第四十一話 空斗
たいちと別れて一ヶ月。まともに話せていない。
そもそも別クラスだししょうがないよね。部活も別のパートだし私木管でたいち金管だし喋る機会ないし。
「もうたいちくん諦めて別の人にしなよ〜」
「これから合コンあるから来る?」
「え...」
正直、もう諦めたほうが良いというのは本心で分かっている。
「諦めきれなくてもとりあえず来たら〜?」
「なんかいい人見つかると思うし!」
「それなら...」
「よし!きまりね!」
まぁそんな付き合う気はないけど..諦めがつくかもしれないし...
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入った瞬間、目を惹かれる人が居た。
「「どうも〜!」」
「あっ、ど、どうも」
「「「どうも〜」」」
ダウナー系で...とってもかっこいい...でもなにかたいちと似ているような気がする....
「じゃあ自己紹介しよっか!」
自己紹介の間、ずっとその人、松杉空斗さんにしか目が行かなかった。
「じゃあなにか歌おっか!」
「空斗どーする?」
「ん、俺はいい」
「あ、あの、松杉さんって...」
「何」
「ど、どんな人が好きなんですか?」
「こんなところに来ないやつ」
「はぁ...」
なにこいつ。かっこいいからって。こいつもここ来てるくせに
「俺は数合わせだから」
「そうですか..元カレに似てるなって思ったけど人格はかけ離れてますね」
つい、イラッとして言ってしまった。
「へぇ...元カレの名前は?」
「柳大知ですけど...」
「ふーん」
本当に一つ一つの言動がイラつく。
「俺さ、小さい頃に親が死んだらしいんだわ」
「え?」
「で、今の松杉っていう家に引き取られたんだけどさ」
「は、はぁ」
「元は三つ子だったらしくて。今探してんだよね。って言っても一人は京都、一人は福岡らしいんだけど」
「そ、そうなんですね。でもなんでそんなに別の場所にいるんですか..?」
「たしか、会わせないようにそれぞれの地方の分家にとかって」
「へ、へぇ〜」
なんだって私に言ったんだろう。
「で、三つ子だから顔似てる可能性あるし一応君の元カレさんと会いたいなって」
「会って良いんですか?」
「まーいんじゃね。いまそいつに連絡できる?」
「いや...ブロックされちゃってて」
「お前なにしたん。兄弟じゃなくても会った時に聞いとくわ」
「はぁ...」
そのたいちの黒いところを映し出したようなその人物と連絡先だけ交換して帰った。
もう増やさないって決めたのに...書きたい内容的に増やさなきゃ....




