ゆっくりとした日。のはず
誤字報告ありがとうございます!(’-’*)♪
058
『うひゃー! 美味い。これは誰が作ったんだ? 待てよ、こっちの方が美味そうだな……おい、ライル! お前も食べろ! 美味い!』
二人の事はお構い無しに、ご飯にがっつくクロヒ。
深鈴が雨避けや風避けにと、色々考えた末に、今居る洞窟に食事やらを用意していた。案の定、外の風は強くなり始め、立っていられないほどになった。
夜空には、平然と星が輝いている。
そんな夜空に誘われるように、ライルは、深鈴やクロヒを置いて、洞窟を出た。
シールド使って、浮遊で飛んでいれば、流されないだろう。
「シールド、浮遊」
外に出て、しばらく夜空を眺めていた。
綺麗だな……都会じゃあ、こんなの見れないもんな。学校なら、ギリギリ見えるかもだけど、、周りが木に囲まれてるし。俺の家は……どうなんだろ? そう言えば、あんまり外眺めたことなかったな。
星……星座。前世では、星の勉強をしてたんだっけ? この世界でも、星座は存在するのか?
「……いや、星がありすぎて。って言うか、これは、星座はないな」
まあ、異世界だからな。
月のような感じの星が、紺色の空に光っている。そこから少し離れたところに、またひとつ、星がある。
「衛星? いや、惑星?」
……詳しいことは分かんないんだよな。……授業真面目に受けてなかったし。
「おにいちゃーん!? どこ行ったの?」
洞窟の奥から、深鈴が呼んでいる。思ったよりも長く、空を眺めていたようだ。
「ああ、何でもない。今行くよ」
ライルが、洞窟に戻っていくのを、陰から見ているもの者がいた。
『……ヒルムに行くか。どうやら、ここにはもう、居る必要がないようだ……』
ーーそいつは、魔法陣を使って消えた。
「深鈴、クロヒ。食べ終わったか?」
『おぅ。満腹じゃ。もう食べられない』
クロヒは、膨れた腹を撫でながらそう言った。
クロヒって、そんなに食欲あったかな?
「私はもういいよ」
俺も、もう食べられないし、深鈴たちも食べ終わったなら、寝るか……
「先に寝ていいか?」
「どうぞ。私は、明日の準備をしてから寝るから」
『俺は、ライルと一緒に寝るぜ!』
……え、嫌だ。一緒に寝たくない。そんなぬいぐるみみたいなのと寝てたら、深鈴に変に思われる。
『……お前、クマのぬいぐるみまだ持ってるだろ。十分変なやつだと思う』
「あれは、初めて貰った、ぬいぐるみだから良いんだ。お前は別」
そんなことを言いながら、ライルは葉っぱを敷き詰めて、床に寝た。クロヒは、その隣に座る。
で、何か用があったんだろ。
『流石、ライル。そうなんだ。いいか、大きな声出すなよ』
「うん」
『上級魔法陣は、人間には使えない』
「……はああぁぁ!!??」




