第二話 首
「大知くんさぁ...君一番仕事できてないんだよ?一年だからって容赦しないから」
「す、すみません生徒会長」
俺は今生徒会長に怒られている。それは生徒会の皆さんより仕事ができておらず、足を引っ張っているからだ。
「もうやめるか?生徒会」
「いえ、やめたくないです」
他の人もいるが、いつもの光景過ぎてもう相手をしなくなった。
「生徒会長、やめときなよ〜?」
「結衣、お前はいつも大知の味方をするよなぁ」
副生徒会長の結衣先輩はいつも俺のことを気遣ってくれている。なぜかはわからないが。
「もういい。大知、君首ね」
「そ、そんなぁ...」
「はいはい。帰った帰った」
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おとといからいいことが一つもない。こっから死んでもいいんじゃないか...
いや、姉さんがいる。あの家事ができない姉さんは俺が死んだら姉さんも死んじゃうから俺は先に死ねない。
「あれ?大知くんじゃん!やっほー」
「あ...篠村先輩..」
吹奏楽部の部長の篠村先輩。たまに話す程度の先輩だが、話すと楽しい人だ。
「どうしたの?不貞腐れてるなんて大知くんらしくないけど」
「実は...」
一昨日から今日のことを全て話した。話すだけで気持ちが楽になった。
「えぇ〜?会長ってそんなことしてるんだ〜」
「でも俺が悪いんです...仕事ができないから...」
「うーん、聞いてる限り大知くんは悪くないけどなぁ〜?」
篠村先輩も優しくて泣きそうになる。
「いや、僕が悪くて...」
「そうだ!大知くんに吹奏楽部の簿記を任せてもいい?」
でも、この先輩が考えてることはよくわからない。
「え?いいんですか?」
「知り合いから聞いたんだけど大知くんって簿記1級もってるよね?」
「はい。一応..」
「よしそれならおっけー!副部長と先生にはうちから通しとくから〜」
「本当にありがとうございます」
「こちらこそだよ〜。簿記持ってる人なんてなかなかいないからさ!」
「そんな..簡単ですよ」
「その簡単なのでも取れない人が世の中には大勢いるんだよ〜?もっと誇ってもいいよ!」
「あ、りがとうございます」
自然に涙が溢れてきた。
「ほらなかないの!男の子でしょ?」
「はい!」
一見意味のわからないこの先輩が、部長になれた理由がわかった。