特訓特訓特訓……! あぁ! 特訓ってなんだよ!
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遅れましたが、ツイッター始めました!
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『さあ、ライルよ。特訓するかのう! クロヒ様も行ったことだしの』
「特訓は良いんだが、俺はレベルをあげて、ダンジョンとやらを見に行きたいだけなんだけど」
『特訓じゃー! 今からわらわについて来るんじゃ!』
そう言うと、クラハはひと足お先に、と言って北へ向かって走り出した。
「な!? おい、クラハ! どこ行くんだ!」
慌てて、ライルは後を追う。
『カカッ、決まっとるじゃろ! ランニングとやらだ!』
ランニング……!? 俺、元々体力に自信無いんだけど。
そう言いつつも、ライルは走る。
まだ走るのかよ。おらぁ! これでどーよ! これなら追い付けるか!
クラハは、優雅にそしてゆったりと、目の前を飛ぶ。
『カカッ! それで体力がないと言うのか? わらわは、これで全力だぞ?』
気が付けば、ライルは、クラハに追い付いていた。
「な、クラハ、お前それ以上速く飛べないのか?」
『そうじゃのう。ま、なに、不自由はないでの』
そう言うと、クラハは止まった。
どのくらい走ったのか。あまり意識していなかったために、辺りの風景は、さっきまでいたところと、全然違う。
「クラハ……ここはどこだ?」
『うーん、この世界の、北の果てと言ったところかの』
き、北の果て……どんだけ走った? いや、この世界が意外と小さいのか?
そう言えば、少し肌寒いな。走ってきて、体温は上がっているはずなのに……
北と言えば、雪だの氷河だのがあるイメージだが、そう言ったものはほとんど無い。
空には、雲が一面に広がっている。太陽が見えない。その為薄暗く、余計肌寒く感じられるのだ。
「で、ここまで来て、何をするってんだ?」
『ん? 決まっとるじゃろう? 山登りじゃの』
特訓と言えば、山登りって……クラハ、お前竜だろ? んなもん、飛んでいけば……
『カカッ! わらわも、足で登るのじゃ!』
「足で……竜が足で?」
にこにこと、山道を登り始めるクラハ。ライルはその後ろを歩く。
竜が足で登るって、珍しいよな。ってか、今までで一度もないんじゃないか!?
『カカッ、前の主もそんなことを言っていたのう。女だったから、低めの山にしてやったってのになぁ。カカッ、途中で泣いて終わりにしたんじゃ』
前のって、クラハたちを造った人か?
『いや、ライルの前に、仕えていた年端もいかない狸人の女の子じゃ。あれから、10年は経ったからの。今は何しとるかのう。それ以降会ってないんじゃ』
「はいはい、思い出に耽ってないで、前を見て歩け。落ちるぞ」
『あれは、可愛かったのう。わらわも女なのじゃよ。でも、そのわらわも可愛いと思ってしまうほどの美貌での……』
クラハは、ライルが言ったことに耳も向けない。
そうかそうか、それほどの美貌だったんだな。一度はあってみたいものだ。
……山登りを泣いて終わりにして、それ以降会ってないって。それってまさか。クロヒが言っていた、おかしくなっちゃった、ってやつか!?
この山登り、相当危険……!?




