのに。アホなの?」
「否定される怖さを日向は知らないのよ!他の人にも言われたけどそういう人たちは本気の恋愛をしたことないのよ!」
「高校生なのに本気の恋愛なんて(笑)とりあえず家行けばいいじゃん。そしたらなにかが変わるかもしれないじゃん」
「もういいもん。明日で良いもん」
「腰抜けじゃん」
「なんとでも言えばいいよ。結局日向も恋愛を分かってない」
「私ずっと恋愛相談乗ってたんだけど???」
「もういいもん」




