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女神が短気?

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「じゃ、おやすみ」


『おう』


 その日は、久しぶりにゆっくり寝れた日だった。と思う。


 毎日毎日、慌ただしくて、ただただ疲れをとるために寝ていた毎日。



 チュンチュンチュンチュン……


「うーん……」


 よく寝た。寝過ぎて逆に疲れた。それに、なんか、こんなにゆっくりしてると、違和感があるんだが……俺はもう、ゆっくり寝られないのか。


 そんなことを思いながら、暗く静かで、肌寒い洞窟を出た。


「太陽、まだ見えないな……今何時だよ」


 思ったより早く起きちゃったわけだ。あ、深鈴を起こそう。一人じゃ、静かすぎるし。


 ライルは、また洞窟の中へ戻った。


「おい、深鈴」


 昨日、遅くまでいた焚き火辺りにいるかな。


 そこには、まだ火が消えきっていない、焚き火があった。深鈴の姿はない。


「おかしいな。じゃあどこにいるんだろう」


『ライル……お前、早起きすぎ』


 クロヒが眠そうな目をこすってやって来た。


 いや、なんか、よく寝過ぎたのかわからないけど、目が覚めちゃってさ。


『あれ、妹さんは?』


 ……それが、どこにも見当たらないんだ。


『どっか、散歩にでも行ってんじゃないのかのう』


 そうだな。じゃあ、俺も魔法の練習にいくか。昨日のところに行って、クラハに教えてもらおう。


『は? なんだって? 水の小娘のところに行くだぁ?』


 な、なんだよ。行っちゃ悪いかよ。


『ダメだ。あいつは、一人目の主人をダメにしたやつだ。お前まで、そうはさせたくない』


 ダメにさせたってどう言うことだよ。


『……あいつと一緒にいた、女の子のことだ。たった、2週間で、頭がおかしくなって、今じゃ、療養中だ。だから、ダメだ』


 ……どうせ、もう俺の頭はおかしいんですけど。と言うことで、さっさとこの世界から出たいので、修行に行ってきます。


『よし、じゃあ俺も行こう』


 どうぞ。じゃあ、昨日のダンジョンまで、競争な。行くぞ、よーい……


『ドンッ!』


「あ、こらっ! ずるいぞクロヒーっ!」




 ---




「……おい、準備はできてるんだろうな。リフ。主人は見つけたんだろうな?」


『はい、女神様。今、様子を見ているところです』


「そうか。じゃあ、準備が出来次第、王都に攻め込むように」


『は!』


 リフと呼ばれた者は、そう言って、消えた。


 ここは、神界。女神テイメが居座っている、第5層。指令室は薄暗く、モニターのようなものの光が目立つ。指令室の中央にいるテイメは、そのモニターから、ライルを監視している。

 ……そして、ライルが、笑う度に眉間にしわが寄る。


「あー、あー、ああぁ! なんで、あんなに笑ってられるんだ! 今どういう状況下におかれているか、あいつは分かってるのか!? イラつく! この俺が、直々に行ってやっても良いんだぞ!」


 足を、地面にダンダンと打ち付けて苛立ちを隠さないテイメ。


「テイメ様。口が悪いです。そして、あなた様は、この5階層を守るという指名もございます」


「……分かってるさ。お前には負けるな。ミクレ」


「いえ、テイメ様が、ご自分の意思でそう動いていらっしゃるのではないですか。私はなにもしていませんよ」


 ミクレは、そっと微笑む。


「そうだな。でも、俺のことを一番理解してくれるのは、昔から変わらないな。まあ、前世では、幼馴染みだっただけだけどな」


「もっと、頼ってもらって構いませんよ」


 ミクレは表情を変えずに、そういった。


 ---


『うえーい! 俺の勝ち』


「……はあ、はあ……いや、ズルしたから、負けだ」


 ライルたちは、昨日のダンジョンまでやって来た。


『よく来たの。なんじゃ、やっぱり、わらわに……げ、クロヒさま……』


『やあ、クラハ。元気にしてたか? 昨日は、うちの主人がお世話になった』


 クロヒは、喧嘩腰にそう言って、クラハに近づいた。


『ひっ!』

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