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二人の関係

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 061




『ひっ! じゃねー! 水の、俺の主に何を吹き込んだ!』


 クロヒはパタパタと小さい羽を動かして、近づく。それに対して、身構えるクラハ。


『……悪かった。お前に怒って悪かった。お前がいっていなかったら、俺は一生ライルに黙っていたままだったかもしれない』


『……ん?』


「え……」


 クロヒがこんなに素直に謝ったのは、初めてじゃないか?


『わ、わらわは、なんとも思ってないのじゃよ! クロヒ様の主人がどんなやつなのか、見てみたくてのう……それで会ったら、こんなチビ、、いや、小僧でつい色々言いたくなっての。すまなかったの、あにさんっ!!』


 あ、兄さん……?


『クラハ……!』


 クロヒは、今度こそクラハに近づいて、お互いに優しく抱き締めた。


「……あのー、どう言うことですか?」


 そう言ったライルに、クラハは目を丸くしてクロヒをみた。


『あにさん、それも言ってないのかの』


『悪い、ほぼなにも言っておらん』


 ほぼって、俺には訊いておいて、自分のことだけはいってなかったのか。……確かに自分から聞いたこと無いな。教えてもらったこともないけど。


『悪い、ライル。こいつとは、えーと……』


『兄妹と言う設定なんじゃよ』


「設定?」


『そうなんだ、もとの主がそう言うのが好きでな。何年も付き合わされたから、それが今も残ってるんだ』


「前の主は、どんなやつだったんだ?」


 クロヒは、クラハの頭をポンポンと叩いて言う。


『主って言っても、俺たちを造った主人だ。最初は、あんまり俺らに頼りたくないみたいで、一人で行動してたんだーー』


 そのあと、クロヒは躊躇うこと無く話してくれた。


 主人は、俺と同じく転生者らしいこと。俺とは違い、前世の漫画やアニメが好きだったこと。今は、どこにいるのかも、生きているのかも分からないこと。それが300年前のことだと言うこと。


 300年前じゃ、生きている気がしないが、魔法を作り出した張本人だ。もしかしたら、不老不死とかがあるかもしれない。自分なりにも馬鹿げた考えだとも思ったが、可能性がないわけではない。


 そして、他に4匹の竜がいること。ヒルとは前に街であったから良いとして、他に3匹。光属性のやつと、風属性のやつと、土属性のやつ。


 名前は覚えてない。よく分からないから。ネーミングセンスがなかったのは覚えている。とは言っても、俺が言えたことじゃない。魔法の名前なんて考えたら、、考えるまでもない。


 優しい女の人だったと言う。ロングの黒髪をおろしていて、凛とした顔立ちだったと言う。目の色は、黒らしい。間違いなく日本人だ。



『他に知りたいことはないか?』


「そんなに一気に話されても、分かんなくなるから今度で良いよ」


『そうか。じゃあ、俺は調べたいことがあるから、お前は、クラハに教えてもらっておけ』


 あ、昨日この世界に来たのって、俺がクレハと喋ってたからなんだと思ってたんだけど。どうやら、なんか他にようがあったみたいだな。


『俺が、そんな理由で来ると思ったか?』


 あ、聞こえるんじゃん。そうだった。聞こえるんだった。


『わらわも聞こえるんじゃよ』


 ちぇ。俺の考えは筒抜け……


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