第三十九話 弟
新章です!
いつもいつも...弟が怖かった。
自分の弟でありながら...血が繋がってないような気がして。
「ねぇ、お姉ちゃん」
よく、私のことを呼んできたりしても話せなかった。
別に話したくないわけじゃなかったけど、話したら私が落ちそうな気がして。私が私では無くなりそうな気がして。
なんでそう思ったかはわからない。でも、私とは格が違って、ずっと上にいるのが弟でずっと下にあるのが私。そうだと思い続けてきて。
そして私は逃げた。京都からずっと遠い高校に。
そして私はVtuberになった。人に認められるために。弟を忘れるために。
でも、ある時弟が東京に来た。なんでも行きたいところがあるらしい。久しぶりに弟と喋っても、やっぱり格が違うような気がする。でも、私は前と何かが違う気がした。
私には60万人のファンがいるから。
その気持ちでどうにか冷静を保っていたような気がする。それでも弟は格が違うように感じて、気持ち悪さが残って、その時は弟が家をかたして帰った。
その時はお節介だった。自分より年下の人が私のお世話をしている。そんなの認めたくなかった。認めれなかった。
でも、冬休みにまた弟がきた。
なんで来たのかはよく覚えていないが、確か家事ができているか心配だからとかのような気がする。
またお節介だと思ったが、そのときに何故か暖かみを感じた。人の暖かみを。でもそれを信じたくない私も居て、頭がおかしくなりそうだった。
だが、弟がここに住むと言い出した。
おかしい。私は弟にぶっきらぼうな態度を取っていたはずだ。理由を聞いてみると
「お姉ちゃんの健康が悪くなりそうだから...」
という理由だった。その時私の中では謎の気持ちが支配した。
たいちを独占したい
私は弟のことを心の中でたいちなんて呼んだことなかった。
それでも、この気持ちが出てきた。一目惚れに近いのだろう。
ずっと目をそらしてきた事にしっかりと目を合わせると、意外に嫌な事実は無いのかもしれない。
たいちを幸せにしてみせる。
そんな気持ちをずっと持ってきたが、たいちがライバーになってから歯車が狂いだした。ライバーに招待をしたのは私だけど、たいちを狙う輩が増えたような気もする。
独占をしたいけど、したら
「..えさん!姉さん!」
「うん..?ここどこ..?」
「西原先輩の家。今四時だよ?皆寝ちゃって起きてるの俺だけなんだけど」
「なんで今起こしたのぉぉぉ...寝てるなら無理して起こさなくていいじゃん...」
「西原先輩に迷惑でしょ!早く起きて水飲んできて!」
「ふぁい...」
懐かしい夢を見ていたような気がする。。思い出せない。。。まあいっか。




