なろうの短編の連載化詐欺問題の根本には出版業界の自転車操業体制にありそう
さて、短編の連載化詐欺という指摘エッセイがかなりポイントを集めてますが、なぜそうなるのかはいくつか理由がありそうです。
まず1つはインデックページの”更新された連載小説”の表示される数が10と少なく”新着の短編小説”の表示される数が20と多い上に、更新される作品数に比べれば短編の投稿数のほうが圧倒的に少ないことで短編に投稿したほうが”目立ちやすい”ということでしょう。
そもそもエッセイなどを除けば純粋な短編は少ないですしね。
そして短編で評判が良かったから連載にしてみましたという作品は昔からあるのですが、短編では細かい設定とかの粗があまり目立たなかったんだけど連載になると矛盾が目立つという作品も多く、連載化されてランキングに載るが落ちて行くのも早い作品が多いきはします。
そして現状ではなろうでの高ポイント作品はまだまだ書籍化のチャンス自体は多いと思います。
もっともランキングに乗って書籍化までいったとしてもその物語が書籍でもWEBでも話が完結まで行く作品が少なすぎるのが問題かなーと思います。
ぶっちゃければ出版社や編集さんもどういう作品なら売れるか、もうわからない状態なので売れそうなものは片っ端から書籍化してみているけど、ほとんどは大して売れていないという状況になっているのではないかと。
紙の書籍は印刷して取次に納品すればとりあえずは現金になるので、そこからイラストレーターさんや下読み校正をする人とかの固定費を払う事ができるわけですが、現状では4割程度は返本されるので本来であれば取次にその分お金を返さないといけませんが、新しい本を出して納品する事で相殺しているのが実情なわけですね。
しかし、新型コロナの影響で駅ビルの書店は休業していることなどもあって、今回は返本率が跳ね上がりそうな気がします。
アマゾンなどは好調ですがアマゾンは日本の取次とはむしろライバル関係にあるのですよね。
紙での委託販売の問題点も今回あぶり出されそうな気がしますが、電子書籍の場合は売り上げが確定するまでは出版元のお金が入ってこないので漫画のように小説とは売り上げが一桁二桁違うのジャンルはともかくラノベはいきなり電子に全振りもできないはずです。
もっともそもそも書籍の定価での委託販売制度自体がもう時代に合わなくなっていて、その継続は無理なんだろうとも思いますが。
そして最近のラノベは下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると、ともかく発売されてるタイトル数を増やしているわけですが、だいたい発売1週間で売れるか売れないかは決まってしまいますし、書店においてもらえるのは大体2週間位でしょう。
紙では売れなかったけど、電子書籍はめちゃめちゃ売れてるとかじわじわ人気が出るというパターンもアニメ化したりした作品はまた別としてほぼないですからね。
結局出版社としては、出してみて売れない作品は切り捨てて別の作品を出していくほうが目先は良いのでしょうが、そうやって打ち切りばかりで続きが出ない作品ばかりになるとじゃあもういいや打ち切りばかりなら金だしてまで本安価買わないしなろうで十分じゃんとなっていってると思うんですけどね。
実際今でもよくうれているラノベタイトルってSAOとかオーバーロードとか、このすばとか劣等生とか結構昔の作品でここ最近に出たラノベのビッグタイトルってないんですよね。
四六判市場も完全に飽和して、同じような表紙や中身ばかりの作品で飽きられてきている上に、そもそもラノベの棚がない一般書店もかなり増えてます。
そのかわりとらのあな・ゲーマーズ・メロンブックスなどではかなり網羅はされていますけど、ラノベは一部のオタクだけが読むものとなりつつあるように感じます。
そして1作品あたりの印刷部数が1万部とか8千部で売れる部数はその半分くらいになっているのが実情でしょう。
商業的にはラノベは利益が出にくくなり市場が死につつあるし、なろうでの書籍化をモチベーションにしている作者さんにとっても状況はどんどん厳しくなっていきそうですが、だからこそ目先の利益に囚われてしまうのでしょうね。