守神……?
007
あれから、2日。今日も分厚い本を両手に、父さんの書斎で、父さんと一緒にお勉強。
父さんは仕事だが、俺は、勉強だ。
先日、父さんの仕事中に、静かにお邪魔して本棚を眺めていたところ、1冊貸してもらえたんだ。
それに、今日は俺の誕生日。この世界に転生して二年の歳月が過ぎたと言うことになるのか。早かったなぁ。
ちなみに、俺は一昨日からクロヒを一度も呼んでいない。そんな暇ない。俺は、やることがあるんだ。
絵本を読むと言う重大な事が。
小さい頃から、本を読んでいた子供が、頭がよくなると聞いたことがあった。だから、今から読み潰して、頭よくなってやる。それに、この世界のも字は、良くわからない。前世と全く違うのだ。だから、頑張って覚えるんだ。
それに、戦闘になったら、力で勝てないなら頭で勝たないと。
……? 素朴な疑問。いや、もっと最初に気付くべき疑問か。
この世界は、ファンタジー系の世界か?
本を読み始めたときに気付くべきだった!! そもそも、魔法とかそう言うやつがない世界だったら、意味無いじゃないか! ……1から始めろ……それは前世のような世界でか? そう言う意味としてとらえるべきだったのか!?
うっ、、、頭が重い……
これは、クロヒが来たぞ。
『あのなぁ。なにも言わなければ、俺を呼ばなくて言い訳じゃないぞ。……ん? 無いんだぞ。か』
何を言っているんだ。別に変じゃないんですけど。
『いやな、ここ200年、誰とも話してなかったからの。しゃべる方を直そうとしている、んだ。』
で、どうして呼んでいないのに出てくるんですか? 何のようですか? 俺をバカにしに来たんですか? それなら、殴りに行きますよ。
『ほう、だから、妹さんに短気と言われるんじゃ。あ、いけね。言われるんだ』
何? 今なんて言った? 俺の妹を知っているのか? もしかして、前世の事を……?
『何の話かわらないが、俺は、お前さんが考えてることが全部わかるのでな。つい、2年前くらいにお前さんが考えていたことだったかの。それの話をしとる』
言葉、可笑しいですよ。直そうとしているなら直さなきゃいけないだろ?
『おっと、すまん。』
そうか。じゃあ、別に前世の事を知っている訳じゃないんだな。
『お前さんも、忙しいな。敬語になったり、戻ったり……人の事が言えたたちじゃない』
すみません。知らない人としゃべるときは、こうなってしまうんです。癖ですね。って、話がそれてます。何のようですか?
『魔法。と言っただろう?』
言いましたね。さっき。
『この世界には、魔法が存在している。お前さんが知りたかったことを、教えてやろうと思っただけじゃ』
俺は、やはり幽霊に物事を教わっている……幽霊、恐るべし。
『……俺は、幽霊じゃない。はあ。お前さん、幽霊が好きなんじゃな? この家に来たばっかの時も、幽霊がどうのって、言ってたな。』
それは……恥ずかしいのでやめてください。
『いいか? 俺は幽霊じゃない。この家の守神だ。いや、……守護神? こっちのほうが、かっこいいか』
守神? 守護神? いきなり何ですか? そんなの信じるわけ無いじゃないですか。大体、神なん……か……? ……俺は神を知っている。居ないなんて断言できない。神が、いたから俺はここにいるんだもんな。
『分かったか? 俺は、幽霊じゃない』
分かりました。じゃあ、神なんですか?
『神でもない。守神という立場でしかない。神のようなことは出来んよ』
……か、神でもないんですか……
『その反応……けけ、面白い。今日から、俺は、お前の守神だ!』
は? どういう事だ? 俺の、守神……?
どうやら、2歳の誕生日プレゼントは、守神らしい。
書斎で、口を大きく開けた俺を父さんは見ていなかった。