冒険者登録完了
これが俺の異世界道の二話目です。
相変わらずの駄文ですが最後まで見ていってくれると嬉しいです。
「なんじゃこりゃあ!」
目の前に広がる景色に対して思わず驚嘆の声を上げる。
そこに広がっていたのは異世界のお約束ともいうべきか、中世ヨーロッパ的な街並み!
テンション上がってきたー!
俺の予想が正しければこういった世界にはギルド的なものがあるはずだ。
となればまずはそこに行こう。
そのためには誰かに場所を聞かなきゃなんだが。
「キャ〜!」
なんだ!?
俺が声のした方へ視線を動かすと、そこには見るからに荒くれ者見るからにようなの集団に囲まれてる美女がいた。
異世界という非現実に完全に浮き足立っている俺はあの女性を助けようと一歩を踏み出した。
「おい!やめ「やめろつってんだろうが!」
しかし俺が男たちに声をかけようとした瞬間、襲われていた女性がどこから出したかわからないドスの効いた声で荒くれ者たちを怒鳴りつけた。
「ヒィ!!ずびばじぇん!」
その気迫にやられたのか男たちが泣きながら去って行ったのだが、あれ!?
自分の予想していたこととあまりにもかけ離れた現実に俺は呆然と立ち尽くした。
しかし彼女の姿をよく見ると、どこを守っているのかと突っ込みたくなる面積の小さい鎧を着て、その腰には剣を一本携えている。そのことから察するに彼女は騎士か冒険者の類なのだろう。それならば彼女に聞けばギルドの場所がわかるかもしれない。
怖いけど。
「あの〜すいません」
「あ?なんか用かよ?」
今度はなんだと言わんばかりの鋭い眼光でこちらを睨み付けてくる。
怖いよ〜めちゃ怖だよ〜。
「すいません!ギルドに行きたいんですけど〜」
「お〜ギルドか!てことはお前新入りだな!いいぜ、あたしも用があったんだ。連れてってやるよ。あと、あたしのことはヘカティって呼んでくれ。それに敬語も不要だ」
「わかったよナーゼ。俺のことはレンって呼んでくれ」
「あいよ!レン」
そういって俺の背中をビシビシ叩いてくる。
予想とは裏腹にとてもいい人で安堵する。
背中はめちゃ痛いけど。
そんなめっちゃ怖優しい美女ことヘカティに案内されてギルドまで来たのだが、慣れない空気で一体どうすればいいのかわからず右往左往する。そのことを察してかヘカティが俺の方を向けて声をあげた。
「ここが命知らずの荒くれ者たちが住む場所ギルドだ!何か困ったことがあるならあたしに聞くがいいさ」
何この人カッコええ〜。
俺がそんなことを思ってると周りの人たちが。
「お前もつい最近来たばっかだろうが!」
「そーだぞー。初めての後輩だからってあまり先輩ヅラすんなよ〜。」
などヘカティに対してのヤジが飛ぶ。
「来たばっか、初めての後輩」
俺がそのヤジを復唱すると、ヘカティは顔を赤くした。
なんだこの人、おもろいな。
「うるせーぞお前ら!ほらレン!早くあそこで冒険者登録してこい!」
そう言ってヘカティは受付と思われる場所を指差した。
俺はその言葉に従ってそこへ向かい受付の人に登録したい旨を伝える。
「すみません。冒険者登録したいんですけど〜。」
「はい!冒険者登録ですね。ではまず手数料として1000ボラいただきます」
ん?
ボラ?
手数料?
お金なんて持ってないぞ!
…あっ、俺は不意にヘカティのことを見る。
まだ他の冒険者にいじられているようだ。
って何を考えてるんだ俺は!
ここまで親切にしてくれた人にお金まで借りる?
さすがにそこは人としての尊厳にすら関わる問題だろ!
そこまで落ちてはいないぞ俺は!
ここはしっかり働いて稼ぐのが普通だろ。
うん、そうだよな、よし!
決めた!
「ヘカティ!手数料代貸してくれないか?この街に来たばかりでお金がなくて」
すがすがしい顔で言ってしまった。
まあ仕方ないよね。
働きたくないし。
「あー1000ボラだったか?それくらいならあたしが払ってやるよ。初めての後輩だしな。それにこう見えて、結構いいところのパーティに所属してるんだぜ」
そう言って俺に紙幣を一枚渡してくれた。
「本当に申し訳ない!ありがとう!」
俺がお礼を言うとヘカティは気にするなと言わんばかりに右手を横に振る。
それにしても借りるどころかまさか奢ってもらうとは。本当にいい人なんだな。これは多大な借りができてしまった。
今度機会があればちゃんと恩返しをしようと心に決め、のしかかる罪悪感を振り払いながら俺はまた受付へと戻る。
「すみませ〜ん」
そのお金で登録しようとしたのだが、一部始終を見られていたせいか受付の人の目線が冷たい。
「それではこの紙にあなたの名前と身長や体重、生年月日と出身をお願いします」
そう言って受付のお姉さんは紙を渡してくる。
名前はスズキレンで出身は東京かな。
他にも指定された通りに個人情報を記入していく。
この世界の文字は日本語ではないはずなのだが、すらすらと思った通りに書けるし読める。
これがあの女神が言っていたやつか。
ご都合主義に感謝しながら俺は書き終えた紙を提出する。
「え〜スズキレンさんで出身はトウキョウ?聞いたことないですが・・まあいいでしょう」
出身地に引っかかられてビビったが、案外ゆるゆるで助かった。
深堀されたらどうしようもないからな。
「ではこれから精霊適性検査をします。こちらの水晶に触れてください」
そう言って水晶が取り出される。
これで俺の凄さが知れ渡り大騒ぎになったりするのだろうか!?
そんな期待を胸に、俺は水晶に触れる。
「お〜!!これは!あなたには精霊が付いていますね!」
「精霊が?どんな?」
やっぱりなんか特殊なやつか?
「精霊には火・水・風・土の4属性が主なのですが、レンさんのは特殊でして」
特殊!?
やっぱり俺の中に何か特別な才能が?
「幸運になるというものでして。」
幸運?
あまりにもあやふやな効果に俺は困惑する。
「それって強力なんですか?」
「いやー、そうでもなくてですね?常時なるというわけではなく、一瞬だけ幸運になる効果が発動するというもので。それにいつそれが発動するのかもわからず、一生のうちで一回も発動しなかった人もいるほどでして」
「ゴミじゃねぇか!」
何だよそれ!せっかく特別な精霊が付いていたというのに!
あげてから落とされたぞ今!
「まあまあ、そこまで気を落とさずに。次にジョブを決めていただきたいのですが」
「ジョブ?」
「はい!戦士や魔術師など、自分に合っていると思うものをこちらからお選びください。あと一つ注意点なのですが、一度決めたジョブは二度と変えられないのでお気をつけください」
そう言ってリストを渡してくる。
戦士、魔術師、回復術師、本当に色々あるな。
俺がリストを見ていると一つ不思議な箇所があった。
魔術師と魔法使いの二つがあるが違いってなんだ?
リストの一番下に魔法使いが小さく書かれていた。
その違和感と小さく書かれた魔法使いに俺は何かを見出した。
「決めました!魔法使いにします」
「え!魔法使い!?本当にそれでいいんですか?」
受付の人の驚きを隠せないといった反応に不安を抱く。
だがこのスズキレン、一度決めたことは貫く男!
「はい!お願いします!」
「……そうですか。わかりました。ではこれを」
受付の人はそう言いながら種のようなものを差し出してくる。
「えっと、これは?」
「こちらは魔法の種となります。こちらは食べると私たちの魔法の才能を引き出してくる精霊具です」
「精霊具?」
「はい!精霊具とは精霊の力を使って作った便利な道具や食べ物のことです。種はこれの他にも魔術師の種などもあり、お客様が選んでいただいたジョブに合わせて提供しています。この種を食べることで人間の筋力や魔量、そして魔力などが上昇し、それぞれのジョブに対応した才能が開花します。戦士の種であれば筋力と剣術や槍術などの才能が、魔術師の種であれば魔力と魔術の威力などが他の種よりも大きく上昇します。この魔法使いの種は、…えーと何だったかな?あ!そうそう、魔量と魔法の威力、そして燃費ですね!ちなみに別のジョブの種を食べてしまうと体がボンッとなってしまうのでお気をつけください」
それを聞いた瞬間、俺は食べようと種に伸ばしていた手を止める。
「食べて大丈夫な奴ですか?これ?」
俺の問いかけに対して受付の人は意味がわからないといった表情をする。
「?ええもちろん。それがなければ力も魔力も足りずに冒険者としてやっていけませんから。特に魔法使いなんて」
まあ、それがこの世界の常識というのなら仕方ないだろう。それに他の冒険者もみんな食べているわけだし、そう考えるときっと大丈夫なはずだ。
そんなことを思いながら俺は種を食べる。
「ではスズキレンさん!冒険者の世界にようこそ!あなたの活躍期待しています!」
そんな言葉で送り出された俺は、胸が高鳴りながらもヘカティには報告しなくちゃなと思い未だにいじられているヘカティの元へと向かう。
いやどれだけいじられてるんだよ!もうやめたげて!ヘカティちょっと涙目だよ!
そういえば俺今誰ともパーティ組んでないじゃん。
こんな駆け出しを入れてくれるところなどあるのだろうか。
まあそれはそうと今はヘカティに報告だな!
「あっ。あの人。あいつとパーティを組まなければ。」
最後まで見てくださりありがとうございます。
評価が高ければ、また次話を投稿するつもりなので応援よろしくお願いします。




